浜辺千夢の言葉と姿

ひよこ

2021年9月19日 00:05

8月半ば、夏休みも終わりに差し掛かる頃、私は1人の少女と出会った。

浜辺千夢。「はまべちむ」と読む。以下、彼女のニックネームである「ちむちむ」という呼び方で呼びたい。

ちむちむは名古屋を拠点に活動するアイドルグループ「シャニムニ=パレード」(以下、シャニパレ)のメンバーである。

私がどのような経緯でシャニパレと出会ったのか、についてはここではなるべく詳述を避けたい。とはいえ、そこを書かなければ、ちむちむとどのようにして出会ったのか伝わらないのも事実である。難しい。

今回のnoteは、そのシャニパレの中で、私がなぜちむちむに惹かれたのか、その理由を、シャニパレと出会った経由をごく簡単に辿りながら書いてみたい。

私がシャニパレを経由してちむちむを知ったのは、実はライブ等の現場ではなく、YouTubeであった。ライブでシャニパレを全く観たことがなかったわけではないが、意識的に観たことはなかった。

8月15日、夏季休暇最終日、私は午前の一番早い時間帯に2回目のワクチンを接種した。その日は午後以降、副作用を考慮し予定を一切入れておらず、自宅でゆっくり過ごすつもりだった。

副作用は、1回目の接種時よりも早く現れ始めた。午後3時を過ぎた頃、腕が上がらなくなり、夕方以降倦怠感が増してきた。

この段階ですでに翌日の出勤を断念すると決め、来たる高熱に備えた。結果的に、翌日にかけて38度を超える高熱に苦しめられることになったのだが、その「時間のある時」にたまたま観たのが、シャニパレと#ジューロックが共同で持つ中京テレビの冠番組「#しゃにむにロック」のYouTube動画であった。

同番組の中でシャニパレは「爆食コーナー」を担当しており、そこで私は偶然ちむちむを発見した。

スクリーンショット (514)

その回は、ちむちむを含む4人のメンバーが三重県の定食屋さんでひれかつの巨大盛定食を食べる回だった。男性でも完食はほぼ不可能と分かるような、総重量2kgのひれかつタワー定食であった。

ひれかつタワーを食べながら、完食までほど遠いちむちむは次のように語る。

「悔しい」

すると、スタッフは「何が悔しい？」と尋ねる。

スクリーンショット (533)

ちむちむは次のように答える。

「美味しく食べてあげられなくて…。『美味しい！』って言って食べてもらいたいだろうなって思ったら可哀想…」

後撮りのコメントでちむちむは次のように補足する。

「食べてあげられないのが可哀想に思えてきちゃって…カツが美味しそうに並んでて、最初の方のカツちゃんは凄い美味しく食べてあげたのに、なんか最後の方に残った子たちは冷え切っちゃって、たぶん凄い辛い思いしてるのかな…て思っちゃって…だからどうしても私の胃の中におさめてあげたいと思いました。もう絶対残してあげたくないと思いました。」(原文ママ)

スクリーンショット (523)

こうして、ちむちむは他の3人のメンバーからの応援も受けながらひとり食べ進め、食べ始めてから約1時間が経過した頃、カツ25枚を含む全重量約2.0kgを見事完食した。

スクリーンショット (535)

このような言葉を番組中に放った彼女の姿を観て、私は即座に彼女に興味を持ったと同時に魅了された。

当然ながら、彼女が約2kgのカツを完食したという事実に驚いたことは事実であるが、それ以上に、彼女の「完食」に対する言葉とその姿勢に、感銘を受けたのである。

おそらく、多くの「普通」のアイドルであれば、「他のメンバーのために」といった言葉が出てくるだろう。「メンバーの足を引っ張らないように」完食を頑張るというのが自然な言葉である。

しかし、ちむちむが語ったのは、「カツ」への想いであり、「残されるカツ」への想いであった。冷え切ったカツへの想いと「自身の不甲斐なさ」を重ね、「食べられない＝食べてあげられない」ことへの無念を表明したのであった。

スクリーンショット (529)

このちむちむの想いをさらに、観ているこちらの主観でさらに広げて解釈するならば、「カツ」を作ってくれたお店の人への感謝の気持ちへの「悔しさ」をも含ませて捉えることができる。これを拡大解釈と言ってしまってはそれまでだが、ともかく、このちむちむの言葉によって、番組は単なる「協力して完食する」番組とは違った色合いを見せて終了した。(ように思った)

ちむちむのこのコメントが番組の台本であるかは分からない。スタッフの言葉をただ読み上げたに過ぎないのもしれない。

しかし、そんなことはどうでもいい。我々が見ることのできる世界は、我々が見ることのできるちむちむは、その「映像」を通してでしか把握されない世界であるから。

ワクチンを接種した日の夕方から翌日にかけて、私はそのような経験を通じてシャニパレに一気に酔った。時間の許す限り、シャニパレの動画を観た。