教師駆け出し(草加東高校)時代③

サッカーの本もたくさん読んでいたが、当時の愛読書に『トレーニング ジャーナル』と『コーチング クリニック』があった(英語の先生として本当にダメな人間だった。本気で英語の勉強をし始めるのに、それから15年も要した)。

筋トレにも興味はあったが、実際、生徒に試したのは、PNFストレッチ、ラダートレーニング、ミニハードルトレーニング等だった。

当時、ラダーは、まだ市販されたものがなく、使わなくなった箒の柄を業務主事さんに切っていただき(今思うと、本来業務以外の仕事をしていただいて申し訳なかった)、それに穴を空けて紐で繋いでラダーを手作りした。

手作りラダーのトレーニングは効果てきめんだった。生徒たちのステップは速くなり、対峙した相手チームの選手が転んでしまうこともあった。でも、ラダートレーニングの際、今とは真逆のことを指示していたので、当時の生徒たちには本当に申し訳ない。

あの頃は「拇指球を使え」と連呼していたので、部員たちは、やや猫背になり、つま先立ちでステップを踏んでいた。今は「カカトを踏め」と言っている。カカトを踏まないと地面反力を受けられないし、拇指球で地面を押すとふくらはぎの筋肉に力が入り、脚が攣る。実際、当時の草加東高校サッカー部員はよく脚が攣っていた。15年後に教えたサッカー部員は「先生に教わってから脚が攣らなくなりました」とよく言っていた。

ミニハードルは陸上競技のトレーニング用として、当時から売っていたとは思うが、私は針金ハンガーを外して、ミニハードル型に形を整え、それでランニングのトレーニングやリズムのトレーニングを行った。『トレーニング ジャーナル』で紹介されていたのはアメリカン フットボールのトレーニングなので、サッカーに向いていたのかは微妙。とは言え、サッカー部員たちのクイックネスは確実に向上していった。


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