2024年5月 活動報告
1年半振りにコロナに罹った福島です。1週間程寝込んでいたため、嬉しくもない第二次大型連休を過ごしておりました。無事完治した今、改めて健康のありがたさを噛み締めております。
5月の活動報告です。最後までお読み頂けますと幸いです。
(写真は春に植えたジャガイモ「とうや」の花)
緩衝帯整備事業スタート!!!
今年度から始動した緩衝帯整備事業ですが、遂に実際に整備に着手する日を迎えました!記念すべき初めての整備は、昨年クマが大量出没した花輪田地区。実はここのヤブこそ、私がこの緩衝帯整備事業を提案する切っ掛けになった記念碑的(?)ヤブなのです。「熊が好きなクワ等が生えている」「竹が生い茂り見通せない」「枯川があり足元が悪い」という、とても素人には手出しできないこの屈強なヤブがどのように変わるのか、とてもワクワクしながら当日を迎えました。
迎えた当日。
生憎の雨天ではありましたが、順調に作業が進んでいきました。マスコミの方も取材に来ており、非常に高い関心が寄せられているのを感じます。
さて実際の作業を現場で見た感想は「圧巻」の一言でした。今まで私が見てきた刈払は草刈り機を使ったり、木に登って枝を丁寧に落としていく施業であり、「技の仕事」とも言えるものでした。一方、当事業は建設事業者とも連携しておりますので、今回は重機や大型トラックを駆使した大規模な施業であり、「力の仕事」であると感じました。
今回の施業場所は「広い空き地」のような場所だったので、従来とは異なるこのような大胆な整備事業を実施することができました。「場所ごとの特性に応じたプロフェッショナルが施業を担当できる」という協働型緩衝帯整備事業の強みを早速肌で感じた初回でした。
ちなみに作業終盤の写真がこちら。昨年何回もこのヤブに怯えていた身からすると、あまりの変貌ぶりに同じ場所とは思えません。今後整備される他のヤブがどのように生まれ変わるのか、今から非常に楽しみです。
無事に初回の整備が完了した所感ですが、まず何より、今まで通る時に感じていたプレッシャーが無くなったことで緩衝帯整備の重要性を改めて実感しました。
今まではヤブのせいでクマがいるかどうかすらわからない状況でしたので、ヤブの中から聞こえる小鳥が動く音ですら結構怖いものがありました。今回スッキリ見通しが良くなったため、「いないクマ」に怯える必要がなくなったのは一人の通行人として大変嬉しく感じています。
また、もしクマが出没しても、この場所にいるかどうかがすぐ分かるようになったことも革新的だと感じています。このヤブは山と河川敷の間に位置しているため、パトロールの際は山側の道と川側の道のどちらを通っても両サイドを常に警戒する必要がありました。昨年クマが出没した際は、クマを見失った場合「このヤブに潜んでいる……のかもしれない」ということで注意を払う必要があり、迅速な対応の障害となっていました。今回整備したことでクマが逃げた方向を確認しやすくなったため、より効果的・安全に追い払うことができるようになったと感じています。
昨年大量出没した地域での整備を無事に一つ終えることができました。今年以降はこの地域でクマの出没が減ることを願っております。
クマ一家の定住
緩衝帯整備事業は教育施設(保育園や学校)の周辺で重点的に実施する計画なのですが、まさにその実施予定地で連日クマの出没が相次ぎました。しかも目撃情報を踏まえると子連れの様子。教育施設のすぐ近くということもあり、すぐに現地に向かいました。
到着。
詳しい状況を把握するためにはヤブに近付く必要があります。遠いところから音を立てながら近付いてみたところ、ヤブの中から「明らかに大きい何か」がガサガサと動く音が。
撤退。
「クマが来ないようにヤブを刈り払う」という緩衝帯整備の弱点、「クマがいる場合は刈払できない」を突かれてしまいました。過去には刈払作業中の方がクマに襲われる被害も発生しており、「刈払機の音に驚いて逃げていくだろう」とは楽観視できません。
捕獲する場合でも、罠を置く場所をヤブの中に作るためには刈払をする必要があります。作戦会議の結果、翌朝に爆竹で追い払い、その隙に一部だけ刈ろうということになりました。
迎えた当日朝。
穏やかに吹く風。楽しそうに囀る小鳥。木から降りる子グマ。
一旦退却して会議。幸いにも距離は十分取れていたので、周囲に注意のアナウンスをしてから予定通り爆竹で追い払うことにしました。
爆竹が静かな朝に鳴り響きます。窓越しに様子を見守る地域住民。驚いて飛び立つ小鳥。木に登ってこちらを伺う子グマ。そして不自然に揺れるヤブ。
――ここに作戦は頓挫したのでした。
この場所にクマが定着してしまうのは非常に危険であるため、少し離れた安全な場所に罠を設置することになりました。ヤブにせよクマにせよ、自然相手の計画は思い通りにいかないことを再認識する日となりました。
保護区の保護
5月10日に、沿岸広域振興局にて開催された「鳥獣保護区等事前調査」の会議に参加してきました。
どのような会議か一言で表すと「従来の鳥獣保護区、今後もこのままで大丈夫?」ということを話し合う場です。大槌町では赤浜~吉里吉里の沿岸部に広がる山林が鳥獣保護区に指定されているのですが、10年前に策定した計画の更新時期を迎えたため、猟友会や野鳥の会等の有識者が集ったという次第です。保護区に変更はないか、生息する鳥獣に異変はないか、そもそも保護区の設定を継続するのかについて意見を交わしました。
私は仕事の都合上「動物をどう減らすか」という視点に立ちがちです。そんな私にとって、野鳥の会の方から頂いた「山が貴重な野鳥の生息地になっている」というコメントは非常に印象に残るものであり、自分がいつの間にか「山=対処すべき敵の本丸」といった目線で認識するようになっていたことに気付かされました。反省。
その一方、シカ等の動物が増えすぎて困っているのもまた事実です。「10年ではなく、もっと短い間隔で見直した方が良いのではないか」といった新たな意見も提案され、短い時間ではありましたが非常に熱の入った会議となりました。
農×コミュ
先月植え付けたジャガイモは無事にすくすくと育っており、安心して成長を楽しめております。サツマイモは植えた直後に罹ったコロナのせいで枯れつつありますが……。別に売る訳ではないので、あまり深刻にならず楽しさ優先で畑の隅でミニ農業をエンジョイしております。
「楽しさ優先」とは書きましたが、「楽(らく)さ優先」ではないところがキモです。お借りしている畑は「耕作放棄地での農業」がテーマであるため、まだまだ小石を取り除く必要があります。無限に埋まっているかのように感じる小石ですが、拾うと確かにその分ふかふかの土になるのを感じるので結構やりがいのある作業です。苦労するとその分だけ作物に愛着が湧きますし、これらが喰われたらどれだけ残念だろうかとも思います。畑に入るごとに、収穫への楽しみと、農作物被害を減らさねばという気持ちが強くなるのを感じます。
以上で5月の報告を終わります。最後までお読み頂きありがとうございました。
出張リスト
5月10日(金)@沿岸広域振興局。鳥獣保護区に係る会議のため。
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