人生を積み木遊びで溶かす人々
雀士ではなく雀死
光あるところに影がある。社会がどんどん漂白されていく現代にあって、汚濁を濃縮して固めた街、歌舞伎町の存在感は高まる一方であった。
歌舞伎町では、若い女をハメて巨万の富を築くイケメンたちに注目が集まる中、時代遅れの積み木遊びに精を出す一群の愚か者たちがいた。
人は彼らを歌舞伎町雀士と呼ぶ。本当は雀士ではなく雀死なのだが、漂白された現代ではストレートすぎる言葉は回避される。
雀死たちは「われら武士ぞ」とうそぶきながら、なんら生産性ない石ころ遊びを、世界大戦を行ってる司令官のような深刻な顔つきでプレイする。
そんな歌舞伎町雀死のなかでも、とくに病状が深刻な者を紹介しよう。麻雀本を書いて稼いでは、その金を歌舞伎町で溶かす。人生の生態系サイクルを石ころ遊びの中で完結させてる。これは、そんな途方もない愚か者が、いかに歌舞伎町で金をばらまいたかの記録である。
超厚切りロースカツ丼は当てになるか?
木曜日夜24時。例によって新宿でダンスのレッスンがあり、そのあと歌舞伎町へ。
ダンスと麻雀って相性いいのかな? 仮に相性いいとしても、そのことに気づいてるのは日本中で俺だけだな。統計的には多数派のほうが正しい確率が圧倒的に高いから、つまり俺は日本唯一の馬鹿である確率が高いわけか。
まー、そんなことはどうでもよろしい。意味あるのは麻雀で勝てるかどうか。それだけだ。
麻雀の前にカツ丼プラスキャベツ3皿を食った。超厚切りロースカツ丼なる食い物がえらく美味かった。これは幸先よし。また今日も勝ってしまうのか?
馬鹿店に入った。立ってるのは1卓。
ゴバゴーがいるな。某プロ団体に所属し、ゴバゴーにかなり似た顔をし、そっくりな話し方をし、同じような麻雀を打つ。存在がギャグにしか見えねー。ゴバゴーの影武者をやればいいのにな。さすがにゴバゴーの歌は歌えねーだろうけど(真ゴバゴーはとんでもなく歌が上手い)。
そこに客が2人来店した。新卓が立った。メンツは、だるま、緊張青年、メンバードケチ君。
1戦目
東1、ドケチ君のリーチに一発振り込み。それがトイトイ三暗刻。ツモスーじゃねーか。ハネマン1枚。
次局、白ポン。300・500の1枚をツモ。ラス目であってもこういうのをこまめに拾うことが大切だ。
2000点の1枚を振り込み。そのままラス。
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