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過労で休職に入ります_2
あ、限界かも!となった日
前回の続きです。
体調に変化が現れたのは、7月の3週目くらいだったと思います。
朝は体が怠く起きられないし、這うように出勤していましたが、職場についたらスイッチが入って12時間ぶっ通しで仕事、終わってバタンキュー
ずっとこの流れで平日は過ぎていき、朝夜や休日はアレでしたが、勤務時間中は元気に過ごせていました。
ですがいつの間にか、仕事中に吐き気やふらつきが出るようになっていました。
ずっと頭から胸にかけてモヤモヤしている、めまいから来るものか消化器系のものかわかりませんが、胃や胸のあたりがなんとなく気持ち悪い。目の前もふーっと遠くなるような感覚に何度か襲われ、同僚と話すときの顔も引きつり、カラ元気でした。お客様との会話を聞いた上司には「今日なんでこんなに声が暗いの?」と言われました。全然自覚はなかったです。
帰宅中の足取りも、すたすたなんて歩けず、一歩ずつ引きづるように歩いていました。
それでも何とかやっていましたが、先週の金曜日です。
怒涛の月末が終わりましたが、営業は毎月ノルマに追われます。ああ、また、始まるんだ。
先月よりも1円でも多く受注しなきゃ。後輩に示しがつかない。上司にも申し訳ない。1件でも多く企業に営業の電話をして求人を獲得しなきゃ。日次のノルマが達成できなくなってしまう。求職者のフォローも、日程調整も、書類の添削も、社内のアンケートも、忘れずに、やらなきゃ、やらなきゃ、やらなきゃ…
退勤を押したのは22時少し前でした。
30分ほど電車に揺られ、家の最寄までつきました。今週は休日出勤もないし、今日はおいしいものを買って帰ろう。ゆっくりしよう。
そう思って好きな音楽(ちなみに、アジカンの「転がる岩、君に朝が降る」です)を聴きながらスーパーに向かって歩を進めていたら、ボロボロとなみだが溢れ出てきました。
今までも漠然と辛くて泣きながら帰ったことはありましたが、嗚咽するほど泣いたのは久しぶりでした。
なんか、限界かもとその時思いました。
こんなに素敵な音楽がこの世にはあるのに、それに触れて自分の心を揺らしたり、感性を豊かにするのが好きだったのに、今の私は、何を犠牲にして何を得ようとしてるのか。自分の人生にとって本当に価値があるものって何?
体は相変わらず怠く、重く、顔もへちゃむくれにしながらスーパーでざる麵を買って食べました。
怒られた
翌日、恋人と定食屋で夜ご飯を食べました。
その時に最近の体の不調を、へらへらしながら話すと、「医者行きなさい」と怒られました。人の言うことを聞けと。
恋人は、仕事に生活を乗っ取られている私にとって、ここ1年で一番身近な人間でした。
そんな人から、日に日に顔色も悪くなっているし、身体症状も出てきた、君の会社は異常だ、早く休んだ方がいいと言われました。もともと恋人は、弊社のような「成長という名のもとに社員に過重労働を強いる会社」が反吐が出るほど嫌いです。
夜、私は眠れず、いろいろ考えていたらまた泣けてきて、えずくほどでした。これは、仕事休んででも病院行かなきゃと思いました。
ですが、休日は活力が湧き出てこない以外は特段大きな症状は出ないんです。なので正直、本当に休むかどうかは決断を先延ばしにしましたが、月曜日は出勤しても仕事にならんと思い、引継ぎだけ作成して、ひとまず休みました。病院行ってから考えようと。
医者は内科でもOKだった
自覚症状として、メンタル系でなく身体症状が出ていたし、メンタルクリニックはどこも予約でいっぱいなので、普通の内科をさがしました。
内科だけど、身体不調で胃腸薬出すとか鉄剤だすだけじゃなくて、心因性の話とかもしてくれるお医者さんがいたら理想的なのですが・・・なんと家のすぐ近くにありました。
口コミに、「内科だけど心の状態も見たうえで診断してくれる」と書いてあり、おまけに予約なしでOK!ラッキーです。すぐに向かいました。
家から10分ほど。こんなところに病院があったのか…と、もう3年近く住んでいる町の見たことのない風景に少しワクワクしながら、私の様子を見た受付の方に促され入りました。平日午前中なので、ご高齢の方しかいませんでした。
問診表を記入し少し待つと、最初は看護師さんがカウンセリングをしてくださいました。
症状の確認と、要因と思われるものの背景。そこで、職種や残業時間、職場環境を伝えると、そこはホスピタリティを体現する看護師さん、めちゃくちゃいたわってくれました。「えーっ…これは、しんどいですよね…ひどくなる前に、今のタイミングで来てくれてよかったです。」と言われました。
貧血症状も訴えたので、血液検査とかするかもしれないと言われましたが、5分ほど待ったら普通に診察室に呼ばれました。
優しそうな男性医師でした。医師は看護師さんの問診内容を確認するように話をして、一言「ストレスですね…」
「やっぱ、そうですよねぇ…」
傍らで先ほどの看護師さんがうんうんとうなずきます。
「ストレスで体に不調をきたす人の9割が、人間関係と言われていて、過労とかもなくはないけど少ないです。そこはどうですか?」そう聞かれ、人間関係は全く問題がなかったことを伝えると、労働環境について質問されました。
「残業は、平日だけで60時間は超えます。月に2回くらい休日出勤があって振替休日がなくて、その他タイムカード切った後や勤務時間以外も仕事してますね…」
「ブラックですね~…それ全部合わせたら80時間くらいになりますかね」
「う~ん、こまごま合わせたらなるかもです…」
医師の話では、長時間労働をしていてなによりまずいのは、自分を労わる時間がことだそうです。
24時間の中で、食事とお風呂で決まった時間は確保しなきゃならないとなると、削るのはまず自分の時間、その次は睡眠時間。
睡眠時間を削るのは言わずもがな、自分の時間がないとどんどん心がまいっていきます。その話に私はめちゃくちゃ共感しました。
なぜなら、自分のアイデンティティである音楽を楽しむ時間や、絵をかいたり部屋をきれいにする時間<自分の時間>が失われ、自分の本体がどこかへ行ってしまったような喪失感を、身をもって実感していたからです。
また、私は6月にこの本を読んでいました。
素晴らしい本なので、休職中とかに関わらず、社会人みんなに読んでほしいです。なぜ生活は仕事中心になってしまうのか、なぜそれが美徳とされる世の中なのか、なぜあのころ好きだった趣味に興味がなくなってしまったのか。労働の歴史から解き明かし、ある種の希望を与えてくれる本です。
この本を読んで、「自分の時間をも仕事のために切り分け、全身全霊で働くことが良き事という現代社会はクソだ」という考えが強くなったので、医師の話にも納得したんです。
「通常の企業や会社に勤務している人間から言わせたら、残業80時間なんていうのは異常です。ありえないです。そんなところは早くやめた方がいいと助言させてもらいます。」
ひとまず、1か月くらい休むための診断書を出すので、職場変えたり先のことは追々考えてくださいと。
でも怖いのが、これだけ言われて自覚があっても、それでもなお「本当に自分は仕事を休むくらいの状態なのか?」「怠けてるのではないか?」「もうちょっと頑張れたのではないか?」という思いがぬぐい切れなかったことです。
これが洗脳か…と思いつつ、医師に聞きました。
「あの、私自身の思いとしては休みたいんです。明日いってもまともに働ける気がしなくて。ですが、先生の見立てでも、私は休んだ方がいい状態なんですか?」
「もちろん、私はまだあなたと5分10分しか話してないから何がわかるの?って思うかもしれないけど、勤務状況と今体に出ている症状を見るに、あと1か月2か月頑張って働いたら、それこそ鬱とか精神疾患になってしまって、回復までにさらに時間がかかりますよ。なので、このタイミング休むべきだと私は思いますし、その会社は辞めた方がいいです」
その医師の言葉に私は安堵して、「ストレス障害」という診断名で診断書を作成してもらいました。
幸い、メンタル面での不調は若干心が不安定になるくらいでまだうつ病の域まではいっていなかったのでこの診断にしてくれたのでしょう。
休息すれば、睡眠の質や気分の上下は改善する段階だと思うから、一旦薬は飲まない方向に落ち着きました。お金もないので助かりました。
とにかく数日は、何も考えず好きなだけ寝てくださいと言われ、予約不可なので次回予約は取らず、その日の診療は終わりました。(いつ行ってもいいそうです。特殊な病院…)
診断結果を会社に伝えた
仕事を休むことが決まったら少し気持ちも軽くなって、10分ほど歩いて隣町の喫茶店でスパゲッティを食べました。人気漫画に登場したようで、席にその漫画がおいてあったので読みながら待ちました。
女性の店員さんがあつあつのスパゲッティとサラダを運んできてくれて、3口ほど食べたときに目頭が熱くなりました。
ああ、私はこういう小さな幸せをかみしめるのが好きだったなあ…
喫茶店で、のんびり読書したり、ぼーっとテレビを見るのが好きだった…
昔の自分に再開したようで懐かしい気持ちになりました。
帰宅し、気が重いので数時間たってから社内コミュニケーションツールで上司に連絡をしました。その上の上司から返信が来て、あっさりとお休みの旨は了承されました。(前々から体調が悪いことを伝えていたからかと思います)
診断書の写真を取り急ぎ送って、業務のことは全然大丈夫だからゆっくり休んでね、と言われて、ひとまずのやり取りは終了です。
今後労務から連絡が来るかもしれないとのことでした。
さいごに
私が休職するまでのいきさつは以上です。
私は以前も休職の経験があるのでなんとなく感覚がわかるのですが、自分以外の人のケースって気になりますよね。。
なかなか対面で聞くこともないですし、デリケートな問題なので根掘り葉掘りきけないし。
以前の休職は完全に人間関係(パワハラ、モラハラ)だったので、こんなに人がいい環境でまた仕事を休むことになるとは思いませんでした。
まあでも、自分の体が一番大事なことに変わりないですし、人材営業をしていて思うのは、人間休んだりしても何とかなる人のほうが多いということです。
今後の方向性は決まっていないですが、ひとまず<自分の時間>を取り戻すために、毎日を過ごしていこうと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。