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【オメガバース小説】犬のさんぽのお兄さん【第135話】
【地方都市×オメガバース】オメガでニートの園瀬梓は、T中央公園を散歩中に謎の長髪イケメンアルファ(ダサい臙脂のジャージ姿)に出会う。その瞬間、ヒートが起きて運命の番だと分かり——!?
そうしてすっかり弁当を平らげた後、園内をぶらぶら散策した。京一郎は計画通り俺とぽん吉の写真を何枚も撮影し、良いものが撮れたと帰りの車内でもご機嫌だった。一方、俺は食べ過ぎたのか眠くなり、帰宅すると直ぐにソファで横になった。
「京一郎きゅん! 晩ごはんはさっきのポテサラの残りと林檎兎の残党を合体させたのにしろ!」
「薮からステックに何を言い出すんだ。でも何となく言いたいことが分かるのが恐ろしい……」
乾いた洗濯物が入った籠を抱えて通り掛かった京一郎に命令したら、呆れ顔でぶつぶつ言った。それを無視して、俺は「でも蜜柑は入れるんじゃないぞ! ちゅっぱいからな!」と注文を付けた。
「それは分かったが……そろそろ起きてストレッチでもしたらどうだ? 眠いのは分かるが、寝てばかりいると夜寝られなくなるぞ」
「へーい」
近頃は夜中にしょっちゅう目が覚めてしまうから、俺は京一郎の忠告に素直に従ってよっこらしょと起き上がった。どうやら俺の体は、生まれて来る赤ちゃんに夜中も頻繁に授乳出来るよう準備しているらしい——本人の意思に関係無くそうなるなんて、人体って本当に良く出来ている。
「おちっこ、おちっこ」
起きるなり強い尿意を覚えて、俺は急いでトイレに向かおうとした。しかし二、三歩歩いたところで目眩がして、「おっとっと……」と言いながら壁に手を付く。そして転ばないようゆっくり屈み、目を閉じて蹲っていたら足音が近付いて来た。
「あずさ!?」
「うう……京一郎きゅん」
「大丈夫か!? もしかして生まれるのか……」
「まだ生まれないけど、おちっこ漏らしちゃった……」
「ええっ」
寝室から戻って来た京一郎が駆け寄って来て、叫ぶように尋ねると俺の背中に手を添えた。それに俺は弱弱しく粗相をしたと訴える——すると京一郎は慌てて立ち上がり、「タオルと替えの下着を持って来る。風呂で洗うか?」と聞いた。
「いやあ、こんなに盛大におちっこ漏らしたのは、京一郎きゅんに責められ過ぎてベッドでしちゃった時以来ですなあ!」
「ああ、そんなこともあったな……というか、そんなことを大声で言うんじゃない」
すっかり尻を綺麗にして、洗い立ての下着を穿きキッチンへ戻ったら、京一郎は夕飯の支度を始めていた。そして、例によってぽんぽこ腹を叩きながら機嫌良く言うと、彼は眉を寄せて突っ込んだ。
「全く、あずさちゃんは……」
「そんなことより、林檎兎の残党とポテサラの残りのフュージョンはちゃんと作ってくれんのか!? 京一郎きゅん!」
「今から作るところだ……十分位で出来る。どうせ待てずに直ぐ食べるんだろう?」
「そうそう。なあ、ハムも入れてくれよ! 肉厚のハムぅ」
「分かった。しかし、ちゃんと野菜も食べるんだぞ」
キッチンの作業スペースの向かいに立ち、大理石の天板をバンバン叩きながらリクエストすると、京一郎は呆れ顔になったがこっくり頷いた。それに俺は上機嫌になり、満面の笑みを浮かべて「京一郎きゅん! それで今夜のメインは何なんだ!?」と尋ねた。
「昼間は唐揚げだったからな。しかしまたポテトサラダを食べるから……よし、鮭のムニエルを作ろう」
「鮭のムニエル! 俺の大好物だな!」
俺は肉食男子だが、鮭は大好物なので歓声を上げた……。
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