ワークとライフに役立つネット記事(40)~よわいはつよいプロジェクト
今回ご紹介するのは、「日本ラグビー選手会」が社会に向けて発信しているメンタルヘルスの啓発活動「よわいはつよいプロジェクト」です。
同プロジェクトでは、以下のような理念が表明されています。
・「メンタルが強そうに見える」アスリートでも、実際にはプレッシャーに押しつぶされそうな日々を送っている。人間は誰もが弱さを持つ生き物であり、自らの弱さと向き合い、それを受け容れようと「強くあろうとする人」が、アスリートたちではないか。
・「こころもカラダも強い人」というイメージを持たれているラグビー選手だからこそ、社会に対し「自分たちも同じ人間であり、強い心も弱い心も持ち合わせていて、常に揺れ動いているし、それは悪いことじゃない」というメッセージを届けられる。
・「誰もがよわさをさらけ出せて、よわさを受け容れられる社会へ」 自分自身の「よわさ」を受け容れる勇気、他者の「よわさ」を受け容れる愛こそが大事。みんなが「よわさ」を交換し合うことで、みんなの「つよさ」を活かし合う社会にできる。
このHPには、スポーツ界のメンタルヘルス専門家のインタビューが掲載されていますが、我々が屈強な選手たちに対して抱いているイメージとは大きくかけ離れた実態が語られています。すなわち、ラグビートップリーグの男子選手を対象とした調査では、
・過去1か月間にメンタルヘルスの不調を感じた 42.2%
・専門家の支援を必要とするうつ、不安障害の疑い 10%
・過去2週間に希死念慮を抱いた 7.6%
との結果だったということで、かなり衝撃的な数字ではないでしょうか。
ほかにも、アスリートがメンタルヘルスの経験を語る貴重なインタビューなどが掲載されていますので、是非読んでみてください。
スポーツ界で活躍する(強いはずの)選手たちでさえ、こういう実情なのですから、私たちの職場でも、何らかのメンタル不調を抱えている方がいらっしゃるのは、当然のことではないでしょうか。
そして、最初はちょっとした不調であっても、無理やりに同じペースで仕事や家事を続けると、少しずつ状態が悪くなっていき、やがて取り返しのつかない深刻な状態に陥ってしまいます。
「自分がつらい状態にあることを自分で認められる」
「つらいときは周りにつらいと言える」
「つらいときは休める」
こういう、互いにSOSを出せる環境でなければ、心を深く病んでしまう人が必ず出てしまうということです。しかも、他人のSOSを受け容れない組織文化においては、「(自分は我慢しているのに)あの人は甘えている」との怒りが生じやすく、ハラスメントの温床となります。
「よわいはよわい」と切り捨てる組織は、もろくて弱い。
「よわいはつよい」に共感できる組織は、しなやかで強い。
私はそのように考えます。