【現代麻雀への道】56 運と腕の割合
運3技7? 運7技3?
麻雀で運と腕の割合はどれくらいなのだろう?
これは大昔から議論されているテーマである。麻雀は「運が10さ」という意味から、自分のペンネームを海野十三(うんのじゅうざ)としてしまった作家までいるほどである。
戦前に最強を認められていた川崎備寛(びかん)はこう書いている。
「世間には物好きな人があって、麻雀の運と技の割合を数字であらわそうとして、ヤレ運三技七だとか、五分々々だとか、極端なのは九分まで運だとする運九技一論、また麻雀なんて運ばかりだと極言する運十論まで飛び出したことがあった。が、こうした数字はおよそナンセンスなのであって、運の比率などということは軽々しく人間の頭で決められるものではない」
そしてそんなことに頭を使わず、おとなしく運に従いなさいという。
「要するに我々は常に運に対して柔順であり、謙遜であればいいのであって、時により、所により、顔ぶれにより、身体のコンディションにより、運は千変万化するものと解釈するのが穏当であろう」
菊池寛の後を受けて日本麻雀速盟の二代目総裁となった久米正雄はこう書いている。
「人生ですら、考えようによりては運十であり、運七技三である。そしてある者に取っては、技七運三でありまた技十と感ぜられることがある」
つまり、人生だって運と自力の割合を決められないのだから、麻雀だって決められないというわけだ。
なるほどなあと思わせるが、人生を引き合いに出すのは相手を煙に巻く常套手段だから、結局何もいっていないといえなくもない。
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