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【レビュー】『ジャストコーズ4』巻き起こせカオス
※個人の見解です。ネタバレ無し。購入検討の参考になれば幸いです。
本作は2018年にスクウェア・エニックスより発売されたオープンワールドアクション。開発はアバランチスタジオ。
独裁者の牛耳る南米の架空国家ソリスを舞台に伝説のエージェントリコ・ロドリゲスが暴れまわり革命を成功に導く、というもの。
グラップリングを使った縦横無尽の移動や様々なビークル・武器を使って敵の施設を片っ端から吹っ飛ばしていくという爽快感をウリとしたゲームです。
シリーズは2006年より継続して4作目、今作ならではの新要素として気候変動システムが追加されており、巨大な竜巻や雷雨に晒されながら戦わなければならないことも。
PSPLUSやEPIC GAMESストアで配布されていたので持ってるけど積んでるという方も多いのでは。現在では所謂DLC全部入りバージョンが発売されているのでこれから買うという方はそちらをどうぞ。
良くも悪くも大雑把、だがそれがいい!
本作最大の魅力はロケランをガンガンぶっ放したり、戦車や戦艦を持ち出して施設ごと敵を吹っ飛ばす爽快感、これに尽きます。
ヘッドショットなど、TPS特有のテクニカルな操作も一応あるにはありますが一切気にする必要なし。だってすぐ敵の戦闘ヘリとか強奪するし・・・そうでなくとも胴撃ちでもそんなに変わらない。というか銃器無しでも後述のグラップリングがあれば戦えちゃうので。
敵が半永久的に湧いてくるのは少々鬱陶しいですが、逆に言えば弾切れには困らないということでもあります。
また敵の施設を攻略していくにつれ、いつでもどこでも、どんな武器、どんなビークルも友軍から支援物資として輸送機から投下してもらえるようになるので、手持ちの武器を補充するも良し、敵地のど真ん中に戦車を投下して暴れまわるも良し、後述のグラップリングでジャンボジェットを投げつけたり(!?)となんでも出来ます。
まさしくトリガーハッピー。
幅広く取り揃えられたビークルの数々
本作には経験値やスキルといった要素が存在せず、その代わりに武器やビークルをアンロックしていくことで戦闘を楽に進めることが出来るようになっています。
残念ながら武器についてはアサルトライフルであるとか、ロケットランチャーであるとかのよく見る武器がほとんどで種類もそれほど多くありません。
個人的にはもう少しネタ寄りの武器があると面白いと思うんですけどね。
一方ビークルはかなりの種類があり、アンロックさえすれば軍事用のものはもちろんの事、民間用・スポーツカー・重機・飛行船に戦艦と多種多様なビークルを自由に呼びつけ乗り回すことが可能です。
しかもこの手のゲームには珍しく操作性がかなり良いのでストレスフリー。
ドリフト走行を楽しんだり空からソリスの夜景を満喫したりと楽しみ方も色々。
特に発売後の無料アップデートで追加されたものはみんなユニーク。
可愛い!速い!ガァガァ鳴く機能付き!
グラップリングも爽快感抜群・・・のはずが
シリーズでも伝統のグラップリングシステムは「バットマン:アーカムシリーズ」のように広いフィールドを高速で飛び回ったり、敵や車両、燃料タンクなどを吹っ飛ばすなど戦闘にも直接活用することが出来て爽快!
・・・なんですが、いくつか難点があります。
まずは移動に関して。
主に基地などの建物にネズミ返し状になってるところが多く、レティクルが少しずれると裏に張り付いてしまいサクッと登れない。
こうなると一度離れて再度狙い直すか別の場所から登るかしないといけないので、非常にイライラします。
いかんせん攻略対象である基地に必ずと言っていいほどこういう地形があるので、遭遇率も非常に高くプレイを通じて終始このイライラに悩まされる羽目になり、せっかくの高速移動の爽快感を殺してしまっています。
続いて戦闘面。
一部の発電機や砲台などはわざわざ装甲をグラップリングで剥がして中身を攻撃しなきゃ壊れないようになっています。これが非常にフラストレーションがたまるんですよね。
確かに様々なアクションゲームで似たようなギミックは登場しますが、なんでも撃ち込めば壊せるのがウリの本作において、この要素はまったくもって邪魔なもの。
まあ一部のミッションでそういう特殊な破壊対象がある、ということならわかるのですが、こういうオブジェクトがいたるところにあるので破壊行為自体が億劫になってくるのが特にまずいポイント。
最後にグラップリングの成長要素。
これは悪い、というかあまりにも地味。
まず本作のグラップリングには3つの拡張機能が備わっています。物を強力に引っ張る「リトラクター」、気球で物体を浮かせる「エアリフター」、ジェットで推進力を与える「ブースター」です。
それぞれの機能に各協力者から受けられるミッションが対応していて、それをクリアすることで機能を強化できる、というのが件の成長要素なのですが・・・
例えばリトラクターだと、「牽引速度を調整できるようになります」、とか「巻き上げを止めるタイミングを設定できるようになります」、等の細かな設定項目がミッション攻略の報酬になっているわけです。
そりゃ細かな設定が出来ること自体は良いことですが、それをミッション報酬と言われても、戦闘面とかにほぼ関係ない部分なので、普通に遊ぶ上ではなんのモチベーションにもならないんですよね。
最初から設定項目としておいといて、ミッションとは切り離すべき内容だと思いました。
ただまあ欠点はありますが、グラップリング自体は楽しいですし決して悪いものでは無い、ということは申し上げておきます。
正直グラフィックはイマイチ
頑張ってるなと思うのは主人公リコぐらいで、ほかのキャラのモデリングはちょっと残念感があります。
それ以外にも例えばイベントシーンで映る車内がテクスチャ貼っただけだったり、コピペ感満載の町や森林など、そもそも力を入れていないんだろうなという印象を受けました。
勿論グラフィックの凄さを売りにしてるゲームではないのは重々承知ですが、いかんせん残念さが目立つんですよね。もう少し上手く手抜き出来なかったのかなと。
同じオープンワールドゲームで比較すると同年に「ファークライ5」や「スパイダーマン」が出ていることを考えると、同じ土俵に立ててない、せめてもうちょっと頑張って欲しかったというのが正直なところです。予算や制作体制に差はあるんでしょうけども。
ミッションクリアに対する報酬が弱い
これは前述の項目と重複する点なのですが、経験値やスキルの概念が存在しないのに各ミッションをクリアすることにより得られる報酬が特に無かったり、地味だったりするケースが目立ちます。
前述のグラップリング強化はまさにその代表例です。
他にも挙げると、敵施設の破壊によるポイントを集めることで物資輸送機のパイロットが追加され、短いスパンで何度も要請出来るようになるのですが、戦闘スタイル次第とはいえそんなに短いスパンで何台も廃車にすることはないのであまり意味をなしていません。
また工場占拠による物資生産速度アップも恩恵を感じにくい要素でした。
同じ物資を再要請できるまでのスパンが早まるということですが、そもそも3台ストックがあってそれを使い切るケースが少ないからです。
新要素の気候変動は空気
本作ならではの要素として4つの異常気象が存在するのですが、関連するストーリーミッション各一つか二つ以外では遭遇しません。
正直これを新要素として押し出すあたりよほどネタがないのかな、と。
シリーズものの苦しいところでしょうか。
ご覧の通り絵面はド派手でとても良いです。ただ実際プレイしてみると、面倒なだけのギミックになってしまっているように感じました。
一応各異常気象に対応したらしき特殊武器があり、電流を使った攻撃とかが出来るのですが、途中で実装をあきらめたのか2種類しかないんですよね。
まあただでさえ武器バリエ不足なので無いよりはいいのですが・・・
良い点
・単純明快!豪快で爽快なアクション
・ビークルのバリエーションが豊富で飽きない
・アイデア次第でいろいろ出来るグラップリング
悪い点
・グラップリング関連の仕様にイライラが募るものが多い
・グラフィックが同時期同ジャンルのゲームと比べて見劣りする
・ミッションに対してモチベーションにつながるような報酬が無い
・新要素としてPRされていた異常気象の要素が空気
総評
発売時期からさらに一昔前のオープンワールドという印象が否めないですが、まあそれはそれで面白いし普通に楽しめるゲームです。
ただツッコミどころも多く、オススメできるゲームかと問われればNOと答えざるを得ません。
シナリオが薄いのも手伝って自分で工夫しないと単調さも感じることでしょう。
ただ、遊びのツールとしての可能性は感じるのではまる人ははまるかも。
次回作に期待したいですね。
評価・・・7 - GOOD(良い)/10
※本レビューの点数はIGNのガイドラインを基準としています。