ソトス症候群(指定難病194)

ソトス症候群は、頭が大きい(大頭症)などの顔貌の特徴、体つき(身長)の大きさ(過成長)、発達の遅れなどをもつ症候群である。この病気の患者は1~2万人に1人と推定されている。大頭症や過成長などの特徴から小児期にこの病気に気づかれることが多い。人種差や性差は特になく、どの夫婦の子どもとしても生まれてくる可能性がある。5番染色体にあるNSD1遺伝子の異常が原因である。その機序としては、約半数はNSD1遺伝子を含んだ染色体の微細な欠失(欠失型)で、1~2割はNSD1遺伝子内部の変異(変異型)。残りの3~4割の人は検査では遺伝子異常がみつからない。また、近年NFIXという別の遺伝子異常によるソトス症候群類似の症状をもつ人も報告されている。ほとんどは親から受け継いだのではなく、突然変異での発症であり、次子への遺伝性はない。本人の子供には50%で病気を伝える。症状は以下のとおり。
1)ほとんどの人にみられる共通する症状
・過成長(出生時から頭囲や体つきが大きい)・発達の遅れ(その程度は個人差あり)
2)主要な合併症
・心臓合併症(動脈管開存症、心室中隔欠損症)・腎泌尿器合併症(水腎症、膀胱尿管逆流、尿路感染症、腎形態異常)・けいれん・側弯(背骨の曲がり)・扁平足
3)その他の合併症
・耳の合併症(中耳炎、聴覚障害)・眼の合併症(屈折異常、斜視)・歯科的症状(早期萌出、歯肉炎、何本かの永久歯欠損、歯並びの問題)
根本的な治療法はないが、定期診察を通じて合併症に早期対応していくことが大切。また、理学療法、作業療法、言語指導などの療育的な支援も有効である。経過としては生まれた時から頭や体が大きく、その後も成長の促進(過成長)が目立ち歯も早く生えてくる。筋緊張低下もあるために、運動発達の遅れや哺乳や摂食の障害もみられる。幼児期には体もかなりしっかりとしてくるが、この頃には、中耳炎や尿路感染症、けいれんなどの合併症が現れることもある。学童期から青年期になってくると成長の促進は落ち着き、身長も標準範囲に近づくことが多い。この時期、側弯の出現にも注意が必要。多くの場合、知的発達の遅れに対して、療育や特別支援教育による支援が必要である。成人期の情報はまだ十分ではないが、決して寿命が短いことはなく、60歳を超えている人も知られている。側弯などの整形外科疾患、精神・心理的症状、眼科疾患、腎臓疾患などについて、引き続き注意が必要。定期健診による健康管理と療育的支援につながっていくことが大切。膀胱尿管逆流現象から尿路感染症を起こすことがあるため、原因不明の発熱時には尿路感染の検査もしてもらうこと。成長とともに今までなかった側弯が出現、悪化してくる場合があるので、健診では側弯のチェックも受けること。けいれんを起こす場合には、発作時の対応の仕方を医師と相談すること。

疾患の詳細はリンク先をご覧ください。


引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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