No.400 塩揉み

余程急いているのだろう。
階段を駆け上がり木が軋む音がする。

「旦那!アタリですぜ」
そう言い入ってきたのは、塩屋の親父さん。

「旦那。そいつが娘さんを」

「そうか」
私は手に持っていた剃刀で椅子に座った人の皮膚を一枚一枚ゆっくりと捲り始めた。

宝を犯した皮がヒラリと落ちてゆくのが
目に滲んだ。

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