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ふきのとう(うめすみ)

久しぶりに朗読をしました。
というのは学校の臨時休業が続く中、小学校では自宅学習の課題として「国語の教科書の音読」というものがあるそうで。
「ラジオパーソナリティによる音読のお手本をラジオで流そう」という番組企画が立ち上がり、「うめちゃんもよろしく!」と教科書を手渡されました。


朗読。…朗読。
学生時代、アナウンサー志望だった僕は朗読のゼミを取っていましたが、実は自分の中で未だに「朗読はこう!」というものが見当たっておらず(音声表現をする人は割とそうなんじゃないかと思いますが)。

言い換えればどんな読み方をしても朗読として成立させることができる、これが俺の朗読なんだと言い張ることができるので、それ故に自分のスタイルを見つけるまではひたすら朗読の沼をさまよい続けることになる…のだと思っています。

余談ですが朗読ゼミの発表会で漫画原作の作品を当WebZINE主宰の相馬くんに脚色・台本化してもらい、その発表を観た当時の大学助手さんが涙してくれたのは未だに自分の中で暫定1位。


で、ぶっちゃけ朗読と向き合うのはその発表会以来といっても過言ではないレベルでして、しかも題材が教科書。作品として向き合えばいいのか、国語の授業を思い浮かべながらそれにそぐうように読めばいいのか、登場人物のセリフはどのくらいキャラクターっぽく読んでいいのか…。


ということでうんうんうなりながら読み上げた作品がこちらになります(公開は5月31日まで)。

工藤直子 作の「ふきのとう」。

ふきのとうや雪や竹や太陽や春風が語りかけます。うまい、うますぎる。
じゃなくて朗読に対するリハビリも済んでいないのに難しくないかこれ。

お芝居や音声表現をする人は、自分が表現できるキャラクターのレパートリーをよく「引き出し」と言ったりします。
…無いなあ。ふきのとうの引き出し、無いなあ。雪も竹もその他も…無いなあ。

こういうとき、いろんな人が「とにかくたくさんの作品を見ておけ、知っておけ」と言う理由が痛いほどわかります。
なんでもいいから参考にできるものがあることが大事なのだと。

う〜ん、あの役はあの俳優があのときの舞台で子どもを演じている時の感じかなぁ…とか、あの役はあのVtuberがゲーム配信中に即興で演じていた謎キャラかなぁ…とか、とにかくなんでもたぐり寄せてみて、それを声に乗っけてみる。

こう文字にしてみると、なんかキャスティングが自由なオールスター劇団みたいになって楽しいですね。最終的に演じるのは自分、すなわち全部俺、広義での劇団ひとりになるんですが。

そして仕上げのスパイスに、ある声優さんが子どもからの質問に答えていたときの言葉。

「声を作っているのではなく、そのキャラクターがいつも喋っている声を思い浮かべると、その声になります。」


…ということで読み上げた「ふきのとう」は、僕の中では異例のショタボ(少年っぽい声)になってしまい、赤面&噴飯ものなのですが。

もしよろしければ工藤直子さんの「ふきのとう」を読み、自分の中のふきのとうは、雪は、竹は、太陽は、春風は、どんなふうに喋るのかなとイメージしてみると、僕らがあの当時に受けた国語の授業とはまた少し違った楽しみ方ができるのかなと。

そして、これから通学路で見かけるようになるランドセルを背負った子どもたちは、学校でこういう作品と触れ合っているんだな…と思いながら見守っていただければ。


うめすみ
小さなラジオ局に勤めています。
ラジオパーソナリティ、ナレーター、イベントMCを中心に音響PAなど。
木曜夕方と土曜の午後に生放送をしているので、よろしければTwitter(@umesumi)をご確認ください。

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