part20 第3回全国ヨーグルトサミットinいわてが繋ぐ絆とレガシー
発想の転換「ヨーグル党総選挙」
2021年12月1日㈬から2022年1月9日㈰の40日間、熱い戦いが繰り広げられた「ヨーグル党総選挙」。
はじめに伝えておこう。
この企画のベースを作ったのは、私で間違いない。
自慢したいわけではない。課題はある。
だからこそ、この企画の文句は全て私が負う。
そして、これも伝えておきたい。
私はポスターや選挙活動はじめ、PRは行っていない。
公平性を担保するため、あくまでも選挙管理委員としての活動を徹底したことをここに記す。
2021年9月に開催があった場合、この企画が世に出ることは絶対ない。
なぜなら、元々3回大会で選挙企画は全く考えていなかったからだ。
では、なぜこの企画が生まれたか?
以下に記述することにしよう。
始まりは9月に行われた打合せ。
実行委ではシンポジウム・WEB動画・小規模の販売をやるということは決まっていたものの、9月のリアル開催と比べてどうしても「尻すぼみ感」があった。
何かフックとなる企画を作る必要があったのだ。
打合せの中、「選挙はどうですか?」という話が出た。
過去1回・2回とも総選挙を実施していたいたのだ。
確かに、一理あるかもしれない。
そう思い、過去の選挙を調べてみることにした。
過去のヨーグルトサミットでの選挙-小美玉編-
先ず、第1回であるが、108種類のヨーグルトから食べてみたい・飲んでみたいヨーグルトを3種類セレクト。
3種類のヨーグルトを試食・試飲をし、4つの項目を査定。
項目は以下の通り。
①ベストリピーター(また食べたい)
②ベストデリシャス(おいしい)
③ベストパッケージ(デザインが良い)
④ベストテクスチャー(食べやすい)
https://www.city.omitama.lg.jp/omitama/election.pdf
第1回は即完売のメーカーが多発し、総選挙に多くの来場者が集中した。
恐らく、この時に販売を続けていた企業の中から、3種類セレクトはほとんどなかっただろうと思う。
これは仕方がない。
想像以上の集客数とクラフト(ご当地)ヨーグルトの限界が出した結果だ。
クラフトヨーグルトの限界?
クラフトヨーグルトの限界とは?と思った人もいるだろう。
簡単に言えば要素は2つある。
①原料(生乳)の限界
②製造の限界
大手の場合、全国から生乳や原料を仕入製造することが出来る環境を整えているため、大量に製造することが出来る。
しかしながら、クラフトヨーグルトの原料は地元地域や同県の生乳、もしくは自社飼育の生乳だ。
上記に合わせた設備環境となるため、当然大手ほどの大量生産はできない。
消費者とクラフトヨーグルトの相互理解。
これは、まだまだ時間がかかりそうだ。
過去のヨーグルトサミットでの選挙-真庭編-
第2回は出展メーカー19社を対象に実施。
投票方法は至ってシンプル。
試食をして、最も美味しいと思ったメーカーに投票するスタイル。
確かに参考にはなったが、今回はWEB開催。
試食という経験に基づく投票は難しい。
予算が異常にかかる。
この企画はあくまでフック。
莫大な予算はかけれない。
そもそも、選挙を実施する意図を明確にしなければ。
知る機会を創出、それがヨーグル党総選挙
皆さんは今回ヨーグル党総選挙に参加していたメーカーをどれだけ知っていただろう?
不躾で申し訳ないが、おそらく10社知っていたらすごい方だと思う。
今回参加してくれたメーカーが以下の通りとなる。
□ヨーグル党総選挙参加 全34メーカー(HPエントリーナンバー順)
ム党部門
①あすなろファーミング(北海道)
②新郷村ふるさと活性化公社(青森県)
③田野畑村産業開発公社(岩手県)
④岩泉ホールディングス(岩手県)
⑤なかほら牧場(岩手県)
⑥しあわせ乳業(岩手県)
⑦手作りアイスクリーム牧舎松ぼっくり(岩手県)
⑧岩手牛乳(岩手県)
⑨会津中央乳業(福島県)
⑩南ヶ丘牧場(栃木県)
⑪那須高原りんどう湖ファミリー牧場(栃木県)
⑫八丈島乳業(東京都)
⑬ホリ乳業(石川県)
⑭長門牧場(長野県)
⑮アトリエ・ド・フロマージュ(長野県)
⑯しおのえふじかわ牧場(香川県)
⑰糸島みるくぷらんと(福岡県)
⑱球磨酪農農業協同組合(熊本県)
⑲アリマン乳業(宮崎県)
カ党部門
①JerseyBrown(北海道)
②カントリーホーム風景(北海道)
③おおのミルク工房(岩手県)
④くずまき高原牧場(岩手県)
⑤大石乳業(岩手県)
⑥JAグリーンサービス花巻ハヤチネフーズ事業本部(岩手県)
⑦湯田牛乳公社(岩手県)
⑧鳥海やわた観光(山形県)
⑨小美玉ふるさと食品公社(茨城県)
⑩筑波ハム(茨城県)
⑪ミルク工房もりや(茨城県)
⑫西山酒造場(兵庫県)
⑬蒜山酪農農業協同組合(岡山県)
⑭あせひら乳業(広島県)
⑮秋川牧園(山口県)
如何だろう?
殆ど知らないという方も多いと思う。
今はそれでいい、これから知ってもらえばいい。
ご当地ヨーグルトは高付加価値商品だ。
飼育・製法・原料・パッケージなどこだわりが沢山。
そして、ストーリーが詰まっている。
だからこそ高い。
故に、多くの方は「知らないと買わないし、買えない」。
先ずは、知ってもらう場を創出する。
それが今回の総選挙の意図である。
小林の妄想と構想 ポスター編
とは言ったものの、どうすれば多くの方に知ってもらえるだろう?
試食もないのに、どうすれば多くの方に参加いただけるだろう?
小林は考えた。
一旦、これまでの資料を見直していた。
その中で、各メーカーの提出情報があった。
商品や企業の説明を見ていた。
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「長い。あと、みんなマジメすぎて1個1個見んの疲れる。」
何だろう?すごくいいことを書いているのに、途中でつらくなる。
これが表向きで見せられるとつらい。
ふと、広島県あせひら乳業社長の児玉尚子(こだまなおこ)氏との会話を思い出した。
「省令の関係で商品パッケージに記載する内容ってめっちゃ神経使うんですよ」。
なるほど。
商品開発に携わったことのない私からすると、そういった発言自体、目から鱗だった。
だったら、書きたいこと書ける場を作ったらいい。
書きことも書けないこんな世の中じゃPoison。
👆このとき、本当にこう思った。
その時、地元のまつりで掲示されていたポスターを思い出した。
馬鹿馬鹿しくて面白かった。
選挙と言えば、ポスター。
いきなり会社情報や商品情報を見せるのでなく、自社の持つウリをネタにすればいい。
そうすれば取っ掛かりが作れる。
入口は入りやすいほうが良い。
小林の妄想と構想 カ党・ム党編
ポスターはこれでいい。
次は、ジャンルだ。
第1回は4つの項目に分け、第2回は単純に1本化。
今回の場合、どちらも厳しい。
何度も言うが「そもそもメーカーを知らない」からだ。
4つの項目に分散したら、混乱。
1本化すれば、そもそも知らないメーカーの選挙。
これでは絶対に無理。WEBでは盛り上がらない。
ご当地ヨーグルトグランプリとも一線を画したかった。
ご当地ヨーグルトグランプリはプレーン部門・ハード&ソフト部門・ドリンク部門にエントリーをした商品を、プロが審査する企画。
ここで質問。
ご当地ヨーグルトグランプリの部門タイトルを見て、ピンときただろうか?
ビビッときた人間は相当なヨーグルトフリークだ。
ヨーグルトの種類についてご存じだろうか?
知ってるよ、という方。
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少し黙っていただこう!!
大きく分けると5つ。
「ハード」「プレーン」「ドリンク」「ソフト」「フローズン」。
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この違い分かるかね?分かるまい!
私も詳しくはこの時知った(笑)。
流石は明治。調べたらすぐ出てくる。
どう考えても、一般に馴染みがない。
そもそも、こういったジャンルで消費者は購入するだろうか?
ありえない。
ならば、加糖とプレーンではどうか?
実は、ここがヨーグルトの面倒くさいところ。
👆ヨーグルト界から怒られろ!
何故私が今、わざわざプレーンと書いたのか?
正しく言えば、無糖のヨーグルトと言うのは殆ど市場にはない。
なぜなら、生乳にはそもそも糖が含まれているからだ。
便宜上、栄養成分表示を「炭水化物=糖質」としている。
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めんどくせー。本気で思った。
もう、考えるのやめよ。
加糖・無糖って書けば、後々誰か五月蠅いだろうし・・・
基準はこっちで決めちゃえ!
どうせ選挙なんだから、選挙っぽいネーミングにしよう!
いっそのこと、ヨーグルト総選挙ってのもイマイチなネーミングだし、こっちも変えちゃえ!
カ党(甘い)・ム党(甘くない)に分かれ、どちらで出馬するかはメーカー独自で判断いただいた。
この面倒くさい精神が「カ党」「ム党」の真相である。
全員で創る選挙
この34メーカー、一体どうやって決まったか?
答えは単純。
2021年9月開催時に出展するはずだったメーカー40社に声掛けしたのだ。
何故、他社乳業メーカーに声掛けをしなかったのか?
この選挙は元々、優劣を決めることを意図していない。
第3回全国ヨーグルトサミットに参加したメーカーや地域を知っていただくこと、これに重きを置いているからだ。
今回のヨーグル党総選挙を実施していくにあたって、私自身の覚悟があった。
最終的にグランプリを決定し、メディア訴求する上で優劣をつけたわけだが、個人的なコンセプトは異なる。
参加メーカー全員で創る選挙。
今回WEBを中心とした開催をするにあたり、全員で取り組める事業が1つも無くなってしまっていた。
ヨーグルトサミットに参加するメーカーは全て中小乳業メーカー。
単体で動いても大きな力は働かない。
イメージはドラゴンボールの元気玉。
1つ1つの力は小さくとも全員が一緒に取り組むことで、大きな力として動く。
最大の目的は優劣を決めることではない。
共に歩んでいくという覚悟。
それを前提としていることを、忘れないでほしい。
プレスリリース
各社がポスター作成に勤しんでくれたこともあり、大きなデザイン料なども掛からず、事前プレスリリースに予算をかけることができた。
また、小美玉市の中本氏の後方支援も助かった。
全国の地方紙へのパイプを繋いでくれたのだ。
最終的に、ヨーグル党総選挙の取り上げられたメディア関係の媒体を纏めると、以下の通りとなる。
テレビ2、新聞12、新聞(デジタル)74、ラジオ4、広報誌3。
全部で95も記事にしていただいた。
これは今回のヨーグル党総選挙の大きな後ろ盾となった。
熱が入った選挙活動
いよいよ12月1日㈬からはじまったヨーグル党総選挙。
今回の醍醐味と言ってもいいのが、何といっても40日間の選挙活動。
選挙活動内容に入る前に、若干前置き。
何故この時期だったのか?
実行委員会は年度内の3月に解散しなければならなかった。
そこからの逆算。
2022年2月 精算業務
2022年1月 WEBギャラリー・シンポジウム・マルシェ・オンラインショップ
2021年12月 ヨーグル党総選挙(フック企画)
ここしかなかったのだ。
さらに巻き戻そう。
8月は大規模開催の中止に関する案内。
9月から企画を考え、10月に関係者に案内しながら、総選挙に参加いただくメーカーの招集とポスター作成などの取り纏め。
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振り返っている暇などなかった。ただ、ひたすら走り続けた4か月。
何とか12月にこじつけたのだ。
選挙活動に話を戻そう。
振り返ると、関係者・得意先へのポスティング、SNSでの発信、キャンペーン企画、直売所でのポスター掲出など、全社精力的に活動いただいた。
この期間、面白かった選挙内容を2つ紹介したい。
なかほら牧場
牛に対して、今回のヨーグル党総選挙にかける思いや意気込み、商品特徴などを演説した。という演出。
仕掛けたのが、なかほら牧場の岡田氏。
人ではなく、牛たちに伝えるというのが実に面白い。
球磨酪農農業協同組合
インタビュー形式にてヨーグル党総選挙への投票を促した。
仕掛けたのが、球磨酪農農業協同組合の松山氏と山口氏。
分かりやすく、且つ秀逸。
過去の選挙も含めての内容だけでなく、自社の新商品のPRまで入れ込む。
これには、地元インスタグラマーの支援も大きかったという。
総選挙 小林の願い
これは私の願い。
ヨーグル党総選挙は幕を閉じたが、一緒に創り上げた選挙だということを忘れないでほしい。
①他のメーカーはどういった取組をしてきたか?
②自社ではどのように取り組んだか?
③訴求効果はどうだったか?
少なくともこれだけは、振り返っていただきたい。
メーカーには、個人情報以外の投票してくれた人のエリア(都道府県)・年代・応援コメントを共有している。
因みに、今回投票してくれた方の中で、自由記述にも関わらず応援コメントを書いてくれた方は、6割を超える。
これはサミットにとっても、メーカーにとっても大きなレガシーとなる。
一緒に取り組んだことで、点ではなく円。
これだけのメーカーが参加したのだ。
マーケティングという面でも大きな財産を残せることになった。
これが、私から見たヨーグル党総選挙。