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堀之内聖と私18
Jリーガーとして、少しずつ出場機会を増やしていった堀之内は2007年には、ついにACLの決勝の舞台に立つことができた。残念ながら、その決勝の埼スタでのホームでの試合で負傷してしまい、12月のクラブワールドカップの試合に出場することはできなかった。私は、ACLでレッズが優勝し、教え子の堀之内がクラブワールドカップの夢舞台に立つことを予想し、かなり高額な準決勝のチケットを購入していた。
クラブワールドカップでACミランと対戦した浦和レッズだが、そのピッチに堀之内聖の姿はなかった。しかし、高いチケット代を払って観に行った価値はあった。ACミランのブラジル代表のカカ選手が、レッズで最もスピードがあると言われていた坪井選手を、いとも簡単に抜き去るシーンを生で見ることができたのだ。
私は「陸上短距離の速さとサッカーの速さは違う」と確信した。指導していたサッカー部員たちに「起こり(予備動作)」のない動きをするにはどう身体を動かしたらいいか教えていたが、カカはまさに起こりのない動きをしていた。後に坪井さん自身がカカのことを「ゼロ100の速さ」と表現していた。まさにそれはカカが起こりのない動きをしていた証明だ。
レッズでの選手生活を終え、横浜FC、モンテディオ山形でJリーガーとしてのサッカー人生を過ごした堀之内だが、選手としての晩年、「先生、そろそろ新しいJリーガーを育てないと、僕が引退して教え子のJリーガーがいなくなりますよ」と私に言った。