滋味礼讃 136 ホースラディッシュソース
『ホースラディッシュ』とは『セイヨウワサビ』『山わさび』とも呼ばれるわさびの一種です。チューブタイプのわさびの材料でもあります。
ローストビーフには欠かせない味ですが、このホースラディッシュのソースが大好物です。
北海道にいた頃、某サブマリンサンドイッチのチェーン店では必ずこのソースでオーダーしていました。しかしながら、2015年の3月に終売になってしまったらしいですね。残念です。
というわけで、現在では冷蔵庫に完備しています。
野菜と和えたり、ハムサンドに使うのですが、ぴりっとしたわさびの風味がいいアクセントになります。肉や魚のフライにもいいけれど、茹でたエビにも合いそうですね。
初めてホースラディッシュを食べたのは、母と妹と旅行に行っているときでした。
ちょっといい温泉に泊まったんですが、そこの夕食のステーキに添えられていたのです。
お恥ずかしながら、そのときまでわさびといえば刺身という発想しかありませんでした。つまり、わさびは和食のものという固定概念にとらわれておりまして、洋食にわさびが合うということが衝撃だったのです。
あの刺激的な風味は鼻を突き抜け、私の固い頭まで突き抜けてしまったわけです。ある意味、ホースラディッシュに「当たり前のことなんてないんだぞ」と教わった気分でした。
わさびと和食が当たり前だと思ってすまさずに、「じゃあ、他には?」とか「なぜ和食だけと思い込んだのか」と疑問を持ち続けることを忘れてしまうと、固定概念でガチガチのつまらない大人になってしまう気がしたんです。
大げさかもしれませんが、いつもは食卓の引き立て役として添えられる小さな存在に、大きなヒントをもらった思い出でした。