公開まであと12日。
津上理奈編
6回目の本日は、旅館めぶきの女将・津川里奈役の津上理奈(つがみりな)さんをご紹介。
理奈の魅力は”真顔”
あれだけ感情を殺した無表情を作れるのは才能だと思います。
今回のキャストで理奈は唯一の演技未経験者。
現在も普通に働く映画好きのOLさん。撮影は有給を使って参加していました。
今回の選考で、1500人の応募者全員をチェックしたのは監督の上田と私だけ。
私も映画監督なので、上田は私の感覚も信用してくれており、書類選考では私が会いたいと思う人を残す”ふくだ枠”というのがありました。理奈はそのふくだ枠の一人です。
会社の社員証を付けたまま薄暗いトイレで佇む真顔の女性。
顔写真も自撮りし慣れていない人が頑張って撮ったみたいな写真でした。
けして褒められた写真ではなかったのですが、その独特な顔立ちが気になり残すことに。
理奈の書類を見た上田に「なんでこの子残したの?」と聞かれたのを覚えています。
実際に会った理奈は、なんだか目を引く女の子でした。
スッキリとした顔立ちにふわふわの髪の毛、凛とした佇まい。
きっと本人は初めてのオーディションでガチガチに緊張していたのでしょう。
笑う余裕もなく、目の前にいる上田監督の話を一生懸命に聞いている。ただそれだけ。
けど、そのそれだけのことが、真顔でただ立っているだけのその姿が、なんだか異様に美しい。
気がつくとつい目がいってしまう、そんな空気を持っていました。
確かに演技は上手くはない。
けど、オーディションの空気や他の参加者に飲まれる事なく、自分でいられる。
肝が座っているな、と思いました。
本作での里奈は全編真顔と言っても過言ではないほどずっと真顔です。
理奈本人はよくしゃべるし、よく笑う。
いつもメンバーの中心にいるような、家族や周りに愛されて育ったのが伝わってくる明るい女の子です。
やる事なす事全部が初めてで、全てに感動しているような普通の子。
けど、本番に入るとスッとあの真顔が作れる。
演技未経験者があれだけキャストやスタッフに囲まれた状態で、笑ったり動じることなく瞬時に空気を作れるというのは、感がいいし度胸がある。
あの一片の曇りもない無の表情。いろんな感情が一気に死ぬあの感じが私はたまらなく好きです。
理奈演じる里奈の渾身の真顔。儚さをまとった美しい真顔を、ぜひ劇場でご堪能ください。
映画「スペシャルアクターズ」公開まであと12日。
明日は麻奈役の南久松真奈さんを紹介します。