ハンディターミナルを使って棚卸(1)
工場や倉庫や店舗などでは、物品(商品や原材料や資材など)の在庫数を確認・記録し、台帳やシステム上の値と照合しているかと思います。
棚卸というものですね。
今回は、棚卸のうち、実物を数えて記録する部分の話です。
早く正確にやりたい
実施するサイクル(日次・月次)や方法(一斉・循環)など、やり方も複数ありますが、いずれにしても 時間の流れの中のある一瞬を切り取ることで「いつ なにが いくつあった」という記録になります。よって、物品の動きを止める(=時間を止める)ために、棚卸作業中は ほかの作業を止めたりします。このため、在庫数の確認は なるべく短い時間で済ませたいのです。
そして、システム上と差異があれば、原因を探ったり、値の修正をする必要もあるので、正確な値を記録したいのです。
「短時間で 正確に記録する」を実現するため、弊社では商品の棚卸にハンディーターミナルを利用しています。
もともとは やはり紙
以前は「在庫表」と名付けたフォームをExcelで作り、紙に印刷して、商品ごと・賞味期限ごとに在庫数を書き込んで記録していました。
日によっては結構大変なときもありますが、長年そうしてきたこともあり、担当者としては当たり前の作業になっていました。
そんな中、社内の他の工程にハンディターミナルを導入しました。ハンディターミナルを使えば、バーコード読み取りやOCRも可能です。これを利用して棚卸もラクにならないか、とやってみたのが始まりです。
商品のバーコード
ありがたいことに、弊社で扱う商品の箱には、バーコードが表示されています。以前は、バーコードのついていない商品も存在しましたが、表示するように徐々に変更していきました。
このバーコードを読み取ることで商品を特定することができますが、
バーコードの表示方法は、商品の種類によって違いがあります。
まず、バーコードの種類が
JANコード ・ GTIN-14
の2種類あります。
また、表示方法が
JANコードだけある・GTIN-14だけある・両方ある
の3つのパターンがあります。
取り組み始めたころ、バーコードについてよく検索していたのですが、バーコードの種類によって利用されるシーンが違ったり、バーの表現方法が違ったりすることを知りました。奥が深いです。
商品マスタ
読み取ったバーコードから商品名などを呼び出すためのマスタを用意します。基幹システムの商品マスタからデータを抽出して作っています。
先述のとおり、バーコードの表示方法が3パターンあります。
1種類だけ表示の場合は 迷わずそのバーコードを読み取ればよいのですが、2種類が表示されている場合、作業者がどちらを読み取ってもよいようにしたいですよね。そのため、2種類表示の商品は、両方のバーコード(の値)をマスタに用意しています。
ハンディターミナルのアプリ
開発用のツールを使って、アプリを作成しました。ノーコードでアプリが作成できるGUIツールです。普通の人が扱えるくらいのものなので、できることに限りはありますが、「やりたいこと」が「ツールで作れる範囲内」であれば、それで充分です。
画面の作成・画面遷移の設定・キーに対する動作の設定・商品マスタの読み込み・出力データのレイアウト設定などを行います。
できあがったらハンディターミナルにアプリを転送します。
在庫数を記録する
実際にハンディーターミナルを使う場面です。
一日の出荷作業が終わったら、その時点での在庫数を記録します。
流れは次のとおりです。
商品のバーコードを読み取る
画面に表示される商品名を確認する
商品の賞味期限を読み取る(OCR)
商品の数量をキーで入力する
1から3を繰り返す
すべて記録したら、データを送信する
送信したデータは、無線LANを通じて、ファイル共有サーバにCSV形式で保存されます。
開発ツールでは難しいことができない反面、画面も機能もシンプルにできます。操作も、慣れれば難しくはありません。
やってみて、どうだったか
よかったこと
クリップボードとペンを持つのに両手が必要だったが、ハンディーターミナルのみでは片手で済むようになった
紙に書くよりも短い時間で記録ができるようになった
どの商品から記録していくのか、順番を気にしなくてよくなった
商品名を手記入したときの、表記ゆれが無くなった
達筆すぎて読めない、ということが無くなった
達筆すぎる数字とも さよならできた
送信した時点で電子ファイル化されるので、その後の利用がしやすい
気になる点も...
OCR読み取りは、うまく設定しないと桁落ちが発生することがある
機器への信頼が絶大で、正しく読み取られているかを作業者が確認しない
これは紙のほうがよかったかも
間違えて記録したときの訂正が簡単
在庫があるのか無いのかがパッと見で分かりやすい
在庫表ファイルをめくると、在庫数の変化が読み取りやすい
在庫表ファイルをめくると、昨日はあって今日は無いもの(=今日の出荷で使い切ったもの)が分かりやすい
(あまりやらないけど)棚卸の途中段階で ほかの人に引き継ぎやすい
雑ですみません。
紙の方がよかったところは、ほとんど無理に書いた感じです。
電子データになれば解決できそうな(?)ものもあり、メリットのほうが大きいと思われます。
使い始めて1年半くらい経ちます。この間、1日1枚として計400枚くらい、紙を使わずに済んだ計算です。
ただ、送信したデータがCSVファイルで溜まっていくだけなので、あとから確認したいとき、とくに複数の日を跨いでの確認が面倒な状態です。
この部分をどうしたかの話は、こちらです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。