大槌町地域おこし協力隊 福島隊員活動報告(2024年11月号)
福島です。タイヤ交換したら変に力が入ったのか手のひらを痛めました。今回からは業者さんにお願いしようかなと毎回思うのですが、機を逃して毎回自分で換えてしまっています。辞め時の見極めが下手くそな人間です。
11月の活動報告です。最後までお読み頂けると嬉しいです。
(写真は町内で見つけた「その他の危険」標識。珍しい!)
緩衝帯整備~冬の陣~
諸々の事情で中断していた緩衝帯整備ですが、用意ができたので満を持して再開しました。「竹の駆除のためには年に2回刈ると効果的」と言われていますが、その2回目にあたります。植物の生命力はすごいもので、あれほど綺麗さっぱりに刈り取られてもなお復活を試みています。しかしそれでも作業前ほどの勢いは見られません。果たして2回目の作業は初回と比べてどの程度楽にできるのか……具体的にはどの程度費用を抑えることができるのかが注目です。
そして今回からは前回着手できなかった河川敷にも作業が入ります。河川敷はクマなどの野生動物が山から降りてくる際の絶好の経路ですので、少しでも動物にとって魅力がない環境にするのは重要です。特に大槌町は川沿いに街が広がっているので、河川敷の整備状況は動物との遭遇に直結します。
河川敷は広大でありキリがないため、草刈というよりはクルミなどの餌となる木の伐採が中心になります。
迎えた作業当日。去年クマが居着いて大変だった場所ということもあり、特に呼ばれているわけでもないのに見学に伺いました。
現場には緩衝帯整備事業の旗が早速掲げられています。かっこいい。
現場はクワとクルミがまばらに生えており、見通しは決して悪いわけではないのですがクマにとっては魅力的な場所になっています。土手を挟んですぐに住宅地があり、去年クルミを食べにきたクマと夜までにらめっこした記憶が蘇ります。
皆さん慣れた手つきで伐採作業を進めます。そして後日現場に行くと……。
「無」が広がっていました。作業前と同じアングルで写真を撮りたいのに目印になるものが残っていない、それくらいキレイになっていました。
こうして見ると以前は土手の上までクワの木が生えていたので薄暗かったんだなと気付きます。作業後はつい先日まで木が生えていたとは思えない状況となり、おが屑が残る新鮮な切り株がその痕跡を伝えるのみです。わずかに残ったクルミを拾いにカラスが地面を突くのどかな光景が広がります。
クマと対峙している去年の自分へ。その一帯、来年は更地になってるよ。
シカ、完封勝利
9月の月報で順調だとご報告したシカ対策のネットですが、それ以降も順調に機能し無事に野菜(クレソン)の収穫に漕ぎ着けることができました。農家さん曰くシカの侵入ゼロということでまさかの完封勝利です。多少壊されたりして入られるかなと予想しておりましたので、正直なところここまで効果てきめんだとは思っておりませんでした。
ちょうどネットの状況を確認しに行ったタイミングで収穫作業をしていたので、出荷の作業を見学させていただきました。自分はネットの提案と構築のお手伝いをしただけではありますが、それでも自分が提案した被害防止対策が効果を発揮して収穫につながったと思うと感慨深いものがあります。
ネットの性質上クマには効かないので使える農作物は限られますが、それでもシカを防ぐという点だけを見れば相当なコストパフォマンスを誇るのではないかと考えています。今後どのように普及していくか(そもそも普及させるべきなのか)、振り返りを進めます。
研究交流会に参加
11月9日(土)に山形県山形市で開催された「第7回東北野生動物管理研究交流会inやまがた」に参加してきました。この交流会は東北で野生動物を研究している研究者や学生が集うイベントで、学生時代からお世話になっています。コロナ禍以降初という久々の開催となり、今まで学生として参加してきた私もいよいよ社会人として参加する立場になりました。月日の流れを感じます。
私は件の緩衝帯整備についてポスター発表してきました。自分の研究じゃないものを発表するのは初めてです。「"大槌町地域おこし協力隊"として発表するんだ」ということで気合入れてスーツを着て行ったら自分以外ほとんど私服だったという少々のハプニングもありましたが、発表を無事に終えてきました。
発表しての率直な所感として、「野生動物を研究している人、こんなにいたんだ」という喜びがありました。大槌では(というよりも一般社会において)野生動物のことに興味がある人は自分の想像よりも遥かに少なく、自分の野生動物に対する関心とのギャップに驚くことが少なからずありました。そんな状況でしたので、野生動物に興味がある人間しか集まっていない交流会の会場は自分が忘れていた感覚を思い出させてくれました。
特に、いつもは野生動物について(畏れ多くも)「教える立場」にあった私にとって、「教わる立場」として最前線の研究者からご意見をいただけたのは新鮮な刺激であり、あっという間に時間は過ぎていきました。
第8回も開催予定とのことなので今から楽しみです。
集落活動ワークショップ参加
11月18日(月)に役場で開催された「第2回農業集落活動ワークショップ」に参加してきました。第1回の集まりの際に侵入防止柵について話題に上がったようで、それについて説明する役目を務めてきました。特に、度々月報で報告している「立体柵」やクレソン畑のシカ網についてご説明してきました。
そんな中「電気柵の修理に関する補助がほしい」というご意見をいただき、思わず「実はそのプロジェクト進めていたんですよ~~~!」とつい大きい声が出てしまいました。月報には書いてませんでしたが、なんと水面下で実現に向けて動いておりました。しかし諸々の事情で残念ながら今年度の実施は困難であると頓挫したばかりの非常にタイムリーな話題でした。無念。
今年度の実施は頓挫しましたが、必要とされているのは変わりはないため、なんとか実現できないものかと模索しています。まだまだ諦めません。
クマ会議、草刈提起(2ヶ月連続)
11月29日(金)に釜石市にある沿岸広域振興局で開催された令和6年度沿岸圏域野生鳥獣被害防止対策連絡会に参加してきました。そしてなんと畏れ多くも再び講師として発表させていただきました。発表内容はもちろん件の緩衝帯整備。そしてプラスアルファとして大槌で実施している被害防止事業について。先月の発表に続き2ヶ月連続での発表となりました。
会場に行くと聴講者席に私の名前がありません。あれどこだと探すとなんと前方隅っこの発表者席に私の名前が。しかも席にはご丁寧に肩書まで書いてあるではありませんか。照れます。中々無い機会でしたので撮ってきました。
聴講者側を向きながら座る席次の都合上、猟友会の会長がすぐ目の前という「釈迦に説法」感のある中々緊張感のある出だしとなりましたが、肝心の発表の方は先月よりは落ち着いてできたのではないかと感じています。
閉会後も質問をいただき、当事業への関心の高さを感じました。他の市町村が同じように導入するのは難しいとは考えていますが、それと同時に似たようなアプローチで似た事業を導入できるのではないかとも考えています。大槌町での緩衝帯整備の機運が他の市町村にも波及できるよう、これからも活動してまいります。
以上で月報を終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
出張リスト
11月9日(土):第7回東北野生動物管理研究交流会inやまがた@霞城セントラル(山形県山形市)
11月29日(金):令和6年度沿岸圏域野生鳥獣被害防止対策連絡会@沿岸広域振興局(釜石市)