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社員に育休を取ってもらうと、会社の利益が増える!?
前回の記事では、男性が育休を取得したいと思わなかった理由「収入を減らしたくなかった」について考えました。
その結果、ボーナスが多ければ多いほど、育休を取ると収入が減ってしまうことが分かりました。
育児休業給付金の実態は、世間で言われる実質8割からは程遠いものでした。
そこで今回は、他の視点から考えてみました。
年収ではなく生涯収入で考える
ほとんどの会社がボーナスをなくし年俸制にすることで、育児休業給付金による収入が増えれば、男性の育休も取得率が上がるかもしれません。
また、子どもの教育費などをすべて無償化し、子育てにお金のかからない社会を構築すれば、男性も不安なく育休を取得するようになるかもしれません。
でも、解決策としてはあまりに大がかりで、実現を目指しても、その道のりはかなり長くなりそうです。
男性の育休が広まらない大きな理由のひとつは「収入が減らしたくない」です。
そこで、別の視点からと思い、収入を年収としてではなく、生涯収入として考えてみました。
育休はCSR活動への貢献
多くの会社では、給与は昇給により上がっていくシステムになっていると思います。
多少の違いはあるにせよ、一部の会社を除いては、年功序列型の給与が原則になっていることでしょう。
育休を取得すると、休業期間となるため、昇給が遅れます。
私の場合、取得しなかった場合に比べ、6カ月遅れることになりました。
職場によっては、育休を取得する期間が定期昇給の時期に重なると、職場復帰後の定期昇給のタイミングまで、昇給がされないということも起きているかもしれません。
育休を取得したために昇給が遅れたということは、社員からすると、育休は会社から評価されていないととらえられてしまう要因のひとつとなります。
会社からすると、休業していた期間を、勤務していた期間として扱うことに抵抗があるかもしれません。
でも、社員が何らかの功績を残した場合、特別に昇給したり、ボーナスが与えられたりすることはたまにあることです。
ならば、育休も会社のCSR活動に貢献したものと考えたらどうでしょう。
育休を取得したら3階級昇給させる
男性の育休の取得が会社で評価されるものにならないと、育休は広まりません。
そのためには、育休を取得した社員の昇給を、取得しなかった場合と同様に行う。
いや、それ以上に、復帰後に昇給を早めるといった措置をとることで、男性の育休取得を促すことができると考えられます。
年収600万円の35歳の男性が1年の育休を取得したとします。
育休期間中、会社は、600万円に加え、社会保険と労働保険の会社持ち分の持ち出しもなくなります。
会社は、低く見積もって660万円の支出減となります。
会社は、育休の取得に対して何もしなければ、予算で見積もっていた支出が減り、利益が増えるということになります。
もともと支出として計上していたわけですから、この660万円を65歳までの30年かけて、育休取得した社員を評価するための資金などに充ててみては?というのが私の考えです。
社員からすると、1年が経過し、育休復帰した年度に2階級昇給すれば、育休を取得しなかった場合の給与と同じ額になります。
会社からすると、2階級昇給させるだけなら、育休中に支払わなくて済んだ660万円の資金は1円も使わずに残ることになります。
会社は、3階級以上の昇給を行うことで、660万円の資金の一部を充てたことになります。
この会社の賃金体系を、45歳で年収が800万円、55歳で900万円、その後65歳まで横ばいの900万円と仮定します。
育休復帰後に3階級の昇給が行われるものとして計算しても、30年後、会社には約350万円の資金が残ることになります。
会社が助成金制度をうまく活用すれば、数十万円の資金がさらに上乗せされます。
このように計算してみると、子どもが生まれた社員に、臨時ボーナス100万円を支給する会社があることも納得できます。
実際には、660万円のすべてを育休社員の評価のための資金に充てることはできません。
会社は育休社員の代替となる人材を配置しなければならないからです。
育休社員と同等の給与となるほどの人材を確保し、同様の業務を担わせることはかなり難しいことです。
そう考えると、業務はチームなどで補完し合ったり、契約社員、派遣社員、パートタイムなどの雇用で埋めたりすることになります。
月20万円を代替の人材を確保するための費用に充てるとすると、年360万円になります。
育休取得で生み出された資金を30年かけて取得した社員に還元する
まとめてみます。
年収600万円の社員が育休を1年取得しました。
会社は660万円の支出減となりました。
代替の人材を配置するために360万円を充てます。
会社には、年度末に300万円が資金として残りました。
育休取得を評価するために、復帰した社員を3階級昇給させました。
3階級昇給させることで、育休により生み出された300万円の資金を、30年かけて社員の給与に充てました。
育休を取得すると、1階級昇給が早まることになったこの会社では、ほぼ100%の男性が、育休を取得するようになりました。
机上の空論ですが、私の中ではしっくりきます。
ただし、35歳で年収600万円(ボーナス3カ月分)のモデルより、65歳の収入が高く、育休を取得した社員の年齢が低くなるほど、会社に残る資金は少なくなります。
ちなみに、1人の社員が育休を取得する回数が多いほど、会社に残る資金は多くなります。
育休取得を表立って評価しすぎるのも・・・
望んだとしても、誰もが子どもを授かることができるわけではありません。
子どもを授からなければ、育休を取得したいと思っていても育休を取得することができない人もいます。
育休を取得した社員を評価することは、男性の育休取得に大きく寄与することになると思います。
その一方、表立って評価することは、望んでも子どもを授かることのできない方々の気持ちを大きく傷つけることにもなります。
幸運なことに、私たち夫婦は不妊治療の末、2人の子どもを授かることができました。
不妊治療をお願いしたクリニックの方々がいなければ、私たち夫婦も子どものいない生活を送っていたかもしれません。
子どもを授かった私たち夫婦には、望んでも子どもを授かることのできない方々の気持ちのすべてを理解することはできません。
でも、子どものいない家庭の方々が肩身の狭い思いをすることを避けたいという気持ちは持っています。
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![藤原 貴宏 FUJIWARA Takahiro](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46856096/profile_dda77ccbed65836ebd343314ffa71487.jpg?width=600&crop=1:1,smart)