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「凶刃 用心棒日月抄」を読んだ。
用心棒日月抄シリーズの最終巻「凶刃」は長編小説だ。
いままでの3冊は連作長編なので、設定さえ飲み込めば、構造自体はシンプルだった。「凶刃」は複雑に込み入っている。
かなり話が進むまで敵役が見えて来ない。用心棒日月抄といえば、第2作から嗅足組が大きな存在として出てくる。大きくいえば、第4作はその嗅足組が解体される話なのだ。誰が江戸の嗅足組を皆殺しにしようとしているのか、その犯人が見えないのである。そこに幕府隠密も絡んでくる。
これまでの青江又八郎は半分武士、半分市井の人って感じで、用心棒稼業をこなしつつ藩の難事に立ち向かってきた。今回はあくまで藩の人として事件と向き合う。
青年だった又八郎もすでに中年。前作から16年の歳月が流れている。友人が落ちぶれている姿を見たりするが、用心棒稼業に戻ったりはしない。40なかばといえば、昔でいえば中年を通り越して、老年に近くなっている頃。作中でもしきりに太ったという述懐が出てくる。剣をとって戦うたびに傷が増えていくあたりが、とてもリアルだ。
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