潰瘍性大腸炎(指定難病97)



安倍晋三総理大臣が罹患されている事でご存知の方も多いかもしれませんね。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がる。この病気は病変の拡がりや経過などにより以下のように分類される。1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎 2)病期の分類:活動期、寛解期 3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症 4)臨床経過による分類:再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型
わが国の潰瘍性大腸炎の患者数は166,060人(平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計)、人口10万人あたり100人程度であり、米国の半分以下である。発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳にみられるが、若年者から高齢者まで発症する。男女比は1:1で性別に差はない。喫煙をする人はしない人と比べて発病しにくいと言われている。これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられているが、まだ原因は不明。潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられている。欧米では患者の約20%に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されている。近年、世界中の研究者によりこの病気の原因を含めた特異的な遺伝子の探索が続けられているが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていない。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられている。下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められ、痙攣性または持続的な腹痛を伴うこともある。重症になると発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こる。また、腸管以外の合併症として皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもある。潰瘍性大腸炎の診断は症状の経過と病歴などを聴取することから始まり、最初に血性下痢を引き起こす感染症と区別することが必要。下痢の原因となる細菌や他の感染症を検査し鑑別診断が行われる。その後、患者は一般的にX線や内視鏡による大腸検査を受け、この検査で炎症や潰瘍がどのような形態で大腸のどの範囲まで及んでいるかを調べる。さらに"生検"と呼ばれる大腸粘膜の一部を採取することで病理診断を行う。潰瘍性大腸炎はこのようにして類似した症状を呈する他の大腸疾患と鑑別され確定診断される。原則的には薬による内科的治療が行われるが、重症の場合や薬物療法が効かない場合には手術が必要となる。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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