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こんな育短制度があれば、パパも利用したくなる!【前編】
前回の記事で、育休と育短を切り分けない制度について考えてみました。
その中で、制度に盛り込みたい条件を挙げました。
今回は、その条件を満たす育短制度を具体的に考えてみました。
働く時間ゼロなら育休、減らすなら育短
育短では、育児休業給付の支給対象になりません。
育短を取りたいと思っても、収入が減ってしまうので取りづらい。
働きながらの育児は、本当に大変です。
できることなら、働く時間を減らしても大きく収入を減らすことなく、育児に時間をかけられる生活を送りたいものです。
また、育休だと働くことができません。
育児休業給付の対象になりますが、ボーナス分は給付されません。
結局、育休でも育短でも大きく収入が減ってしまうため、その取得を躊躇してしまいます。
ならば、働きながら育児休業給付金が支給される仕組みにしたらどうでしょう。
仕組みはシンプルです。
働く時間ゼロなら育休。
働く時間を減らすなら育短。
どちらの場合にも、減った給与分をできる限り補填できるように、育児休業給付金を支給する仕組みに。
何のための育児休業給付かを考え直す
現行の育児休業給付は雇用継続給付のひとつで、職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的としています。(厚生労働省「雇用継続給付について」)
実際に給付を受ける側の受け止め方は、この通りとは限りません。
もちろん、雇用継続が保障されることはとても大切なことです。
育児しながら働き続けるためには、働くための時間だけでなく育児にかける時間が必要なのです。
そして同時に、育児にかけるお金が必要なのです。
育児に時間をかければ、育児にかけるお金を稼げなくなる。
ここに矛盾があるのです。
ですので、育児休業給付の目的を考え直せばよいのではないかと。
私なら給付の目的を、育児にかける時間を確保しつつ、収入の減少を大きく心配することなく育児を行えるようにするためとします。
小学校入学までの育短でも給付金を
私の考えた目的は、端的に言えば、働きながら育児を行えるようにするためです。
雇用継続、つまり働くことのためだけの給付ではありません。
育児しながら働くのではなく、働きながら育児するための給付です。
現行では、小学校就学の始期までの短時間勤務制度を設けることが事業主への努力義務となっています。
ならば、少なくとも子どもが小学校に入学するまでは、育短を利用しても大きく収入を減らさない仕組みに変えてはどうでしょう。
子どもの誕生後、1年間育休を取得。
この育休中には、180日間は月額賃金の67%、181日目以降は50%の給付金が支給される。
1歳を迎えた日から小学校に入学するまで、6時間の育短で働き始める。
この育短中には、月額賃金の25%の給付金が支給される。
こんな仕組みなら、収入の心配なく育短を利用することができそうです。
ボーナスを含めた育児休業給付
育児休業給付の支給限度額は支給率 67%で301,902円、50%で225,300円です。(2021年8月変更)
つまり、450,600円が月額賃金100%となります。
2021年の公務員のボーナスの乗率は4.35カ月でした。
かけ合わせて年収を計算すると、450,600円×(12カ月+4.35カ月)。
ボーナスを含めた年収は7,367,310円、約720万円。
年収720万円ぐらいが支給限度額のモデルになっているようです。
ボーナスを含めた720万円をもとにした支給限度額に変えれば、収入を大きく減らすことなく、育休や育短を取得することができるようになります。
年収720万円を12月で割って月額賃金とすると、60万円。
支給率67%で40万円、50%で30万円。
ボーナスを含めた制度で、支給限度額に該当する場合、1年間の育休で約420万円が支給されることになります。
ちなみに、ボーナスを含まない現行の制度では、支給限度額の場合で約315万円となります。
育休は3歳の年度末まで
どれくらいの期間、育休や育短を取得できるようにしたらよいのでしょうか。
現行では育休は最長2年まで取得可能です。
公務員や大企業では3歳になるまで育休が取得可能です。
でも、育休代替人材の確保の点からすると、3歳になるバラバラのタイミングでの人事異動はとても厄介です。
また、待機児童問題の点からしても、2歳児よりも3歳児で入園した方が、必要な保育士を確保しやすくなります。
ですので、育休は3歳の年度末まで取得可能にするとよさそうです。
育短は18歳の年度末まで
現行では育短は3歳まで取得可能です。
現行でも公務員や大企業では小学校就学の始期まで可能。
どこの企業にも小学校就学の始期までの努力義務が課せられています。
でも、育児は小学校入学で終わるわけではありません。
小学校入学後も育児に多くの時間を割くことになります。
少なくとも高校卒業までは、どこの家庭でも育児のための時間の確保に頭を悩ますことになります。
また、子どもそれぞれの成長の様子や身体の特徴によって育児にかける時間や時期は大きく異なります。
これらのことを考慮すると、育短を18歳の年度末まで取得可能にするとよさそうです。
後編で、具体的な給付の例を挙げて考えてみたいと思います。
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