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パーソナリティー障害:メサイア・コンプレックス(救世主願望)


メサイア・コンプレックスとは?

メサイアというのは、一般的な

日本語ではメシア(救世主)と

言われている。


この心理が形成されるのは、

「自分は不幸である」

という感情を抑圧していたため、

その反動として

「自分は幸せである」

という

強迫的な思い込みが発生すると

される。


さらに、この状況が深まると、

自分自身が人を助ける事で

「自分は幸せだ(自分には

 価値がある)」

と思い込もうとする。


このような論理になるのは、

「幸せな人は不幸な人を助けて

 当然」

という考えを自らに課すことで、

「自分は幸せである、なぜなら

 人を助ける立場にいるから」

と考えるからである。


本来は、人を援助する、その源と

して、

まず、自らが充足した状況になる

ことが必要であるが、上記の考え

は原因と結果を逆転させている。


そうした動機による行動は自己満足

であり、相手に対して必ずしも良い

印象を与えない。


また、相手がその援助に対し色々と

言うと不機嫌になることさえある。


しかも、その結果が必ずしも思い

通りにならなかった場合、

異常にそれにこだわったり、

逆に、

簡単に諦めてしまうことも

特徴的である。


簡単に言うと、

➀自己満足のために他人の援助を

 する人。

➁人を助ける、という行為に酔い

 しれている人。

ということである。


メサイアコンプレックスの人の

行動の源は


➀自分が認められたい。

➁人を救う事で優位に立ちたい。

③人を助けることでしか自分の

 存在意義を感じられない。


という感情があり、相手のためと

いうより、自己満足感を得るため

に行動を起こすのである。


原因

メサイアコンプレックスの原因は

「自尊心の低さ」

にあると言われている。


過去のイジメなどの経験から強い

劣等感を持っているなど、幼少期

の家庭環境や生育環境が大きく

影響している。


人は今の環境に嫌悪感を持って

いたり、自分に自信が無い状態

が続くと、心のバランスをとろう

とする。


そこで自己効力感や優越感を得る

ための手段が人を助けることに

なっているのである。


また、自尊心が低く、

「自分はダメだ」

と劣等感を感じる人の中には

「人を救える自分には価値がある」

と救える立場に優位性を見出して

自尊心を保つ人もいる。


一方で、

青年期までにアイデンティティー

の確立ができないことで、人を

救うことにアイデンティティー

を見出そうとしてしまうことも

ある。


自尊心の保ち方やアイデンティティー

の確立を他者に見出してしまうと、

常に人を救い続けないと自分の価値

を保てない為、精神が非常に不安定

な状態に陥ってしまう。


そして常に困ってる人を探して、

「私が助けてあげないと」

と救うことに躍起になって、自分

自身を見失ってしまうのである

特徴

メサイアコンプレックスの人は

対人関係おいて、相手の立場や

気持ちを想像するよりも、

「人の助けになりたい」

という気持ちの強さが前面に出る

ことで、過干渉な関わり方をする

のが特徴的である。


例えば、良かれと思って先回りの

行動をしたり、「ありがとう」など

感謝の言葉を催促したりする。


更に相手から助言を求められて

いなくても、お節介な態度や口を

挟んでしまうこともある。


仕事面では教職、心理職、看護、

介護など人を支援する職業に就い

ている人は、

「メサイア・コンプレックス」を

抱えている可能性がある。


常に「誰かの役に立ちたい」という

思いが先行してしまうと、対人援助

職を選んで相手を自分に依存させて

しまうケースが多いのである。


例えば、「あなたのため」と言って

支援を強要したり、思うように支援

を受けてもらえないと不機嫌になる

ことがある。


また、支援することで、自分が優位な

立場にあると快感を得るため、理不尽

な職場環境でも身を削って貢献して

しまうこともある。


克服法

メサイアコンプレックスに陥った

場合、どのようにしてそれを克服

すればよいのか?


3点ほど列挙する。


➀自己肯定感を高める。


メサイコンプレックスの人が

人助けをする原動力は「劣等感」

のため、「自己肯定感を高める」

ことで問題となる行動を減らして

いくことができる。


自己肯定感を高めるというのは

かなり難しいことではあるが、

出来ないことはない。


以下にその例を示す。


まず、自分を大切にすること、

そして、心地よく健康を保つ

空間を作るために、何でも構わ

ないので、小さなことから始め

てみることである。

例えば、掃除・食事作り・運動

などである。


②課題の分離をする


メサイアコンプレックスの人は、

他人の課題を自分の課題のように

捉えて介入してしまうため、

ありがた迷惑やお節介と捉えられ、

結果的に欲しかった感情は得られ

ず、人間関係にトラブルを引き起

こしてしまうのである。


そのため、まずは他人の課題は

その人の成長の為にあり、解決

するかどうかも含めて本人が

決めることだ、と理解すること

から始めてみるとよい。


自分の課題と他人の課題を分けて

考えることを、

「課題の分離」

と言うが、これをしっかり意識

することが大切である。


③認知の歪みを自覚する。


ある出来事に対する考え方の

パターンを、心理学の用語で

「自動思考」と呼ぶが、

メサイアコンプレックスの人は、

この自動思考に癖があるため、

認知の歪みを引き起こすので

ある。


例えば、他人が勝手に困っている

と決めつけ、かわいそうなので

助けなければいけない、という

使命感にかられるといったことが

それに当たる。


自動思考を認知の歪みのない多く

の場面で適用しやすい考え方に

変化させていくことを、

「認知行動療法」

と呼ぶが、認知の歪みを自覚

できれば、このような治療を

受け、自分を変えていくことが

大いにできるのである。


対処法

周囲にメサイアコンプレックスに

陥っている人がいた場合、どう

対処すればよいのか?


3点ほど列挙する。


➀距離を置く。


メサイア・コンプレックスの

人は距離を置かれることで、

無意識に、

「この人は助けられない」

と感じ、興味を失うことがある。

それ故、

メサイアコンプレックスの人と

関わるのが難しいと感じたら、

まずは、距離を置くことである。


➁相手の言葉を鵜呑みにせず、

 周囲にも相談する。


メサイアコンプレックスの人は

誰かを助けたい、という思いが

行動に表れているため、気付き

にくいのだが、潜在意識では

他人を従属させて優越願望を

満たしたいと考えている。

それ故、

メサイアコンプレックスの人の

言葉を鵜呑みにせず、周囲の人

にも相談して、別の意見や見解

を自分の中に取り入れていくこと

が大切である。


③説得しようとしない。


メサイアコンプレックスの人は、

「困ってる人は助けるべきである」

という強い自動思考による認知の

歪みを抱えているだめ、無理に

説得して、それをやめさせよう

とすると感情的になり、逆上して

しまうことも考えられる。


メサイアコンプレックスの人を

説得するのは、大きなリスクが

あることを覚えておくべきである。


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