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「サブウェイ」という名の試練~コミュ障の生きざま~

サンドイッチは好きだ。
いや、むしろ大好きだ。


パンの中にぎっしり詰まった具材、その組み合わせの自由さ、噛むたびに広がる味のレイヤー――すべてが魅力的だ。

だが、サブウェイは苦手だ。

それは、あまりにも店員さんとのコミュニケーションが多すぎるから。


私は人と関わることが得意ではない。

できる限り家にこもり、仕事をし、散歩をし、最低限の買い物だけをして過ごしている。

フリーランスの就業形態を選んだのも「できるだけ人と関わりたくない」「おうちから出たくない」……そんな意識低めの理由からだ。


クライアントとのやり取りはオンラインで済むし、お店では「これください」のひと言で済む。

ところが、サブウェイは違う。

店のカウンターに立った瞬間、矢継ぎ早に質問攻めが始まる。

「パンの種類は?」

「メインの具材は?」

「野菜は全部入れますか?」

「ドレッシングは?」

「セットにします?」

……ちょっと待ってくれ!!!

サンドイッチひとつ注文するのに、こんなに会話が必要なのか?

一問一答形式で進んでいくオーダーシステムは、私のような“できる限り人と話したくない勢”にとってはまさに試練。


何かを選ぶたびに、店員さんと目が合い、会話が発生し、その度に妙な緊張が走る。


ひとつの質問に対する答えを考えている間に、次の質問が飛んでくる。まるで面接のようだ。


特に厄介なのが、野菜の選択である。

「全部入れますか?」と聞かれたとき、シンプルに「はい」と言えればいいのだが、ピーマンは苦手だし、オリーブは気分による。


しかし、「全部じゃないけど、これとこれ以外でお願いします」と伝えるほどのコミュニケーションスキルは私にはない。


結果、「えっと……トマトとレタスと……」と呟きながら、どんどん追い詰められていく。

こうしてようやく完成したサンドイッチを受け取るころには、すでに精神的なエネルギーは尽き果てている。


おいしい。たしかにおいしい。


だが、そのおいしさと引き換えに、膨大な精神的コストを支払っている気がする。


世の中には「好きだけど苦手」というジャンルが存在する。


私にとってのサブウェイがまさにそれだ。

おいしいサンドイッチを食べるために、店員さんとのコミュニケーションというハードルを越えなければならない。


私はこれからもカウンター前で緊張し、野菜の選択に悩み、エネルギーを消耗しながら、ひとくち目の幸せにたどり着くのだろう。


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