【レビュー】『メトロイド ドレッド』過去作のDNAを取り込み進化した「いつもの」メトロイド
2005年に企画が立ち上がったものの、開発中止となった幻のメトロイドがまさかの復活。
探索型メトロイドとしては2003年のメトロイドフュージョン以来となり、ニンテンドーダイレクトで初報が伝えられた際は大変な盛り上がりを見せました。
正直2D探索型メトロイドを最新機クオリティで遊べる時代が来るとは思ってもみませんでした。
このジャンルは「メトロイドヴァニア」と呼ばれ、根強い人気を見せていながらも、ジャンルの名前にもなったメトロイドと悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)の新作は供給されないという状態が長く続いていたからです。
オリとくらやみの森、Hollow Knightなどのタイトルがこのジャンルを支え、盛り上げてきたおかげでようやく任天堂も「売れる」と判断できる状況になったという事でしょう。
新アクションのメレーカウンターやフラッシュシフトによって過去作に比べゲームスピードが早く、アクション性もアップ。
otherMなどのアクション重視だったシリーズのDNAも取り込み、最新作に相応しい王道メトロイドに仕上がっています。
ボス戦が全体的に難易度高めだがやりがい有
まあ高めといってもパターンさえ把握しちゃえば何度かやってるうちに誰でも勝てるレベルです。
気合で避けなきゃいけないようなランダム性の高い攻撃はほとんどなく、いずれも安定した回避方法があるものばかりなので、プレイヤーは敗戦を重ねながらも確実に少しずつ対応出来るようになるはず。
理不尽さが無く良い塩梅の調整だと感じました。
一点気になったのは一方通行になる状況がやたら多かったこと。
場合によってはボスが倒せず、戻ってアイテム探して強化とかも出来ないので詰むかもしれないのは任天堂にしては珍しい仕様だなと思いました。
E.M.M.I.の要素は面白いが完全度不足も感じた
本作を象徴する難敵E.M.M.I.
サムス自慢のアームキャノンを全く受け付けず、捕まれば最後あっという間にゲームオーバーとなる恐怖の存在。
このE.M.M.I.が巡回するエリアをどう切り抜けるか、という緊張感は探索におけるメリハリになっていて良かったと思います。
一つ気になったのはステルスに関する仕様。
ステルス機能を習得すると一時的に透明になることができ、E.M.M.I.をやり過ごせるというものですが、エネルギー消費が激しく長時間維持が出来ないうえ、一度解除されたらエネルギーが全快するまで再使用も出来ません。
制約があるのは別に良いのですが、問題はたまに起こるE.M.M.I.がこちらを見失ったあと近場を延々ウロウロするケース。
こうなるとこちらのエネルギーが切れるまで出待ちされる形となり、やり過ごしたはずが一気に不利な状況に陥ってしまう。
他にも出現エリア入って即発見されたりする事も稀ではありますがあったりと、ランダム性の少ないボス戦とはうってかわって対E.M.M.I.の要素は結構運が絡むので、理不尽さを感じるシーンが多く、ストレスになる作りだったように思います。
本作からの新要素であるので仕方ないとはいえ、この辺りは作り込みが甘いかなと。
覚えなきゃいけない操作が多い
最終的に全てのボタンに各アビリティの技が割り振られ、昔のメトロイドのように切り替え操作無しで全アクションが使えるのは良いのですが、この操作が多い上に複雑でわかりにくい。
Lでフリーエイム、ZLでモーフボール、Rでミサイル、ZRでグラップリングの4つだけで十分ややこしいのに、ゲームが進むほどアクションは増えていく一方なので適切に使いこなすのは中々大変。
モーフボール一つとっても変形方法が3通りあってボムも何種類か使い分けるので、しばらくプレイ間隔が空くとプレイ勘は簡単に戻らないかもしれません。
要点まとめ
良い点
難易度は高いがやりがいある戦闘
E.M.M.I.の存在によって初めて来るエリアは特に気が抜けず、探索にメリハリがついた
悪い点
E.M.M.I.関連の要素は運が絡み納得出来ないことも多い
アクションが増えすぎて操作が複雑に
総評
ちゃんとメトロイドがメトロイドしてる、というのが何より一番重要なところではないかなと思います。
ただ、こうした復活タイトルにありがちなパターンとして、過去作を再現した「だけ」で「新作」としてみると変化に乏しい、ということが多く本作においてもそれを一番危惧していたのですが、心配無用でしたね。
最近の2Dアクションゲームのトレンドに合わせた難易度高めの戦闘や新要素の追加をしっかりやっているので、期待を裏切らないタイトルでした。
評価・・・8 - GREAT(素晴らしい)/10