井上深海

井上深海と言う名前で小説を書いています。 2014年度講談社群像文学新人賞第一次選考通過、2023年度文学金魚・辻原登奨励賞最終選考。 みなさん、よろしくお願いします。

井上深海

井上深海と言う名前で小説を書いています。 2014年度講談社群像文学新人賞第一次選考通過、2023年度文学金魚・辻原登奨励賞最終選考。 みなさん、よろしくお願いします。

最近の記事

2024/03/16、21時から、またまた、私の作品が朗読配信されます!皆様、是非遊びにいらして下さい!! 『夢を見なくなった男』です。 朗読は、とってもイケボなくろひつじさんです。 https://www.youtube.com/live/yC_npytTowk?si=lcQXqD8HbmcrRUns よろしくお願いいたします🙇

    • https://www.youtube.com/@kurohituzi_novel 3月13日21時から、こちらのチャンネルで私の短編小説が朗読配信されます! 『思い出しか聞こえない』 よろしくお願いいたします🙇

      • そう言えば、私。恋愛モノって書いた事がないんです。恋愛要素のある作品は書いたけど、恋愛そのものがテーマになった作品はまだ未経験です。初挑戦してみるべきかちら?読みたいとか仰る方、いますかね?\(//∇//)\

        • 雨の日〜反戦小説について〜

          雨の日は眠らない〜反戦小説について〜 以前に私が書いた、元自衛官の方の記事があります。 その記事を歌川ピロシキさんが短編小説にしてくださり、カクヨムで高評価を受けておられます。 こちらは私のエッセイ『雨の日によせて』と長編小説『もしも明日が槍ならば』を歌川さんにお読み頂きまして、掌編小説を書いて下さいましたものです。 歌川ピロシキさんは、とても博識で慧眼な女流作家さんで、私はTwitter(X)でよく色んな事をご教示頂いています。 歌川ピロシキさんはミリオタにして反

        • 2024/03/16、21時から、またまた、私の作品が朗読配信されます!皆様、是非遊びにいらして下さい!! 『夢を見なくなった男』です。 朗読は、とってもイケボなくろひつじさんです。 https://www.youtube.com/live/yC_npytTowk?si=lcQXqD8HbmcrRUns よろしくお願いいたします🙇

        • https://www.youtube.com/@kurohituzi_novel 3月13日21時から、こちらのチャンネルで私の短編小説が朗読配信されます! 『思い出しか聞こえない』 よろしくお願いいたします🙇

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        • 雨の日〜反戦小説について〜

          書けなかった中学校の卒業文集の作文〜小説『十三歳の地図』を書いた理由〜

          「を、思い出す。 大人になった私は中学生の時の、いったい何を思い出すのだろうか。」 中学三年生の私の卒業文集の作文を要約すると、こんな感じである。 作文の頭の文字は、皆んなで合わせてある文章になるように、指定されていた。 よりによって私は「を」をあてがれてしまったのだ。だからこうなった。 他にも難しい字をあてがわれたクラスメイトもいたので、何も自分だけが不運という訳ではなかったのだ。 作文が得意というか、国語の担当教諭からは「天才的な文学センスがある」言われていた当時の

          書けなかった中学校の卒業文集の作文〜小説『十三歳の地図』を書いた理由〜

          拙作『十三歳の地図』取り上げて頂きました❣️

          夜中にびっくりしました。この記事の通知が来て。 まさか、本当に自分の作品を真面目に読んで下さる方がいらしたなんて……しかも高評価を頂きました! 書いてて良かったと改めて思いました。 一応、今年のはじめに文学金魚さまで最終選考に残った作品でしたが、審査員の方からの講評を頂けなかったので、一体何が悪くて何が良かったのか?と悩んでいたところでした。ですから、こちらの上村楽園さまの評価にまずは感謝すべきだと、再認識しました。 スキ❤️ボタンは頂いても、中身を最後まで読んで頂いて

          拙作『十三歳の地図』取り上げて頂きました❣️

          右目だけブルー

          短編小説です。 気ままに書いてみました。 私の右目は微かに青い色をしている。しかし、それは近くに来て覗き込まないと分からない程度の色合いなので、その事を知っている人間はごく一部だけだ。 なぜ右目だけが青いのかーーその事に気づいたのは不惑になってからである。 写真を撮る仕事をしているので、右目は大事な商売道具だ。右目でファインダーを覗き、左目で被写体を確認する。カメラのシャッターは通常右についているからだ。 はじめは何となく見え難かっただけだったので、ドライアイだとばか

          右目だけブルー

          『十三歳の地図』

          ※第十二回(2023年)文学金魚新人賞最終選考に残していただいた作品です。 一  この仕事を始めてから、かれこれ三十年以上になるでしょうか。東京の高校を卒業してから、美術系の専門学校に進学しましたが、在学中から――いいえ、その前から祖父母が経営する写真スタジオを手伝っていましたので、写真撮影のスキルは祖父母仕込みという事になるでしょう。 今は亡き二人の跡を継いだ私の仕事は、スタジオ内での商品撮影がほとんどです。中でもライティングが難しいとされる宝石撮影が得意です。宝石の

          『十三歳の地図』

          サンディエゴからの手紙~祖母の手紙より~その二

          祖母の手紙、二通目です。段ボール箱の中にいっぱいあるのですが、日付ごとに整理するのが面倒なので、データ化しながらちびちびと作業しています。 今回もノンフィクションなので、差別的な言葉遣いがあるかもしれませんが。原文ママのものなので、そこはご容赦下さい。大正生まれの人間が書いたものなので、文章も古いです。 以下、全文です。   1956年3月18日分 サンディエゴからの手紙 三月十八日夜 御無沙汰致しましたが、皆様御元気でいらっしゃいますことと存じます。私共もおかげさまで、

          サンディエゴからの手紙~祖母の手紙より~その二

          短編小説 『思い出しか聴こえない』

          ――続きましては、今月の新曲。クリスタルナハトの『メッセンジャー』です。どうぞお聴きください―—。 実家が建て替えるらしく、母が私の置いていった古い段ボール箱を宅急便で送ってきた。その中には卒業アルバムや古い日記帳など、思い出に品々が入っていた。 母は中身を見ずに送ってきたらしく、中学生の時に買って貰った、古い小さいラジカセまで入っていた。ラベルの付いていないテープが入ったままだったので、それを聴きながら私は家事をすることにした。 そのカセットテープの中には、何が録音さ

          短編小説 『思い出しか聴こえない』

          短編小説 『里帰り』

          毎年十一月に連休をとって、本籍地のある村役場に戸籍謄本をとりに行っている。二十年ほど前に生き別れになった母と兄のものだ。私自身のそれは東京に移してしまっている。 もう家族とはずっと連絡を取りあってないし、私の居所も彼らには知らせてはいない。 戸籍謄本は本籍地さえわかれば、誰でも、それこそ赤の他人でもとれる。窓口で自分の身分証明書と印鑑が必要になる。もしも家族が死んでいれば、自分の戸籍謄本なども必要になるので、我ながら律儀にも、ちゃんと持ってきた。 とにかく私は、わざわざ

          短編小説 『里帰り』

          小説 『復楽園』

           原稿用紙換算 百八十五枚                                                          「驚いてはならない。時が来ると、墓の中に居る者は皆、人の声を聞き、善を行った者は復活して命を受ける為に、悪を行った者は復活して裁きを受ける為に出てくるのだ」 ―ヨハネによる福音書よりー  優しい母と兄の夢。これ以上の悪夢があるだろうか。  淋しい時や心細い時、私は決まって家族の夢を見る。 仰向けで寝たまま泣くと、涙が耳に流れて

          小説 『復楽園』

          小説 『わたしを忘れて』

          原稿用紙換算 百六十七枚 一 わたしのいのちは、もってあと数十分と言ったところです。いま、最終確認の書類にサインをして、市役所のケースワーカーに手渡しました。これから心電図の装置を身体に付け、生理食塩水の点滴が施されます。準備に少し時間がかかるとの話です。 絶命するまでのわずかな時間、わたしはとりとめもなく今までのことを思い出しては、幾度も反芻しています。同じことを何度も何度も。また、こうして考えごとをしていると、遠い昔の出来事とそう昔ではない過去の出来事がランダムに浮

          小説 『わたしを忘れて』

          小説 『もしも明日が槍ならば』

          原稿用紙換算九十七枚                              そして、神は諸国民の中で必ず裁きを行い、多くの民に関して事を正される。そして彼らはその剣をすき刃に、その槍を刈り込み鋏に打ち変えなければならなくなる。国民は国民に向かって剣を上げず、彼らはもはや戦いを学ばない。                      旧約聖書 イザヤ書 第二章四節     一  またあの男が帰って来た。身体中からなんとも言えない酷い死臭を纏った、あの男が私のもと

          小説 『もしも明日が槍ならば』

          小説 『Mimi』

                二〇一四年度 群像文学新人賞 一次予選通過作品  原稿用紙一〇五枚 一、   私は今もカメラマンの仕事をしているが、同業者に限らず、皆がデジタルカメラ……最近は携帯電話についているのだが、とにかく電子映像を人々が使う時代になって、もうどのくらいになるだろうか。あれは私がまだフィルム式の銀板写真で仕事をしていた、最後の季節だった。日本中が猛暑だの酷暑だのと騒がしかった、あの年の夏。 少なくともあの時、馬鹿みたいに毎日の様に繰り返し歌っていた歌は、今はもう耳

          小説 『Mimi』

          短編小説『夢を見なくなった男』

          一 睡眠時に見る夢を絵のモチーフにした作品を描き始めて、もう十年になる。作品数は現在、百枚を超えている。そう、僕は画家の端くれである。 周りの人間にはいつも「気楽でいいね」と言われていた。自らの作品を描く合間に、美大や絵画教室の講師も務めているのだが、好きな絵を描いてゆるーく後進に指導をする立場は、気楽と言えば気楽だが、潰しが利かない商売だ。 そんな折、付き合っていた女性が妊娠した。もちろん僕の子供だ。 僕は四十になったばかりだった。まだ遊びたいと言えばそうだが、そろ

          短編小説『夢を見なくなった男』