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またきっといつかどこかで 4
「おはよーございまーす」
「ああ、山本くん...おはよう、ジャンプを...」
「ああ、わかりました、買ってきますねー」
「内辺先輩、ジャンプとコーヒーっす」
「ああ、ありがとう」
談話室
生協の2階、タバコの匂いと煙が立ち込める場所が
軽音楽部の部室だった。
大体の部員が、休み時間や授業終わりにここで喋ったり、麻雀したり、マンガ読んだりして過ごしていた。
優しい先輩たちと、優しい同回生達により
馴染めるかという不安をよそに
例にもれず、僕もその一員となって
先輩達や同回生とたわいもない話をしていた。
「そういや、最近ランラン見ないなー」
「ああ、なんかあの子、森下先輩と付き合ったらしいですよ」
「森下!?そっかー、森下かー」
森下先輩、バイクが大好きで、ギターが上手くて、男らしい先輩。
僕も何度かバイクの後ろに乗せてもらったことがある。
でも...
何かあったか知らないが、森下先輩は軽音楽部の中で気に食わない事があるらしく、部活にも顔を出すことはなくなっていた。
部活に来なくなった先輩、
その先輩と付き合ったランランは自ずと談話室に来づらくなってしまったという訳だ。
「そっかー、ランラン面白い子だったのになー、もったいないなー」
確かにランランは愛嬌のある子で、
僕ら同回生の中でもムードメーカーだった。
「山本くん、あれだよね?ランランと仲良いよね?この前のライブの時バンドも組んでたし」
「ああ、はい。一緒に帰ったりはしてましたけど...」
「だよね!よし!山本くん!」
「はい?」
「ランラン取り戻してきてよ!」
「は、、はい?」
「だって、ランランいた方がいいよね?」
「それは、はい」
「好きか嫌いかで言うと?」
「まぁ、好きですけど...」
「じゃあいいじゃん!ランラン取り戻してきてよ!」
「いや、あのそんなジャンプ買ってきてぐらいの感じで言われても」
「決まりね、山本くん頼んだよ!」
「ええっ!」
はぁ、まあ確かにランランいないのは寂しいし、
来づらいのもあれだから、来れるように話してみるか...メール入れとこ。
えーと、とりあえず軽い感じで...
(ランラン、今度ご飯食べに行かん?)
(いいよー、じゃあ悪いけど私のバイト終わりにイオン来てー)
意外とすんなりOKもらえたな...
こうして、僕は談話室にランランを取り戻しす為、
約束の日、ランランのバイト先に向かった。
....ああ、なんか緊張する。