花留多唄【あ】アンスリウム
花の名前にピンとこなくても、その姿を見れば「あぁ、どこかで見たことがある」と思われる方が多いのではないでしょうか。
よく花束やアレンジで見かけるのは、すっと伸びた茎の上に真紅のハート型に小さな尻尾のような黄色い房がついているもの。
別名はベニウチワ(紅団扇)といい、学名にあたるアンスリウム(Anthurium)はギリシャ語で尾の意味「oura」と花の意味「anthosaura」という言葉が語源になっているそうです。花穂部分がしっぽのように見えることに由来し、テールフラワー(Tail flower)と呼ばれることも。
私、英名が『Flamingo flower』というらしいのが気に入りました。確かにすうっと伸びた茎がフラミンゴの脚に、そして真紅の体、黄色いくちばしがありますからね。
フラミンゴは全体的な姿から連想されたものですが、日本での呼び名『紅団扇』は、そのハート型の部分に特化した見方ですよね。
こういう文化による視点の違いというのが実に興味深いです。
花言葉は、同じ植物でも色によって違うことがあります。
このアンスリウムも赤だと『情熱』『印象深さ』『心は燃えている』と、真紅のハートにぴったりな言葉ばかり。白では『熱心』『無垢な心』、そしてピンクだと『飾らない美しさ』になるんだとか。熱心が赤でなく白だというところが意外ですかね。白熱という言葉を思い出しますが。
このような形で、時には小話など交えながら花々のまだ見ぬ顔、そして未知なる世界を歌留多のように綴っていきたいと思います。よろしくお付き合いくださいませ。
文字札:赤い団扇に黄色い嘴