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子ども

3歳くらいだろうか、小さな女の子。

とととっと駆けてきて「子どもがいる」ってつぶやいた。

そう言えば本当だ、垣根の外から男の子の声がする。駐車場に停まったワゴン車の向こうから、お父さんと息子みたい。

女の子と目が合ったので微笑むと、女の子はしゃがんで私をのぞきこむように首をかしげ「子どもいる?」ときいた。

大人同士の会話なら珍しくない質問だが、こんな小さな子でも知りたいことなのか?少し戸惑うが他の意味にも取れないので、深く考えず答える。「いないよ」

「ふーん、うちは、私が子どもだぁ」言いながら女の子は笑って駆けていった。

大人の会話を真似してみたのかな?不思議でおかしい。

それにしてもなんで私に声をかけてくれたのだろう。私は黙っているのが苦にならない質で、自分から話しかけるのは苦手だが、声をかけてもらって嬉しかった。

そうだよね。人は本来、人と交わりながら生きていく。言葉を交わしたり、相手を気にかけたりするのはごく自然なことだ。嬉しいのはそのためだ。

一人納得しながら、幼いころは自然に簡単にできていたことが、大人になるとどうして難しくなってしまうのだろうと思った。

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