エースランニングバックへと駆け上がる #21 RB 三宅昂輝
日本一がかかった今年のライスボウル。フロンティアーズのレシーブで試合がスタートすると、キックオフのボールをリターンした三宅昂輝。続くファーストプレーでは、スナップしたボールを直接受け取るワイルドキャットで4ヤードをゲイン。大事なゲームで、勝負の行方を左右するといってもいい開始早々のプレーを託されました。
このワイルドキャットのフォーメーションは、三宅ならではのプレーといってもいいでしょう。それまでフロンティアーズでは、あまり見ることのなかった作戦で、三宅が加入してから勝負どころで見られるようになりました。「学生時代からワイルドキャットはやっていて、好きな体型です。狙い通り、しっかりとゲインできたのは良かった」と、自信のあるプレーだといいます。
そんな22年を「すごく成長できたシーズンだった」と振り返ります。春の交流戦では思うようなプレーができなかったものの、夏場の練習で修正。秋のリーグ戦に入ると、徐々に「やりたいプレーができるようになった」と、リーグ戦ではトータル223ヤードを獲得し、3タッチダウンを上げました。
やりたかったのはスピードを活かしたプレーです。1対1となった時にスピードで勝るのが持ち味ですが、春の交流戦では思うようにいっていなかったのです。そこで見直したのが、加速するタイミングでした。「ディフェンスが足を止めた時に加速することを徹底的に練習しました」。
社会人1年目は怪我で出遅れたこともあり、「社会人のスピードに合わせられていなかった」と、2年目となった22年は体幹トレーニングを強化。その結果、70キロ前後だった体重は70キロ後半へとアップし「良かった時のタイミングに戻りつつある」と、徐々に自信が持てるようになったのです。
お手本でありライバルでもあるニクソン
フロンティアーズのランニングバックといえば、ライスボウルでもMVPを獲得した大黒柱のトラショーン・ニクソン。「困った時はニクソン!」と、劣勢となっても試合の流れを変えるプレーをする頼れる存在です。
そのニクソンについて、「尊敬できる選手であり、ライバルでもある存在」という三宅。パワーのニクソンに対し、スピードの三宅とタイプは正反対でありながらも、学ぶべき点は多いそう。「パワーだけじゃなく、走る時の考え方や1対1になった時の技術が備わっているお手本」。練習でも試合でも、いろいろなアドバイスをもらっていて、技術面だけでなく相手チームの分析力に長けているのがニクソンの凄いところだそうです。
「あのラインバッカーはこういう癖があるとアドバイスをもらうと、その通りになるんです。走るルートを見つけるのも上手く、ニクソンから吸収できることは本当に多いです」。
2014年のフロンティアーズ初優勝には、QBとしてチームに加入したコービー・キャメロンが大きく貢献しました。その後もスキルの高い米国人プレーヤーと競うことで、選手たちはレベルを上げてきました。その象徴が「パス能力なら米国人選手に負けていない」と山本ヘッドコーチが評価する#18高木翼で、2021シーズンから先発QBとなり日本一の原動力となっています。
同じようにランニングバックでも海外選手とわたりあう選手の活躍が期待されています。「結果がすべてだと思うので、存在感を出していきたい。どんなシチュエーションでも三宅に託せば点を取ってくれる。そう思われるようになりたい」。目指すは間近にいるニクソン超え。2023年は「すべてにおいてニクソンを上回りたい」と、高い目標を掲げています。
Vol.2へ続く