ここではないどこか 韓国ドラマの世界 第三回「信じる力」(せともも)
今回で3回目となるのですが、お薦めしながら、私自身どうしてここまで韓国ドラマを観るのか考えてみました。
自分の書いた脚本が放送されるようになりましたが、初めて脚本の存在を知ったのは小学生の頃です。とにかく映画が好きで、観終わってもなかなかその世界から抜け出すことができず、なぜこんなに感動するのかと思っていたら父親が「映画には脚本ってものがある」と教えてくれたのがきっかけでした。
当時は漠然と、こんなに心を引っ張り込む素を作るってどういうことだろう・・・と、読んでみると脚本という形態が読み物として面白い!と思ったのを覚えています。
面白いものを見ると、なぜ?と理由を突き止めたくなるのは癖のようで、韓国ドラマを次々と観ていくうちに、どこになぜこんなに惹かれるのか、そればかり考えるようになりました。そして見つけた答えは、『違和感』です。
日本と近く、外見も似ているからこそ目立つ韓国ドラマの中の違和感。
共通点で人は近づいていく。気になっている人と共通点があると嬉しくて好きになる。
それが多ければ多いほど違うところがあった時、さらに惹かれていくのではないか・・・?
わー、キャーとときめいているうちに見過ごしてしまいますが、知らず知らず積もっている小さな違和感こそ日本人が韓国ドラマに惹かれる理由なのではないかと思っています。
これまでの「名前」「心の病み」もそうですし、今回のテーマ「信じる」も観ているうちに、違和感に気がつきました。
韓国ドラマを見ていると、どんなものも「信じること」がベースになっている気がします。
存在や正体、本心、そして愛・・・ラブストーリーに限らず、親子友達家族など、あらゆる関係のいろんな「信じる力」がストーリーを動かしている。台詞にはっきりとでてくることも多いです。ほぼ100%登場する「サランヘヨ(愛してる)」=信じることなのだと気づきます。
当たり前のようですが、日本のドラマでそれを意識したり台詞で聞くことは少ないなと感じました。韓国ドラマは、ファンタジーやSF要素の強いものも多いのでそういう作品では、よりそれが目立ちます。
私の恋したテリウス(2018)
突然夫が死んでしまい双子と共に残された主人公、ベビーシッターに雇った向かいに住む男は国家情報院の特殊要員だった!?というストーリー。正体を知ったヒロインは、葛藤した結果彼を信じる、と決める。
テーマとは関係ないですが、びっくりしたのは、二年前のドラマなのにテロの兵器として『コロナウィルス』がでてくること。ウィルスの性質なども具体的で、韓国はやっぱりかなり以前から警戒して準備していたんだなと感じました。
君の声が聞こえる(2013)
幼い時に母を無くした少年は、ある時父を目の前で惨殺される。誰も助けてくれないなか唯一自分の味方になってくれた女子高生。彼女を想い続けて10年後、高校生になり再会した女性は、想像していた姿と全く違っていた。
こんなの絶対好きになるにきまってるよー。という男子高校生と10歳上の女性弁護士のラブストーリー。少年は事件のトラウマから他人の心が聞こえる。という能力を持っていて、二人は進んでいくストーリーの中で、お互いに何度も何箇所も信じる、ことを重ねます。
ああ私の幽霊さま(2015)
シャーマニズムがあるからだと聞き納得したのですが、韓国ドラマにゴーストものはものすごく多いです。これは幽霊に憑依される体質が故にコミュ障の女の子が、処女のままでは成仏できない女の子の幽霊に狙われたことで明るく変わっていく、というラブコメディ。
主人公の憧れる相手が、憑依されている時といない時で別人になってしまう彼女に翻弄されながらも、信じていく姿がチャーミングに描かれています。
これまで紹介した作品は、どれもどこかで無料で観られるものばかりですので、気になるものがあったら、ぜひ一度観てみてください。最近は、Netflixで梨泰院クラス、ザ・キングを観ています。
次回は、「韓国ドラマな少女漫画」
すぐに韓国ドラマになりそうな、要素満載の漫画を紹介したいと思います。
せともも
ラジオを中心に、脚本などを書いています。
韓国ドラマを、できるだけ、俳優以外の視点で紹介します。
http://www.setomomo.net