【レビュー】『地球防衛軍6』EDFは昔も今も仲間を見捨てない【ネタバレ無し】
PS5/PS4で発売された人気シリーズ第6作。
simple2000シリーズであった初代から変わらず開発はサンドロット、発売はディースリー・パブリッシャーです。
ジャンルとしてはいわゆるサードパーソンシューティング。
お馴染み陸戦兵レンジャー、飛行能力を持つウイングダイバー、扱いが難しいが重装備と機動力を両立出来るフェンサー、空爆や様々なビークルを駆使するエアレイダーの4兵科を使って侵略者プライマーと戦います。
SF、特撮ものやパニックホラーのお約束が詰まった世界観になっており、ウルトラ警備隊や怪獣映画の自衛隊の気分を味わえる作品です。
前作である地球防衛軍5と話が直接つながっていますので、可能なら前作を遊んでからだとより楽しめると思います。
なお、筆者はシリーズファンでもちろん前作もプレイ済み。
特に本作は前作の続き物ということもあり、シリーズ初体験の方とは感想が変わる可能性が高いので、その点はご留意ください。
シンプルながら爽快感と戦略性がクセになる面白さ
低難度では画面を埋め尽くす大量の敵を蹴散らすのが気持ち良い本作。
大きなダメージリアクションに気持ち良いヒット音、ダメージを与えると敵の外装が剥がれていったり、ガンガン増えていく与ダメージ表示と爽快感を高める演出がこれでもかと入っていて、ストレス発散にピッタリ。
一方で難易度を上げると途端に戦略性が増し、適切な武器選択や各個撃破、立ち位置や撃破する優先順位などをしっかり意識しないとあっという間に物量に飲み込まれてしまいます。
この辺の「ただ撃ちまくってストレス発散するゲーム」に終わらない奥深さが最大の魅力ですね。
凝ったシナリオ構成で前作の遺産を見事に再活用
未プレイの方のために詳しい内容は避けますが、シリーズ伝統の世界観を維持したまま、しっかりとしたシナリオを用意してきた事には驚かされました。
しかもこれが面白い。
前作からの登場人物も、今作からの新キャラも良い味を出しているし、主人公だけが何故これ程強いのかの理由付けや、前作で突っ込まれた不整合への説明などもなされていてかなりの充実感でした。
前作からの敵キャラは勿論、様々な3Dモデル、音声などの使い回しを、シナリオがしっかりフォローしてるお陰で全く気にならないのも素晴らしい。
この辺りはsimple2000シリーズ出身ならではのコストダウンテクニックでしょうか。
変わらず人見知りにも優しいオンラインシステム
私が近年の地球防衛軍シリーズにおいて高く評価しているのがオンラインにおけるチャットシステムです。
定型文をワンタッチで送るいわゆるラジオチャット方式なのですが、このパターンが豊富なおかげでいちいち止まってキーボードを入力したり、マイクを使って会話したりせずに十分なコミュニケーションをとることができます。
また操作が簡単かつ音声もついているので「EDF!EDF!」と叫んでいるだけで初心者でも一体感を楽しめる点がとても良いですね。
どうしてもオンラインは敷居が高くなりがちですが、この辺のデザインが良く出来ているお陰で人見知りな私にとっても非常に遊びやすいものとなっています。
ただ詳しくは後述しますが、本作のオンラインでは前作には無かった同期ずれが見受けられるのだけはマイナスポイント。
山ほどある「小さな問題点」
ここまで良いところを紹介してきましたが・・・小規模な問題点が山ほど存在するのもまた事実。
本作に限った話ではなく、シリーズ通して細かい粗がいっぱいあるのはいつものことですし、一つ一つは小さなことだったりするのですが、沢山あるので列挙していこうと思います。
長いので時間のない方は太字部分だけ読んでもらえば大丈夫です。
・前作には無かった同期ずれ
本作のオンラインではPS4・5の同時発売の影響か、今までのシリーズには無かった大きな同期ずれが見受けられます。
結果誤射が起きやすくなっているため、特に高難易度帯だと悪影響が大きく厄介。
・マイナーチェンジに過ぎないステージが目立つ
シナリオ構成上仕方ないとはいえ、展開が微妙に違うだけのステージや前作のマイナーチェンジに過ぎないステージが目立ちます。
しかもそうしたステージに限ってNPCの移動待ちや台詞待ち、ウェーブ数がやたら多くなっていたりして、テンポが悪い事が多いという問題も。
歴代最多のミッションを収録してると言えば聞こえはいいのですが、正直水増し感がありました。周回するゲーム性なのもあって前作をやり込んだ人ほど飽きに繋がる要素になってしまっています。
・爽快感に水を差す一部の敵キャラ
本作の新敵キャラ、全体的に爽快感を阻害する奴が多く、戦術性とか難易度を上げることに重点を置きすぎてるのではないかなと。
特に攻撃態勢に入ってる時しか有効打を与えられないうえに高火力でアイテムをほとんど落としてくれないネイカー。
小さいのに加え動きが変則的で狙いにくく、倒した際死体がゆっくり落下するせいで生きてる個体と判別しにくいうえに煙幕で視界を妨害するヘイズの二種。
・DLC1のドロップ率が低すぎる
DLC1で新登場したプライマル種と呼ばれる怪物たち、通常個体より大きく鈍重な分高耐久高火力という設定ですが、なぜか大量に出現するのが前提の通常個体と同程度のドロップ率が設定されているらしく、とにかくアイテムを落としてくれません。
そしてDLC1ではこのプライマル種が中心に構成されている為、このDLC専用ドロップの武器が全然集まらなくなってしまいました。
また武器のみならず回復アイテムも落ちにくいので、難易度も理不尽さを感じる方向に上がってしまっているように思います。
DLC2が発売されるまでの時間稼ぎの意味もあったのかもしれませんが、何より全然報酬系を刺激してくれないのでやりがいが・・・
・兵種間のバランスはとれていない
最終的にフェンサー一強になってしまった感があります。
対戦要素があるゲームではないですし、バランスが必ずしも取れている必要はないかもしれませんが。
・ビークルの横転や行動不能が増えた
これでも昔よりは安定しているのですが、車両系ビークルの事故が5より増えています。
がれきなどの引っ掛かりやすい地形が増えたのもあるんでしょうが、何かしら挙動に変更が加えられてるように思います。
・壁抜けの発生やそれを利用したグリッチ
今回一部稼ぎの常套手段としても使われている壁抜けグリッチ。
これがあるからといって難易度が劇的に変わるケースは少ないですし、存在する以上ユーザーが利用するのは当然だと思うんですけどね。
そもそもこんな事が出来てしまう完成度の低さについては改善してほしいものです。
要点まとめ
良い点
爽快感と戦略性が両立されており、何度も遊びたくなる面白さ
シリーズでも特に力の入ったシナリオ
オンラインプレイ、特にチャット周りのシステムが秀逸
悪い点
細かな問題点多数、特に一部ミッションの使いまわしとテンポの悪さは目立つ
総評
相変わらず粗はいくらでも見つかるものの、面白ければ良しの精神で押し切ることに成功してる良作。
今まで良くも悪くも同じパターンだったシナリオが大幅にテコ入れされ、大きな弱点を一つ克服することに成功した意義ある新作だったのではないでしょうか。
初週30万本売れたとの事で、ビッグタイトルへと成長しつつある地球防衛軍シリーズ。
今後もライト層を中心としたより多くの新規ユーザーが流入する事を考えると、低予算だから許されていた事や慣れたファンだから疑問を持たなかった問題点を一掃しなければならない時期に来ていると思います。
次回作があるなら通例世界観が一新されるタイミングというのもあり、かつてフルプライス化に挑戦した3以来の正念場になるかもしれませんね。
シリーズファンとしてはこれからも根幹の部分の面白さはブレずに、進化を遂げた文句のつけようのない続編が発売されることを期待したいです。
評価・・・9 - Amazing(驚くほど素晴らしい)/10