アントレー・ビクスラー症候群(指定難病184)

アントレー・ビクスラー症候群とは頭蓋骨の成長が制限される「頭蓋骨早期癒合」と、骨の癒合のため肘の関節が固定される「上腕骨橈骨癒合」を特徴とする先天性の疾患。多くの方ではステロイドホルモンの不足を伴う。患者数は不明。男女比は1:1で、欧米に比べ日本人にやや多い可能性がある。PORという遺伝子の異常が原因。病態のメカニズムはほとんど解明されていない。劣性遺伝という遺伝の仕方をする。このため、親子間での遺伝はないが、きょうだいが同じ病気になる可能性はある。頭蓋骨早期癒合のため脳の発達が妨げられ、眼球が突出したりする。上腕骨橈骨癒合のため肘の関節の運動が制限され、肘以外の関節も曲がりにくかったりする。このほかに鼻や気管が狭いため、呼吸が苦しくなりやすい場合もある。鼻や耳の形にも特徴がある。ステロイドホルモンが不足するため、男子では性器の発育不全を生じるが、女子では逆に陰核が肥大した状態で生まれることがある。また、慢性副腎不全という状態となり、疲れやすかったり、体重が増えないという症状がでることもある。ステロイドホルモンのうち、副腎ホルモンに関しては補充療法が必要となることが多い。女のお子さんは思春期以降に女性ホルモンの投与を行うこともある。頭蓋と顔面に対しては、頭蓋や顔面骨を広げる手術を行う。近年では、広げたい骨の所に延長装置を取り付けて毎日少しずつ伸ばしていく骨延長法を行うことが多くなっている。ステロイドの服用と適切な時期に手術を受けることで予後は比較的良い。しかし、成人までに複数回の手術を要する。日常生活においてステロイドの服用を忘れないことが重要。また頭蓋内圧亢進症状による頭痛や嘔吐・吐き気、あるいは呼吸状態に注意を払う必要がある。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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