週記 11
今日から週記を復活させることにする。
土曜日に、高校時代の友人と4年ぶりに再会した。
神保町の古本屋「ブンケン・ロック・サイド」が互いに好きだという共通点から、共に出向くことになったのだ。
彼女に対して、森見登美彦氏の『夜は短し歩けよ乙女』に登場する、黒髪の乙女と似た印象を持っている。
とにもかくにも可愛いのだ。
犬と自由を愛し、天然由来のユーモアを持ち、何を話しても笑顔で返答をくれる。
努力家で、マメで、驕りはしないが過剰な謙遜もしないところも魅力的だ。
神保町駅で集合し、古本屋を巡った。
『ライ麦畑でつかまえて』を勧めたら、「これ読んでみたい」とすぐに購入してくれた。勧めた本や、映画や、音楽を試してくれると、自分の一部を覗いてくれたような心地がして、小恥ずかしくもあり、大変嬉しくもある。
もちろん、お目当てのブンケン・ロック・サイドにも訪れた。
結局、この日、私は何も買わなかったのだが、彼女はちょうど初任給が入ったからと、見ていて楽しい買いっぷりを披露してくれた。
散歩をしながら色々な話を聞かせてくれた。
大学時代の友人の話。
QUEENのライブへ行った話。
フランツ・フェルディナンドを好きになった経緯の話。
『オッペンハイマー』を観に行った話。
どの話も本当に面白かった。
互いの人生が交差していない時に好きになったバンドや、直近に劇場で観た映画が同じだったとき、どうしてそこに辿り着いたのかについて、道筋の共有をすることがとても好きだ。
水道橋、御茶ノ水、秋葉原を通過し、道中で買ったミスタードーナツを上野公園で食べて、18時頃には解散した。
帰り際に、小説がんばってね、と声をかけてくれたことが、嬉しかった。
蕎麦や、パスタなどの、乾麺を茹でる作業が好きだ。
好きな行為の一つに、公共交通機関及び徒歩での、「移動」が挙げられるのだが、それと通ずるところがある。
その作業に対して注意を払っていないのにも関わらず、ただ時間が過ぎるのを待つだけで、目的自体は達成されてしまうからだ。
文章を書くことが好きな理由も、初めの段階は脳内の写経でしかないから、自分にとっては蕎麦を茹でること同様に取り掛かりやすいからだろう。
ただ、自ずとその文章を読む作業と、脚色、校閲が付随するから、他の作業とは頭ひとつ抜けて楽しいと感じるのだと思う。
今週は積極的に音楽を聴く週にしたい。
最近はラグタイムが好きで、よく聴いている。
3分クッキングの『The Entertainer』でお馴染み、スコット・ジョプリンの『Pineapple Rag』という曲がお気に入りだ。