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日本で働く全てのデザイナーへ。

はじめまして。デザイナーの福田泰仁です。ぼくはこれまでフリーランスのデザイナーとして年収1,000万円以上稼ぎ、東京で妻と2人の子供を育て、青山にオフィスを構え、クライアント企業から「天才だ」と高い評価を得て、4社の顧問デザイナー、そして1社の社外取締役として安定的に報酬を獲得し、1つの絵画作品を396万円で販売し、ある人から見れば、デザイナーとしてそこそこの成功を収めてきました。自分でも「天才デザイナー」と名乗っていました(←これは今もですが)。


ただ、当時のぼくの心は、不足感でいっぱいでした。


今思えば(少し高い視座から見れば)、コロナ以前までの12年間、ぼくは「商業デザイナー」として、人類にとってとても危険な仕事をし続けてきました。市場のなかで人目をひく「刺激的なデザイン」をし、クライアント企業やごく一部のカスタマーだけにとっては切実に必要だけれど、人類全体にとっては不必要な(時には有害な)製品や広告で自然を破壊し続けてきました。たった数万人、時には数百人のカスタマーだけを対象に、マーケティングによって作られた幻のユーザーニーズに踊らされて製品の外観とその販売方法だけをデザインしてきました。思い返せばそれは、医者が重病の治療や手術を放り出して、美容整形の仕事をしているのと似ていました。コロナ以前のぼくは美容整形しかしてきませんでした。儲けるため、売れるため、利益のためにデザインという仕事が変質し、ぼくはすっかり、それが職能だと思い込んできました。というか、自らの保身、つまり自分やその家族だけが生きのびるために、その行為を正当化し実践してきました。悲しいことではあるけれど、結局ぼくは、自分の才能を駆使して子供たちにとって有害なゴミを作り続けてきたのでした。


ぼくだけじゃないはずです。ぼくらデザイナーの多くは、毎日毎日、信頼を得る為の努力、自己投資、スケジュール管理、交渉、販売、契約、納期の厳守、クレーム処理、経費の支払い、借入金の返済など、他人との「そそのかし合い」や「追い立て合い」に多くの時間と労力を費やしています。自分が本当に作るべき最高の作品制作を後回しにし、「向こう数ヶ月間、自分が生き延びること」を優先させて働いています。多くのデザイナーが「稼ぐためのデザイン」をしているように見えるのです。結果として都市の風景は過剰に刺激的でほとんどの市民にとっては不必要な欲望を誘発するものとなり、そこで暮らすぼくたちも、偏狭で不自由になっている。と、ぼくはそう感じています。


2年程前のある時ぼくは、はたとその事に気付いて、とても辛くやる瀬無い思いになってしまいました。一生懸命、自分や家族の幸せために働いてきただけなのに、それが結果として「未来の子供たちにツケを払わせる」ということに繋がっていると知ってしまいました。


ぼくを始めとした多くのデザイナーは、長い間「お役に立ちますぜ」と、クライアントやカスタマーに隷従し、自分の理想とは別の「相手の理想」を実現するための手伝いをしてきたはずです。市場経済制度と生産手段の私有を強く支持し、他人だけのために働いて、自分だけの利益を得て生活してきたはずです。自分の幸せや成功のためには「家族を養わなければならない」「家賃や税金の分を稼がなければならない」「他人に迷惑をかけてはいけない」「他人の役に立たなければならない」「与えられた仕事をサボってはいけない」「もっと事業を成長させなければならない」という観念、即ち、「経済的自由主義」という強い信条を持っていて、自分が信用してもらうことを期待して取引先と付き合ってきたはずです。


本当にデザインすべき「自分たちにとって最も価値がある作品」を作ることを保留し、「相手が支払ってくれる報酬に見合う価値がある作品」を作ることを優先させてきたのです。





その結果、ぼくらデザイナーは「ゴミ」を増やし続けています。ぼくら一人ひとりのデザイン力によって、今日も日本国内では誰にも袖を通されなかった新品の洋服が毎日40万着ずつ焼却され、未開封の食品が毎日2万トンずつ廃棄され、誰も住んでいない清潔な家が850万戸放置されながら新築の住宅が毎日2,000戸ずつ建てられ続けています。またそれらを販売するためのパッケージと広告は全て、販売直後に廃棄されることが前提となって作られています。ウェブ広告も、そのほとんどが制作された数日後には何の効果も出さずに削除される運命にあります。


文字通り「掃いて捨てるほど」の「そこそこの商品」を生産し続けるシステムの動力として、ぼくらは「デザイン力」を提供し続けています。


このシステムに虚しさを感じているせいか、日本国内の精神疾患の患者数は年々増加し続けています。その一方で、富の偏在による世界の飢餓人口も年々増加し続けています。この「自殺者」と「餓死者」を増やし続けるシステムの動力、それがぼくら日本のデザイナーです。


日本でものづくりに励むぼくらは、既存の社会システムに不満を抱きながらそれでも、遠い未来を楽観し、遠い所で生じる犠牲を他人事と考え、無意識のうちに加害者となり、また被害者ともなり続けているのです。


では、ぼくたちが本当に作りたいものを作るために、自分やその子供たちにとって最も価値ある物をデザインするために、世界の変化を手伝うために、ぼくたちにできることは何でしょうか?


ぼくが出した答えは「未来の社会システムをデザインして見せる」でした。


2年前にぼくは家族と離島に移住し、今、すべてのビジネスを辞め、人生をかけて、無料で、この仕事に取り組んでいます。早ければ2027年頃に、未来の社会システムを誰にでも直観的に伝わる形で詳細に描き出し、発表する予定です。


ただ、もちろんぼくひとりで世界を変えられるとは考えていません。この記事を読んでいるあなたにも協力してもらえると信じています。


変わりゆくこの世界に、今、デザイナーとしてどれだけ気持ちよく参加できるかを追求しよう。


今も順調に平和に向かって変化し続けるこの世界。ぼくら。そこで起こる最良の出来事を受け入れ、信頼し、賛成して、有り余る富に感謝しよう。


そうして、今ここで、ぼくたちにとって、世界にとって、最も素晴らしい仕事をしよう。


今しよう。


もし、ぼくの活動にほんの少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ、以下のリンクからFacebookグループページに参加してみてください。グループページを覗くだけでも、定例ミーティングの様子を聴くだけでも、打合せに参加するでも、制作を手伝うでも、活動資金を送るでも、反論するでも、静観するでも、なんでも構いません。あなたの一挙手一投足すべてが力になります。デザイナーにも、そうでない人にも、誰にでも気軽に参加してほしい。ぼくらのために、未来を担う子供たちのために、そしてあなた自身のために。

天才デザイナー福田の、最高の仕事を、見守ってやってください。

最後に、ここまで読んでいただき、めちゃくちゃ感謝しています。ありがとうございました。

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