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うたプリから見る【腐女子・夢女子人気とコンテンツの寿命】

以前の記事で、腐女子・夢女子人気とコンテンツの寿命について「カップリング要素」を取り入れたことで興行収入が劇的に増加した劇場版名探偵コナンの例を基に解説しました。
今回は「グループ要素」を取り入れたことが人気継続の鍵となったうたプリを例に見ていきたいと思います。

『うたの☆プリンスさまっ♪』、通称うたプリについて


2010年、PSP用に発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームから始まったうたプリ。
早乙女学園に作曲家を目指して入学した主人公(七海春歌)が、アイドルを目指す男の子達(攻略対象)とペアを組んでデビューを目指すというストーリーになっています。
当時は男性アイドルを題材としたコンピュータゲームはほとんどなく、前例のない世界を手探りで切り開いたパイオニア的存在です。

10周年を迎えた2020年にはNintendo Switch用の新作を発売し、シリーズ累計100万本を売り上げている大人気ゲームです!

「うたプリ」の凄すぎる売上規模、水樹奈々×上松範康による“ヒットを生む発明”とは」より引用

2010年のゲーム発売以降、アニメ化からのグッズ展開、CD・DVD発売、アプリリリース、映画上映などメディアミックス展開を広げ続けているうたプリ。2024年はFMラジオ番組も始まりました。

1対1でキャラを攻略する乙女ゲームからアイドル育成ゲームへの転換により人気が爆発!

2011年アニメ「うたのプリンスさまっ マジLOVE1000%」対象キャラがユニットを組む

2011年、うたプリのアニメ第1期が放送されました。
ゲームと基本的な設定は同じであるものの、特定のキャラと主人公が結ばれるのではなく、ゲームの攻略対象のキャラが「ST☆RISH」というユニットを結成。主人公は彼ら専属の作曲家として共にデビューを目指す設定で 1対1の恋愛要素が薄まりました。
さらに、アニメ内容も回ごとに主人公と特定のキャラがフォーカスされる内容のもので夢要素も強めとなっています。
また、各メンバーの属性をまとめた「〇〇組」「〇〇系男子」といったクラスタリングや同室設定などにより、徐々に単推しからグループ推しへと変化しました。

CP売り路線に変更された!?アプリ「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live」

惜しまれながらも2023年末にサービス終了となったアプリ「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live」。
リリース時(2017年)はこれまでの内容と異なり、ゲームプレイヤーと攻略対象という構図ではなく、キャラ同士の関わり合いに重点が置かれました。
イベントストーリーもキャラ同士の絡みとなっており、元々の畑であった恋愛シミュレーションゲームというジャンルからアイドル育成ゲームへと完全に方針転換を遂げた時期と言えるでしょう。

乙女ゲームの1on1セオリーを捨て、ユニット化したことで人気が継続

人気の波は二次創作界隈にも影響を及ぼしました。
アニメ放送前→後で「うたプリ」関連の作品タグ数が50倍にも急増!
1対1の乙女ゲーム路線から攻略対象をユニット化し、その中でキャラ同士の絡みに重点を置いたことで腐女子の人気を獲得、同時に夢女子の需要もさらに喚起する結果となりました。

ユニット概念により「グループ推し+単推し」の両目線で楽しめるように

一番お気に入りのキャラを単独で推すのはもちろん、推しが所属するユニットも大切な存在です。
推しきっかけでユニット全体を見ていくうちに、ときには良きライバル、ときには切磋琢磨する仲間となり、推しを輝かせてくれる他メンバーにも興味を持ち始めます。
そのため、関係性や成長を見届ける過程でカップル推し、箱推しになる可能性が高くなります。

腐女子・夢女子人気がコンテンツの売上と寿命を決める!?」でも言及しましたが腐女子と夢女子の多くはその両方の属性を併せ持ち、それぞれの人格が共存しています。
推しを理想の男として乙女な心をときめかせる一方で、別の男とカップリングとして番わせることはとても容易いことなのです。

イケメンキャラを多数登場させるだけでなく、そのイケメンと他の男性キャラと同グループまたはライバルグループに所属させ、特別な関係性を作り上げることでうたプリは世の女性たちを魅了し続けています。

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