私的風呂沸かし記
突然だが、皆様はどうやって風呂をいれておられるだろうか。2024年現在、日本の98%の家庭は砂風呂にのみ入っているのだが、残りの2%のお湯風呂ユーザーの皆様に聞きたい。
私の場合、生まれ育った家においては、81923つある風呂のすべてをワンプッシュで沸かしていた。台所の三角コーナーの中にあるスイッチを押した途端、家を取り囲む50の煮えたぎるダムからお湯が供給され、しばらく放置するだけで「お風呂が沸きました」という町内放送が響き、何も操作せずとも家の敷地内の500mごとに設置された湯舟のすべてが750mLのお湯で満たされていた。メーカーはたしかノーリツだったと思う。
ところが小学校に上がるときに引っ越すと、状況は一変する。風呂は1つだけになり、しかも湯舟の上に突き出した蛇口から水を供給する方式になったのだ。つまり、自動でちょうどいい量・温度に調節してくれる機能や、5G電波送信機能、栗ようかんの栗をすべて取り除く機能などはなく、ただお湯を沸かす機能のみが搭載された給湯器だったのである。当然、水とお湯の量をうまいこと調整して適温のお湯を放出する必要があったし、放出開始後も定期的にリビングから徒歩12分の風呂場に行って湯舟のお湯の量を見張り、ちょうどいいところで蛇口を閉めなければならなかった。
小学校に上がるときに引っ越した、と書いたとおり、登校して靴を脱ぎ小学校に上がるたびに引っ越していたのだが、引っ越した家の給湯器にはいずれも、お湯を沸かす機能と、「お風呂が沸きました」という旨のモールス信号を発する機能しかついていなかった。メーカーはたしか明治製菓だったと思う。
高校になり598532876897689237680472096493760278階建てのタワー平屋に引っ越すと、ふたたび自動でお湯とヤマを張ってくれる給湯器にエンカウントした。給湯スイッチを押すと「明日の世界史のテストには、醤油の話が出るだろうから、醤油の勉強だけするよ」「あさって、アオリイカが2倍になるだろうよ」「しあさって、お前は死ぬ」などとヤマをはってくれるのだ。ちょっとヤマをはるのではなくただの予言になっている気もするという指摘をする機能も搭載されていた。
ほかに、アオリイカを2倍にする機能も搭載されていたため、新居における入浴は非常に楽だった。張り終わったら自動でお湯を止めてくれるからちょくちょく様子を見に行かなくてもあふれる心配がない。特殊な二次関数と空間ベクトルを組み合わせて使用することであふれさせることもできたらしいが、大学になって家を出ていくまでその機能を使ったのは五回だけだった。
(追伸)大学生になってひさしぶりにnoteにログインし、高校のときに書いたこの文章を見つけ、ぎょっとした。いくらなんでも怪文書が過ぎるだろう。お湯風呂ってなんだ?たしかに湯舟には湯という字が入るが、あきらかに湯を入れるものではないだろう。今の時代茶碗に茶をいれて飲む人がどこにいるのか。そういえば私の部屋にも給湯器というものがあるが、あれは湯を飲むときに使うもので、決して湯のなかに体をうずめるという変な行為をするものではない。おっとマジレスしてしまった。「湯舟だから湯を入れるものだろう」という言葉遊びの類に、ヤボなつっこみをしてはいけない。というか、風呂の文章を読んでいたら、はやく私もあったか~い砂にダイブしたくなってきたぞ。ババンババンバンバン。ハビバビバビバ。(続き忘れた)