デザイナー目線で見る、日本の「経済興隆至上主義」な感じ。

欧米を視察した松下幸之助は、日本の空港に降り立つやいなや「これからはデザインの時代や。」的なことを語った。という。


そして確かにその直後から日本の工業デザインとか広告デザインは一気に進歩した。という。


けれど、松下幸之助が当時語った「デザイン」は、現代のデザイナーが使っているデザインとは意味が少し違っているかもしれない。バウハウスで確立された理想主義的な源流を汲むものではなくて、高度成長への意欲でパンパンになった戦後日本を担う企業家の目に映った「デザインの使い勝手」に対する率直な言葉だったかもしれない。


当時の日本の産業デザインは、Quality of lifeの方じゃなくて、経済の方を向いていたのだと思う。食べるものとか着るものとかなかったんだから当たり前だけど。だからデザイナーの目的は経済興隆で、生活意識の成熟じゃなかったんだと思う。世間の欲望のベクトルは、パッケージの美しさなんかにはもちろん向かないし、味の良し悪しにすら向いていなくて、お腹いっぱい食べることとかだったんだと思う。文化よりまずは産業だったんだと思う。


当時はそうに決まっている。ただ、この経済興隆至上な感じは、めちゃくちゃ豊かになった今の日本でも、なぜかまだスタンダードとしてガッチリ残っているように見える。


ぼくがある一部のクライアントから求められているのは「カスタマーの生活の質を高めるデザイン」であることの前に「自社が利益を得るためのデザイン」だという実感が確かにある。


#それが善いとか悪いとかいうことはできないけれど
#だからどうするとかはまだないんだけれど
#そういう実感が確かにある
#そしてぼくもデザインで何か変えられる実感も
#確かにある
#弱小でも
#デザイナーというポジションでゲームの参加者でいること

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