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【現代麻雀への道】63 麻雀漫画誌サバイバル

麻雀打ち稼業人の巣窟だった麻雀誌

昭和50年代に最盛期を迎え、各社から合計10誌以上も出されていた麻雀漫画の専門誌。

当時の竹書房はオンリーワンどころかナンバーワンですらなかったのに、それがなぜ業界を独占するようになったのだろう。

その理由を知るには当時の麻雀漫画を見てみるのが手っ取り早い。そこで、そのころ帝王として君臨していた北野英明氏の作品名を列挙してみよう。『やさぐれ雀士』『浪牌道(ろうはいど)』『いかさま雀鬼』『麻雀水滸伝』『麻雀八犬伝』『牌師(わざし)』『雀剣示現流(じゃんけんじげんりゅう)』『ギャンブラーの詩(うた)』などなど。

北野氏の作品はまだ教え切れないほどあるのだが、タイトルを列挙しただけでも雰囲気は十分に伝わってくるのではないか。その作品内世界はたとえ原作つきでもほとんど一緒。

黄金パターンは、わけあって流れ者渡世に身をおく主人公が、こちらもわけありの女と寝ることからトラブルに遭遇し、麻雀勝負でカタをつけるというもの。渡世(とせい)という語感からしてすごい。

このパターン以外には、『麻雀水滸伝』や『麻雀八犬伝』というタイトルから想像される通り、不思議な因縁に結ばれた麻雀打ちの話も少なくなかった。

そう、当時は普通の人間が麻雀を打つ漫画ではなく、「麻雀打ち」が麻雀を打つ漫画、それが麻雀漫画だったのである。いくら当時といえども、流れ者渡世に身をおく麻雀打ちが本当にいっばいいたとは思えないが、主人公像としてはそれが普通だったのだ。

いっぽう、他の漫画家の作品では極端な話も生み出されていた。たとえば、超能力麻雀少年雀吾(じゃんご)が、鬼道士(きどうし)率いる少年少女雀戦鬼(じゃんせんき)たちと地球を賭けて麻雀勝負を行い、十二の雀神技(じゃんしんぎ)を次々と打ち破ってゆく『風の雀吾』。

あるいは、水軍の血筋を引く番長・怒魔灘太郎(ぬまなだたろう)が、「麻雀で瀬戸を盗る!」と宣言して、各島の番長率いる水軍と麻雀勝負をしていく『海雀王(かいじゃんおう)』。

つまり当時の麻雀漫画とは、麻雀打ち稼業人の話をメインディッシュとして、そこにトンデモ漫画がトッピングされた世界だったのである。 

※この文章だけ単品で100円で買えますが、このシリーズ39回(本1冊分)がマガジンで1000円となっています。

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