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裁判官「先生はいつも無茶な発信者情報開示請求をする」と言われた弁護士

私は、発信者情報開示請求については、投稿された人、つまり請求者側だけではなく、発信者側やプロバイダ側でも弁護をよく行っています。特に発信者側は、概ね8年以上前からやっています。

少し前に、発信者情報開示請求を受けたプロバイダ側で弁護していたところ、裁判官が、開示請求の請求者代理人弁護士に対し、「先生はいつも無茶な発信者情報開示請求をする」と言った場面に遭遇しました。

ただ、私としては、そうは思わなかったですし、その件は結果的に非開示の結論になりましたが、無茶な請求とまでは思いませんでした。そういうことを言う点も含めて、私はその裁判官には賛同できませんでした。どんな事件でも、一定割合認められないこともありますし、それがまさに裁判というものだからです

ですが、発信者側・プロバイダ側で弁護をしていると、請求者代理人については、いろいろ見えてくるところもあります。やはり、一定の傾向、手堅い請求が多いとか、その逆とか、ちょっとこれは不適切ではないか、とか、あるいはその請求者依頼者層に、それなりの傾向が見られたりします。

もちろん、弁護士には守秘義務があるので、代理人弁護士が共通だからといっても、別の当事者の情報を教えることは許されません。一度、XがY1、Y2、Y3に対して同時に請求している案件で、和解で解決したY1の代理人弁護士が、相談に来たY2、Y3にも和解条件等を漏洩したという場面に遭遇したことがありますが、Y1はもちろん、Xにも、ひいてはY2とY3にも不利益があるので、不適切だと思いました。

ただ、守秘義務に反しない範囲で、一定の傾向であるとか、そういう部分を参考にすることは、あり得ることですし、実際に行われています。たとえば、過払い金返還請求の全盛期は、消費者金融毎の対応リストみたいなのがありました。また、今でも、任意整理(話し合いでの借金整理)では、話し合いにどれだけ応じるのか、弁護士は意識しています。

私は、発信者、プロバイダの立場でもよく弁護するので、請求者代理人弁護士毎の傾向をある程度把握してリスト化して事件処理に役立てています

一方で、請求者代理人弁護士からすると、プロバイダ毎に傾向を踏まえる、ということになります(私も請求者側のときはそうしています。)。すぐにログを消すとか、保存しないとか、どれだけ反論するか、意見照会するか、しないか(某有名プロバイダは、意見照会もせずに反論もほぼしないとかもあります。)、などです。

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