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日銀って何するところか、元日銀審議員に聞いてみた。

2024/11/27

//www.youtube.com/watch?v=XYrEWUSocVc&t=321s

(深田)
皆さんこんにちは、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。お隣にいらっしゃるのは名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田泰(はらだゆたか)先生です。先生、こんにちは。
(原田)
こんにちは。
((深田)
今日は、原田先生に「日銀って何やっているの」と言うことをお聞きしたいと思います。日本銀行は、株主がロスチャイルドだとか謎の外国資本家のような噂があるのですが、先生それはどうなのでしょうか。
(原田)
いえ、それはないです。形式上は株式会社なので、株式がありますが、株主は普通の企業として権限がありません。日本銀行法によって「日銀は何をするのか」ということが決められています。基本的には「物価の安定」と「国民経済の健全な発展」を目的とすると法律上書いてあります。かつ「金融秩序の安定」とその3つが目的でそれに従って行動しなさいということです。
(深田)
それで、日銀は上場する意味はあるのですか。
(原田)
明治の頃にそういう風にしたということですね。
(深田)
なぜ上場する必要があったのでしょうか。
(原田)
必要はないのですが、そうしたのではないですか。多分、他の国でそういう国があったからでしょう。明治の頃に、世界中の先進国のことを調べて、どの国が一番うまくやっているのかということをあらゆる分野について色々調べました。
明治の最初の頃、政府は太政官札という紙幣を勝手に作って配った。これを西南戦争に使ったわけです。西郷隆盛たちの反乱を抑えるために、武器弾薬などを買ったり、兵隊の給料を支払ったり、色々使ったので財政赤字なったので、その費用を全部、紙幣を刷って対応しようとした。そうするとインフレになってしまったわけです。
(深田)
やはり、政府がお金を勝手に刷りまくったら、インフレなるのですね。
(原田)
もちろんなります。
(深田)
それではMMT(現代貨幣理論)はだめだということですか。
(原田)
どこまでできるかということです。西南戦争でお金をいっぱい刷ってしまったのはだめです。それから明治時代は国立銀行条例というものがあって、民間の銀行もお札を出せました。
(深田)
それは今でいうメガンクが出せたのですか。
(原田)
メガバンクだけではなく、100以上の銀行がお札を刷った。
(深田)
それでは百十四銀行なども普通にお札を作っていたのですか。
(原田)
そうです。ただお札を刷ると言っても制限はついていました。けれども、100以上あると、統制が取れないですよね。統制が取れないから、やはり一つの中央銀行を作って、そこが責任を持ってお金のコントロールをした方がよい。世界中を調べて、今の制度になったのですが、原型がその頃決まったわけです。その時、多分上場している中央銀行があったので「では上場しようか」ということにしたのだと思います。
(深田)
アメリカは上場していますか。
(原田)
アメリカは上場していないと思います。
(深田)
「日銀と財務省がブレーキとアクセルを互い違いに踏んでいるのはなぜですか」と質問が来ています。これは私もそう思います。日銀がジャブジャブに金融緩和をしています。原田先生の共著『高圧経済とは何か』では、お金をたくさん市場に流して、みんなをお金持ちにしようと言っています。その中で、財務省が増税でお金を吸い上げています。嫌がらせではないですか。
(原田)
嫌がらせというか財務省の言い分では「前から決まっていたことをやっている」ということですよね。民主党政権時代に三党(民主、自由民主、公明)で合意して「決まったのだからやりましょう」と言っている。絶大な権力を持っていたと言われる安倍晋三総理でも、増税を遅らせたが止められなかった。
(深田)
遅らせてはくれたのだけれども、止めきれなかった。なぜ止めきれなかったのですか。財務省に逆らったら玉木さん(玉木雄一郎国民民主党代表)も浮気がばれた。長い付き合いだったみたいですが、突然ばれた。
(原田)
突然ばれるというより、週刊誌はみんなそういうネタを常に持っています。ただ、潰れそうな党の党首のスキャンダルは価値がないわけですね。自民党の議員でも大臣になると出るわけです。単に一介の国会議員のスキャンダルでは週刊誌は売れませんから、衆議院の議席が4倍になり有名になったというか大物になったので、出してきた。
(深田)
玉木さんがキングメーカーみたいになっています。
(原田)
そう、キングメーカーというか、自分自身がキングになるかもしれない。村山さん(村山富市旧社会党委員長)がキングになったのですから、玉木さんが首相になる可能性があった。
(深田)
あのおじいちゃん、私が小学校か中学校1年生ぐらいの時になったのではないですか。小学校5年生か6年生の時に細川さん(細川護熙旧日本新党党首)が首相になって、ついに日本でかっこいい人が首相になった。赤いマフラーをして「イケオジがついに首相になったぜ」と思っていました。
(原田)
ビジュアルのいい人ですね。ただ、日本はあまりビジュアルこだわらないようですね。
(深田)
そうです。私は日本社会の中でイケメンが出世している姿を見たことないです。多分、女がイケメンを甘やかせすぎなのか。
(原田)
アメリカではイケメンの方が収入が高いという経済学の研究があります。日本でもあったと思います。
(深田)
日本でもイケメンの方が収入高いのですか。
(原田)
収入が高いです。結構かっこいい人もいると思います。
(深田)
収入が高く、かっこいい人はいるけれども、イケメンで会社の役員にまで上がっていく人はなかなかいないです。
(原田)
いると思いますよ。というのは、就職の時はイケメンの方が有利だと思います。もちろん美人も有利です。
(深田)
就職する時点で 有利だけど、その後生き残れるかどうかですね。
(原田)
そうですね。みんなが、美男美女を採っていれば、その中で偶然でてくる。
(深田)
入社した時はイケメンだけど、出世する頃には20年ぐらい経ってイケメン度が落ちた。
(原田)
それはそうかもしれない。
(深田)
皆さん、元日銀審議委員の原田先生になんか聞きたいことありますか。日銀は何をやっているのですか。
(原田)
今の目的のために、金利を動かしたり、お金の量を動かしたりします。
(深田)
その目的は誰が決めるのですか。
(原田)
目的は法律に
書いてあります。「物価の安定と国民経済の健全な発展及び金融秩序の安定」ですね。金融秩序の安定というのは銀行がバタバタ潰れると、みんなが困ってしまう。バブルが起きてそれが崩壊すると、やはりそれも金融機関が困ります。だから、そういうことが起きないようにします。
(深田)
日銀審議委員とは何ですか。
(原田)
審議委員は合議性で金融政策を決める人たちです。
(深田)
何人いるのですか。
(原田)
9人です。
(深田)
若田部先生(若田部昌澄早稲田大学政治経済学術院教授)は今も副総裁ですか。
(原田)
いえ、もうやめています
(深田)
私が大学の時に経済学の若田部昌澄先生はリフレ派で超有名な人だけれども、気がついたら日銀の副総裁になっていたので驚きました。そんな有名な人に習っていたのだと。講義はめちゃくちゃ難しかったです。しかも遅刻したら欠席扱いなので、危なかったです。
(原田)
結構厳しいですね。
(深田)
日銀は9人の審議委員がいて、その人たちの投票で利上げするか利下げするかとか、金融緩和するか引き締めするかということを決めているとのことですが、それによって日本の経済は成長してこなかったのです。
(原田)
日銀が「経済が悪いのは自分たちが悪い」と思うようになったのは黒田東彦総裁になってからですね。黒田総裁以前は「経済が悪いのは、別に日銀のせいではない」と言っていたわけです。だけど「経済が悪いのはやはり日銀がちゃんとしてないからだ、日銀は物価の安定と国民経済の健全な発展のためには何かやらないといけない」と思い始めたのは黒田総裁からです。
(深田)
それを日銀法に書いてあるのに、私たちの経済は発展していないではないですか。
(原田)
ただ、雇用のことを考えてみれば、すごく良くなっている。この放送を見ていらっしゃるのは若い方ですか。
(深田)
いえ、皆さんそんなに若くないです。
(原田)
就職氷河期を知っていらっしゃるわけですよね。その時に比べて2012年からは就職はずっと良くなって、コロナショックの時は多少悪くなったけど氷河期ほどではなかったです。今はまた戻って良くなっていると思います。
(深田)
私は、1998年に山一証券が倒産した最悪の年の氷河期世代です。自分の親の会社も倒産し、スーパー貧乏だったのです。どうしてくれるのかと思いました。
(原田)
だから、日銀は景気をよくしようとすることができるわけですよね。
(深田)
質問で「経済が良くなっていないのに金利を上げたがるのはなぜですか」とあります。
(原田)
それは金利を上げて欲しいという人がいて、金利が低いと銀行は儲からないと思っている。
(深田)
絶対嘘でしょう。
(原田)
金利が上がって、貸出し先が減ったら儲からないわけですよね。
(深田)
絶対ないです。だって、銀行は貸出金利でお金を儲けているのではなく、自分達が調達する額と貸す時のスプレッド(金利差)で利益を得ているわけでしょう。
(原田)
そうだけれど、異常に低くなると本当は銀行もマイナスの金利をつけたいのでしょう。マイナスの金利がつけられるのであれば、スプレッドは取れるわけだけど、それができないから 金利を上げたらスプレッドが取れると思い込んでいるのです。実際はそうなっていないのですね。
 
過去に遡って考えれば、物価が上がれば金利も上がるわけです。物価が下がれば金利も下がってしまいます。だからデフレになってから金利が下がったのですが、そこをあまり理解していないようで、金利が下がったのは日銀が金利を引き下げたからだと思っているわけです。しかし、デフレになって景気が悪くなったので、しょうがなく金利を下げていった。
(深田)
そこはありますね。
(原田)
だからデフレにならないようにしていれば、これほど金利は下がらない。
(深田)
リーマンショックの時に金融緩和をやらなかったら、我々は死んでいましたね。
(原田)
そうです。それで、少しだけ金融緩和をしたのですが、他の国はどんどん金融緩和をしていました。その結果、日本はすごい円高になったのですね。それで、1ドルが79円まで円高になりました。韓国はウォンが5割ぐらい下がりました。そうすると日本との差は2倍ぐらいに開いた。これで日本の電気産業が壊滅しました。
(深田)
ウォンの方が安くなってから、韓国製品の方がよく売れてしまった。
(原田)
よく売れてしまったので、それ以来、もうだめということになった。
(深田)
視聴者のみなさんの年齢を見ましょう。30代から70代まで結構ばらつきがあります。
(原田)
結構、高齢の方も見ていただいている。日本人の平均年齢もかなり上がっているなかで、ネット社会は若者のものだと言う人が多いけれど、そうではなかった。
(深田)
全然ないです。
それでは、本日もありがとうございました。

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