週記 2

※『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のネタバレがあります!

今週は活動的な週だった。

ここ数年で青春18きっぷで二泊三日程度の冬旅行が恒例となってきたのだが、今回は甲府へ日帰りで行ってきただけで、きっぷを使い切ることが出来なかった。
4日分余らせるのはさすがにはばかられるので、使用可能期間最終日である1月10日に、恋人と熱海へ行った。

熱海へ向かう東海道線の中では、前々から読み進めていたキム・チョヨプのSF小説を読んで過ごした。
移動中の電車内ほど集中力を発揮できる場所はそうそうない。数直線をなぞるような、わかりやすい時間経過を体感できるからだろう。
小田原を過ぎた辺りで、車窓から海が顔を出す。自分の故郷に似ているとはしゃぐ恋人に、どの海も大体は似たようなもんでしょ、と可愛げのない返答をしてしまった。
溝の臭いのしない海での原体験を持つ彼のことが、川崎出身の私には羨ましかったのだ。

熱海に到着してからは、昼食にお手本のような海鮮丼を食べたあと、歩いて熱海梅園へ向かった。
熱海の道は坂のみで構成されており、四捨五入すれば0歳の若々しい我々でも、なかなか倒し甲斐のある相手方であった。
梅園では早咲きの梅の花がちらほら見受けられた。歩くのに疲れない程度の丁度良い広さの園内には甘い梅の香りが広がり、普段はない花々との交流に気が安らいだ。
園内の小さな滝や韓国庭園は、満開時にはきっとまるで違った姿を見せてくれるのだろう。
そして来園時には思ってもみなかったのだが、自分の名前と同じ読みをする梅の種類があると知り、なんとなくこの花に対する愛着が湧いた。

来宮駅からまた熱海駅へ移動して、惰性で海の近くまで下りた。
直近で大きな津波があると、浜辺での無意味な滞在は、本来の魅力が薄れてしまう。
行きたいラーメン屋があったが定休日だったので、代わりに渋谷に戻って神座のラーメンを食べて解散した。スープはあっさり系で、白菜が入っていた。


高校時代の友人とマツケンサンバⅡのコラボカフェへ行った。

金色の店内では永遠に『マツケンサンバⅡ』が流れており、30分に一度の「サンバタイム」ではミラーボールが回り出す。「よかったらご一緒サンバしてください!」と誘われる、貴重な体験ができた。

ランチョンマットがわりに敷かれていたA4サイズの紙にはマツケンサンバⅡの歌詞が行書体で書かれていた。持ち帰って、日々の写経に役立てることにしよう。


『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を観た。
試写会を含めると3回目の視聴。大体の映画は3回見ればかなり満足できるので、おそらく、今期映画館で見るのはこれが最後になるだろう。

内容はすっかり覚えているはずなのに、ウィリーが仲間たちとママのチョコレートを楽しむシーンでは、つい涙してしまう。
その後に続く『Pure Imagination』と、それに合わせてチョコレート工場が出来上がっていく映像もまた然りだ。

一度目は物語、二度目は映像と劇中歌に注視して鑑賞したが、三度目の今回は、特に言い回しや演技の表現に着目した。

ウィリーはチョコレートのことしか学んでこなかったので文字が読めず、言い回しも独特なところがある。
初めてグルメ・ガレリアでチョコレートを披露するシーンに、「耳を垂らしてご覧ください・・・「澄まして」か。」という台詞がある。
この「垂らして」という表現は、この台詞の後に登場するホバーチョコという、空飛ぶチョコレートとの対比だろう。
このような言葉遊びは、一見作品の主軸には関係ないようで、視覚的でないところの、作品自体が孕む彩りに影響しているように思う。

さらに、ウィリーがヌードルにミルクが必要だと話すシーンの、子供たちの秘密基地での作戦会議のような会話もとても愛らしい。
チョコレートを作るのにミルクが必要だというウィリーに対して、「ここにあるじゃない」と隣家の玄関に置かれた牛乳を差し出すヌードル。
それに対して「A:それは泥棒 C:必要なのは特別なキリンのミルクだ」とウィリーが答え、ヌードルはその構文にのっとった返答をする。
仲間内で誰かの風変わりな発言や世界観に対して、特に突っ込まずに順応した返答をする流れ。
本当にリズム感の合う相手でないと成り立つことのない対話だ。


熱海から帰った後、恋人が体調を崩してしまったのだが、元気になってくれてよかった。
看病に来てくれて助かった、と言ってくれて嬉しかった。

彼と同じ職場だった頃、出勤中に体調が悪化し、休みだった彼が途中からシフトを代わってくれたことがあった。好きだからとか、恋人だからとか、そういうの抜きにしても、どこかで恩を返したいと思っていたのだ。

思い返すと、2023年は、体調を崩すことが極端に少なかったと思う。風邪の引きはじめに敏感になったからだろうか。


先週の週記で宣言したからか、読もうと思っていた本は無事読み切ることができた。
先日、母に来週は芥川賞と直木賞が発表されるから、受賞作は買って読むつもりだ、と話した。一月ぐらいしたらすぐブックオフに回ってくるよ、と返されて、賢いなと思った。

金銭的に余裕があるわけではない以上、できるだけ安く購入したいのは当然なのだが、問題はそれまで待つことができるかということ。
そして、ブックオフへ行くと必ず余計な買い物をするので、実質あまり値段が変わらなくなるということ…。

今週こそ勉強したい、という気持ちはある。勉強会でも開くか。

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