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2023年12月 活動報告

福島です。毎年12月は体感10日間くらいで過ぎ去ってしまいます。
12月の活動報告です。最後までお読み頂けますと幸いです。
(写真は吉里吉里の凛々家さん)


被害状況調査

はじめにお詫びと言い訳を申し上げておきますと、今月の月報で報告する「テーマ」は非常に少ないです。なぜならばこの「被害状況調査」に毎日を費やしていたからです。
勿論非常にやり甲斐のある仕事なのですが、この調査に多くの時間を費やしたため、他の業務は殆どしておりません。このような事情から、「テーマ」は非常に少ないものになっております。

さて言い訳はここまでにして本題。
私は鳥獣害対策を実施する上で最も重要な情報が「被害の現状」だと考えています。患者を治療する上で病状を確認しない医者がいないように、被害の現状はどんなことよりも優先して把握すべき最重要な情報です。私は「鳥獣被害対策の専門員」という肩書で活動している地域おこし協力隊であり、そんな私にとってこの被害状況調査は着任した時から話題に挙がっていた最重要業務の一つです。
勿論この調査は毎年実施されているのですが、より効果的な対策に繋げることができる調査となるよう調査事項の改良を担当しました。調査自体は毎年担当されているベテラン調査員の方が主として行いますが、例年と少し調査事項が変わることをご説明したほか、地域のことをまだ良く知らない私にとってまたとない機会のため調査に同行させて頂きました。

準備は秋頃から進めてきておりましたが、満を持して今月遂にスタートしました。
端的に所感を述べると「調査員の方、すげぇや……」の一言。私が地図で住所を調べるまでもなく、「あぁ、誰々さんね」と的確に車を走らせます。しかも「◯◯さんは平日不在だから後で」「さっき留守だったけど今車とすれ違ったから会える」といったローカルすぎる情報を把握されており、効率的なルートで次々と調査を進めていきます。
被害状況の聞き取りも非常にスムーズであり、農家さんの口から出てこなかった野菜の情報についても「昨年作っていたと思いますが今年は如何でしょうか」と拾い上げることもしばしば。数件だけの調査ならまだしも、150件程を対象とする本調査では地元の事情に明るい方でないと務まらないなと感じました。

着任して9ヶ月、クマやシカの対応で各地に出動してきましたが、以前の業務でお会いした方と再会することも。当時は「点」でしか認識していなかった場所がどんどん「線」で繋がっていくのが分かり、過去の業務が今に繋がっているのを感じました。
今後も今の業務を未来に繋げていきたいです。

調査中に「シカに困ってるの」と言われて振り返ったら「困ってるシカ」がいた

イノシシ登場

『もしもし……イノシシが目の前にいます……。』
町内各地で度々存在が確認されてきたイノシシ。遂に出没の通報が入りました。場所を聞くとなんと赤浜。しかも海の近く。てっきり山側の地域かと思っていたため意外だなと感じながら現場に向かいました。

人間を無視して何かを食べている

いました。しかも3頭。クマの通報の時は「現場に向かったけど既に立ち去っていた」ということが多々あるのですが、今回はずっと現場で採餌していました。実は私は生でイノシシを目撃するのは初めてだったので、「いよいよここまで来たのか……」と感じざるを得ませんでした。
通報者の方と「逃げませんねぇ……」と採餌を見ていると、「人間がずっと見ているぞ」と気付いたイノシシが徐々に住宅地の方に移動を始めました。道路や住宅地に逃げ込むと危険なので、山の方に追い返すために爆竹を鳴らしました。
3頭は揃って山の方に逃げ帰っていきましたが、その後も周辺で度々イノシシの目撃情報が寄せられており、地域に定着したものと思われます。鳥獣対策を進める上での最優先事項の1つであるイノシシと初遭遇した、記念すべき(?)出動となりました。

今年取った資格たち

ハンターデビュー(目前)

最近の月報をお読み頂いた方は、末尾の出張リストにある「銃砲所持許可手続き」にお気付きになったかと思います。そうです、大槌に移住した今年の春から、ずっとハンターになるべく手続きを進めておりました。
つい先日に銃所持許可を受けることができ、現在は狩猟者登録の手続きを進めております。そして手続きもいよいよ大詰めを迎え、銃猟で登録できる日が目前に迫っております。

……と月報を書いておりましたら手続きが終わった旨の連絡が入りました。年末年始休暇に入ってしまったので受取は来年にお預けですが、どうやらハンターデビューできるようです。10年程前に「今は鉄砲持てないけど、いつか狩猟者登録するんだ……」と思い狩猟免許だけ取りましたが、遂にその日がやってきます。
詳細は次回(多分)の月報をお待ちください。

いつもお世話になっている釜石射撃場

話は逸れますが、銃砲所持は厳格な審査を経るため、申請から許可まで当然時間を要します。そしてこの点が月報を書く上である問題を引き起こします。

『"手続き始めました"って報告してから不許可だったら嫌だな……』

そう、何を隠そう私は小さい人間なので、こんなことを考えております。最初からダメだったと分かっているのなら安心して報告できるのですが、『受験しました!合否は来月発表です!』みたいな報告がどうも苦手でして。『自信無いですね~~~』みたいな感じで書くのも落ちた時の予防線を張っている感じがしますし、『自身ありま~~~す』みたいなのを書くのは論外。ということで『受験した』ということを事務的に報告することしかできず、じゃあ書かなくていいや、となってしまう始末。
という考えがありましたので、今年受験した資格試験について報告する機を逃しておりました。なのでこの流れでご報告します。年末ですし。

生物分類技能検定

今夏に開催された生物分類技能検定(3級)に合格しておりました。これは名前の通り「生物の分類に関する知識」の検定で、「これは何の仲間?」みたいな問題が出ます。中でも特に、「この虫はどの植物を食べる?」といった、実際に同定する時に役立つ特徴的な生態等に関する問題が面白いです。

テキストを初めて読んだ時の率直な感想は「全然分からん」でした。試験範囲は「日本にいる生物」なので、自分の専攻である哺乳類はその極一部に過ぎません。また、自分は東北生まれ・東北育ち・東北在住という生粋の東北人なので、住んだことのない地域の生物(特に沖縄等の南方系)には非常に弱く、酷い時は選択肢の生き物をそもそも知らないことも。そんなわけで、「◯◯島ってどこにあるの」といった初歩中の初歩から学ぶことになりました。

花や身体の構造等の特徴的な形態を知ると「なるほど確かにこれは同じ仲間だ」と気付くことも多く、学生のうちに勉強しておけばよかったなと今更後悔しながら勉強を進めました。
勉強後に散歩したり水族館に行ったりすると、「おっ、勉強したところだ」と気付くことが多々あり非常に楽しめます。今回受験した3級は「準プロ:動物の愛好家」というレベルなので、生き物に興味がある方は是非受験してみては如何でしょうか。大変オススメです。
来年は2級を取れるよう励みます。

合格記念に野帳を頂きました。
野帳めくって1ページ目。ありがとうございます。

鳥獣管理士

12月に開催された鳥獣管理士(2級)に合格しました。上記の生物分類技能検定では「この動物を知っているか」という浅く広い知識が問われますが、この鳥獣管理士では「その動物はどういう行動をするのか」という狭く深い知識が問われます。「鳥獣管理にかかわる幅広い知識や鳥獣別の専門知識と対策技術を学んでいる方」を対象としており(公式サイトより)、まさに自分にとっては受験するべき、避けられない試験でした。

準1級以上は下級の所持が条件だったため2級に挑戦しました。試験の内容は主に動物の生態と保護管理に関する法律の2本柱であり(公表されていないのでここではあまり詳しく書きませんが)、業務に必要な知識を年の終わりに振り返ることができました。
無事合格でき、2023年を良い形で終えることができました。経験を積み、昇級できるよう励みます。

以上で12月の報告を終わります。
最後までお読み頂きありがとうございました。良いお年をお迎えください&明けましておめでとうございます。

出張リスト

12月8日(金)、12日(火)、15日(金):銃砲所持許可手続きに係る書類提出@釜石警察署生活安全課。業務で使用する予定の猟銃を所持する許可手続き。
12月10日(日)、22日(金):銃砲所持許可に係る手続き@釜石綜合射撃場。業務で使用する予定の猟銃を所持する許可手続き。

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