先天性魚鱗癬(指定難病160)
先天性魚鱗癬は先天的異常により皮膚のバリア機能が障害され、胎児の時から皮膚の表面の角層が非常に厚くなる病気。出生時あるいは新生児期に全身または広範囲の皮膚が厚い角質に覆われる。患者数は約200人。特にかかりやすい人があるわけではない。病型により遺伝形式は異なるが、常染色体劣性遺伝性の病型では血族結婚で発症率が高くなる。この病気の原因は皮膚最表面の表皮を作っている細胞(表皮細胞)の分化異常、脂質の産生、代謝、輸送の異常である。それらにより皮膚のバリア機能が障害されることで皮膚表面の角層が著明に厚くなる。病因となる異常は病型により異なり病因遺伝子としては、ABCA12、TGM1、ALOX12B、ALOXE3、CYP4F22、NIPAL4, PNPLA1, CERS3, KRT1, KRT10, KRT2, ALDH3A2 (FALDH)、ABHD5 (CGI-58), SUMF1, SPINK5, ERCC2, ERCC3, GJB2, STS, MBTPS2, EBP, NSDHLがある。遺伝性の病気であり、病型によって常染色体劣性、常染色体優性、X連鎖性劣性、X連鎖性優性などの遺伝形式をとる。出生時から新生児期に全身、または、広い範囲で皮膚表面が非常に厚い角質物質に覆われる。重症例では眼瞼、口唇がめくれ返り耳介の変形も認められる。皮膚に水疱形成がある例、皮膚以外の臓器に異常を認める例もある。現在のところ根治療法はない。皮膚症状に対しては保湿剤やワセリン等の外用による対症療法を行う。重症例では新生児期は輸液・呼吸管理、正常体温の維持、皮膚の感染のコントロール等の保存的治療を行う。新生児期からのレチノイド全身投与療を行うこともある。ごく一部の重症例で新生児期、乳幼児期に死亡することがある。学童期に至るまでに症状が軽快する例もあるが、多くの症例で生涯にわたり症状は持続する。発汗障害があるため高体温になりやすく特に夏季には体温の異常な上昇に注意が必要。室温、衣服のこまめな調節が重要である。鱗屑として失われる蛋白量を考慮して十分な栄養を摂取するように気をつけること。本症の病態の本質は皮膚バリア不全であることを理解し、保湿に努めることも大切である。厚く堆積した鱗屑は剥がしたり、こそげ落とすことにより、整容上、機能上、有益な場合もあるが、無理には剥がさないようにすること。2次的に細菌感染をおこす場合も多いので、毎日の入浴で皮膚表面を清潔に保ち、かつ、入浴により弱まる皮膚バリア機能を入浴後の保湿剤などの外用で補うようにすること。
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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之
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