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#自伝的小説
またきっといつかどこかで 8
「山さん、ふきこぼれやらん?」
それは、高校時代の同級生からのメールだった。
相田君
彼は芸大生になっていた。
ふきこぼれ
高校時代、JamFilmsをはじめとして
サブカル界隈でショートフィルムや小劇団が
流行っていた頃、
その空気感に憧れた僕達は、
「ユニットを組む」ということがしたくて
その時仲が良かった数名で何をする訳でもなく、ユニットを組むことにした。
結果、みんなで遊んだり、
またきっといつかどこかで 7
「やまもっちゃーん」
「おお、桜庭、どうしたん?」
「あのさ」
「ん」
「ランランのことなんだけど」
「うん」
「やまもっちゃん、今は友達って感じだって」
「うん、、、は?」
「今はまだ友達って感じだって」
「え、お前、ほんとに聞いたんか?マジで、いや、バカなの?」
「まあまあ、次行こ、次!」
「俺ですら返事まだ聞いてないのに!」
「ははは、まあいいじゃん」
「いや、ちょ
またきっといつかどこかで 6
えー
あのー
「なになにやまもっちゃん」
「早く言えよ」
えーとですね
好きかもしれん
僕は仲のいい同回生2人と学食を食べていた。
「え、なに、誰?」
ランラン
「えー!やまもっちゃーん、恋してるねー!大学生!」
キミも大学生やろ
「そうなん?え、いけるか向こうに聞いてやろうか?」
いや、デリカシーっちゅうもんがないんか。
そもそも向こうは先輩と付き合ってるし。
「へーそ
またきっといつかどこかで 5
約束の日
僕はランランの働くバイト先へと向かった。
「えと、確かこの店だったな…アパレルでバイトしてんのか…」
店内をキョロキョロ見回すと、接客途中のランランを見つけた。
「へー、働いてる姿を見るのはなんか新鮮だなぁ」
「いらっしゃいませー、どうぞご覧くださいませー!」
「お客様、なにかお探しですか?プレゼントですか?」
「あ、いえ、え、大丈夫です!」
僕は一目散に店から逃げた。
またきっといつかどこかで 4
「おはよーございまーす」
「ああ、山本くん...おはよう、ジャンプを...」
「ああ、わかりました、買ってきますねー」
「内辺先輩、ジャンプとコーヒーっす」
「ああ、ありがとう」
談話室
生協の2階、タバコの匂いと煙が立ち込める場所が
軽音楽部の部室だった。
大体の部員が、休み時間や授業終わりにここで喋ったり、麻雀したり、マンガ読んだりして過ごしていた。
優しい先輩たちと、優しい同回
またきっといつかどこかで 3
大学に入学し、
軽音楽部の新歓コンパは続く。
今日は夜の公園で花見しながらの催し。
「えー、じゃあ自己紹介していこうかー。
そっちの子から!そうそう、キミ!」
新入生あるある、自己紹介地獄である。
何度も言うが、僕は男子校で3年気楽に生きてきてしまった。
大勢かつ女子のいる飲み会での自己紹介など持ち合わせていない。
「えー!藤岡蘭っていいますー。
みんなからはランランって呼ばれてます!
またきっといつかどこかで 2
2005年 4月
新入生のみなさーん、テニス部ですー!
飲み会やりまーす、タダでーす!
とりあえず来てくださーい!
ねえねえ?新入生?
今日新歓コンパやるんだけど来ない?
友達沢山できるよー?
「いえ...すみません...入る部活決めてるので...」
大学入学────
初めての一人暮らし、初めての土地。
そんな事より僕には不安があった。
「男子校で3年気楽にやってきたから女子と何喋って
またきっといつかどこかで 1
「おつかれー、帰るよー」
「チーフ、お疲れ様です」
「ああ、2日間ありがとうね、お土産食べてね」
「いただきまーす」
「また明日ねー」
...日常に戻ってきたなー。
.........。
───ガチャ
「いらっしゃいませ、あ、恭輔くん」
「こんばんは、マスター、ビールと納豆ピザで」
「旅行どうだった?」
「楽しかったですよ、温泉も入れたし、花見して仕事のことも忘れられたし、申