1p36欠失症候群(指定難病197)
1p36欠失症候群とは精神運動発達の遅れや筋緊張低下、てんかんなどの神経症状に加え、特徴的な顔立ちや、先天性心疾患などの合併症を示す染色体異常症候群の1つである。患者数は海外では1万人に1人程度と報告されているが、日本における調査では2万5千人から4万人に1人の頻度と考えられ、年間10~20人程度の患者の出生があると推測される。人種差や生活習慣とは無関係。男子より女子の方が多く、男子が3割、女子が7割の比率で認められる。1番染色体短腕の末端(1p36;いちぴーさんろく)領域の欠失が原因。ほとんどの患者は突然変異で生じた染色体異常が原因であるが、不均衡転座による1p36欠失を示す患者の一部は均衡転座保因者である親から受け継いでいる。症状として精神運動発達遅滞がほとんどの患者で認められるが、ごく軽度な場合から重度の場合まで様々。てんかんや先天性心疾患、甲状腺機能障害、肥満、耳鼻科疾患、口腔外科疾患などは合併する場合もしない場合もある。根本的な治療法はない。各症状に対して一般的な対症療法を行う。経過としては精神運動発達は遅れながらも伸びていく。構音障害を示しながらも会話が可能になる場合もあれば、自力歩行ができない場合もあり、経過は様々である。染色体欠失の大きさや合併症の程度にも影響される。特に精神発達の予後はてんかん発作の予後と関係している。自力歩行ができ日常生活も比較的自立している患者の場合、過食から肥満になることがあるので注意が必要である。
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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之
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