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なんでレコードを作るのか?

1億総配信時代になってシングルのリリースが多くなるとは思っていたけれど、もう想像はるかに超えてますね。もはやそこから好きな曲「選んで」聴けってほうが無理ですね。これを聴け、と与えられるものになってるわけです。

そんな中なんでレコード作るの?って話なんです。
リスナーの皆さんからしたら配信で充分って感じじゃないですか?

分析とか建前とかそういうの抜きでゆるめに、わたくし的レコードの好きなところと嫌いなところを書き出しますね


好きなところ
①かっこいいし、かわいい
ジャケ大きくね?かっこいい!盤のカラー、種類がいっぱいあったりしてかっこいい。いや、かわいい。
②手間をかけてまで聴く意識の高さ演出
「えいっ」って気合い入れないと針を落とすまで至りません。しかしこの作業をやることで聴いている自分に酔えます。珈琲なんか淹れ始めちゃったりして。おれ、かっこいいになります。
③自然に近い
溝を針でなぞって振動を感じる?振動ってあの振動?極端にいったら地響きみたいなもんでしょ?そりゃ人間だもの感じちゃうわよ。シンプルにそれ。自然強い。生きてる最高。

嫌なところ
①高い(高い)
日本では(ほぼ)東洋化成1社でしか作っていないのですがこれがまぁ高い。理由はあるんですがここでは書きません。スタンパー、プレス、ジャケットなど印刷物まであわせたら7インチ(小さいほう)小ロットでも30万くらいかかっちゃいます。
②納期が超長い、むしろ見えない
CDつくるのであれば10日前後でできちゃったりします。しかしアナログは最低でも2ヶ月は必要です。んで平気で1ヶ月とか平気で遅れます。昨年リリースしたSACOYANSのLPではテスト盤にスクラッチ(傷)があったり予定日+3ヶ月かかりました。リリース日とか決めて予定で動くとこっぴどい目に会います。
③重い
重いほうがいい音がするだなんて180g以上の重量盤とかいうもんがちやほやされます。ちりつもってレベルじゃなく油断して指の力だけで持ち上げようとしたら爪剥がれます。腰も痛い。
④折れる曲がる反る拾う
面積大きい分、まぁよく劣化します。ジャケットのはしっことかすぐ折れます。斜めにおいたら曲がって反ります。ターンテーブル上で波打ったりします。そして、そういうの全部音に影響します。振動音全部拾っちゃうのでボコとかザーとかいいはじめます。

。。。。やばい嫌いなとこきりない。あとまだまだあります。シンプルに販路が少ない。アナログは置かないって店まだまだ多い。あえてまだまだって書くけど。売れない(うん万フォロワ−とかのアーティストでも1000枚くらい)とかね。やまほどあるな。


あらためて、なんでレコードなんて作らなきゃいけないんだろう。いわゆるレコード会社をやっているわたくしが自問自答しています。いや、いけないなんて誰も言ってない勝手にやれって話ですけど。


結局、たいそうな理由など無い。
ましてや売上に基づく戦略がどうこうも「さほど」しか無い。会社経営する気あるのか。

世間一般でいわれているのは「モノ」として付加価値が有るから。大量生産大量販売はもうデジタルにおまかせとなっているから。CDだとやや中途半端だってのはまぁある。

じゃあ、結局いつ、なんで作ろうと思っちゃうのか。

ビビビッと来たときです。

何回か曲を聴いてるうちに、急に「これ、、、アンセム来たんじゃね?」とか「20年後に聴いても名曲じゃね?」とビビビっときます。そして内なる永遠のピュアリスナーことイマジナリーどす恋松ぼっくり君との対話が始ったとき。私の場合はこれ。これですね、主たる理由。書いてて気づいてます。いま。

だいたい聴いたり出来た瞬間はならない。でも対話始まったらもうテンションは急上昇。さらにそのアンセムを特別なものにしたくなる。これはもうパブロフの犬というか、過去に買ってきた名曲たちの入った7インチとかLPの経験がアドレナリンを出させているのかもな。名曲に敬意あらわすの最上級形態がレコードであり、レコードを作る行為なのかもしれない。めんどくさいほど愛おしいし、高嶺の花ほど追いかけたくなる。好き。嫌い。ああ、なんて人間的だろう。理由が無いのを超える瞬間。なんでって言われても『いや、対話はじまっちゃったんでさーせん」である。おで、作りてえ〜時に作ってますね。。

会社ではやれTiktokだYouTubeだとか騒いでるが、名曲の前には全人類がひれ伏すのだと中二病のように信じている。ライブハウスで肩くんで熱唱してる姿とか、DJがフロアで流したときの反応とか夢想してすごくムラムラしてる。名曲は出さずにはいられない。性欲みたいなもんかもしれない。一瞬、なんかうまいこといったか?みたいな気持ちになっている。おじさん嫌い。


19年音楽を生業としていますが、結局こんなものです。(少しは大袈裟に書いているので考慮はしてね)

なので、これを見たみなさんも理由なく興奮したらレコードを作りましょう。作ろうとアーティストをけしかけましょう。そしたらもうちょっと日常使いになり、嫌いのハードルが下がるかもです。

あとくれぐれも取り扱いには気をつけましょう。昨日も「レコードが曲がってるじゃないか?」って会社で癇癪を起こしました。愛だよ、愛。


と、いうわけでなんでこんな話をしたくなったかというとズカイというバンドのアナログ7インチシングル『酸素/気に留めないで』をTHISTIME RECORDSより1/19に発売するからです!上の話、そのまんまですので、ぜひどこかで見かけたら手にとってください。理由はない!ムラムラしたから!

詳しい話はこちらからどうぞ。

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今度は「この時代になんでCDを作るのか」でも書いてみるかもしれません。
それではまた。


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