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今できることにフォーカス DB#26北川太陽①

決して喜ばしいことではありませんが、アスリートにとって怪我はつきものです。特にコンタクトスポーツであるアメリカンフットボールでは、程度はあるものの“怪我をしない”選手は滅多にいないでしょう。

昨年入社した北川太陽は、入社後すぐの5月の練習中に怪我を負ってしまいます。膝の半月板がかける大怪我で入院。手術を行い、退院後も思うようにヒザを伸ばせず、「デスクワークでずっと座っているのもしんどかった」と、日常生活にも影響が出るほど。社会人としてもスタートしたばかりで、様々な面で大変だったことが想像できます。

一方、怪我をして競技から離れたことで新たな気付きを得て、逞しくなって復帰を果たす選手も少なくありません。まだまだフットボールの練習を再開したばかりですが、北川もプレーできない時間があったことで、得たものが大きかったと振り返ります。

「新しい環境になると、ここでは何が求められているのか、『まずは状況を把握したいタイプ』なので、フロンティアーズはこういうチームなんだと客観的にみられたのは良かった点です」。

向上心が尽きない選手の集まり

学生時代は佼成学園でクリスマスボウルを制し、関西学院では甲子園ボウルを4連覇。常勝チームでプレーしてきた北川にフロンティアーズはどんなチームに見えたのでしょうか。

「向上心が尽きない選手が集まっているって感じました。こういう人間が集まると強いチームになるんだと」。仕事をしながら限られた時間での練習は、フットボール漬けの学生時代とは違った、大人な雰囲気を想像していたそうですが、「一回の練習にかける思い、熱量がすごい」と、フットボールに懸ける情熱を感じたといいます。

リーグ戦に入るとスタッフとしてチームに帯同します。普段はすることのない裏方の仕事は、難しい部分もあるように思いますが、「学生時代から裏方あってのプレーヤーだと思っていたので、後ろ向きな気持ちはありませんでした」。それよりも俺がサポートして「勝たせてやる」と、気持ちはひとつだったと話します。

試合を重ねるうちに嬉しい出来事もありました。学生時代の友人が会場に足を運んでくれたのです。「選手として出場できないことを知っていたのに見に来てくれて、本当に嬉しかったですね」。

そしてもうひとつ、リーグ最終戦となったシーガルズ戦も深く記憶に残っています。「序盤リードされる苦しい展開で、チームとしての課題が浮き彫りになった試合。結果的には勝ちましたが、勝つ準備ができていたかどうか、チームとして色々見えた試合でした」。

ポストシーズンを勝ち上がり、ライスボウルでも逆転勝利を挙げたフロンティアーズ。その強さには、これまで所属していたチームと同じ「地に足つけた勝負をしている」と、共通点を感じています。

「普通ならああいうプレーがしたって、それに向けてこんなことが必要だと練習に取り組みますが、フロンティアーズでは自分はこれができるから、あのプレーをしようと考えます。いまの自分と向き合っているんです。だから、できることを増やすためにも、選手たちはレベルアップしなければならないわけで、上を見続けている。そんなチームに入れて、これからプレーするのが楽しみです」。

怪我で1年間プレーはできませんでしたが、それでも今にフォーカスし充実した時間を過ごした北川。フィールドに立つのが待ち遠しい選手です。

➡VOL.2へ続く