アジャイル組織への変革に立ちはだかる2つの課題と、その解決策
こんにちは。note編集部です。
富士通でも取り組みが進んでいるアジャイルは、生成AIなどの急速なテクノロジーの進化などにより、ますます注目が集まっています。アジャイル組織は、チームの自律性と生産性を高め、変化への迅速な対応や顧客ニーズへの柔軟な対応が可能となることにより、市場に素早くサービスが提供できるようになります。また、意思決定の迅速化やイノベーションの促進を通じて、市場競争力とビジネス成長につながります。
しかし、アジャイルの導入は容易ではないケースも多いようで、「アジャイル組織への変革に取り組んだものの、期待した成果につながらない…」ということも。
今回は、アジャイル組織の成熟度を診断するサービスを開始したばかりのRidgelinezに、アジャイル組織への変革を目指す企業が直面しやすい課題と、その解決策について聞きました。
アジャイル変革を阻む2つのよくある課題
多くの企業がアジャイル導入において、主に以下の2つの課題に直面しています。
アジャイル思考が言葉だけで終わっている
アジャイルは、単なる開発手法ではなく、組織全体の思考様式の変革を必要とします。研修の受講などでアジャイルという言葉を知っていても、組織の全員がアジャイル思考を体現しなければ効果は得られません。
自律的なチーム形成が難しい
アジャイル組織では、チームメンバーが自律的に意思決定し、責任を持って行動することが求められます。しかし、従来のトップダウン型の組織では、権限委譲や心理的安全性の確保が課題となります。
多くの企業が抱えるこれらの課題への具体的な解決策
これらの課題は、どの組織でも起こりうる普遍的なものです。Ridgelinezでは、アジャイル変革のフレームワークを用いた実践的なアプローチでこれらの課題解決を支援しています。
また、Ridgelinezは実践知に基づいてお客さまにサービスを提供しており、アジャイルも社内で浸透させています。ここでは、上記2つの課題に焦点を当て、実際にRidgelinezの社内で実践した事例を紹介します。
意思決定を加速したRidgelinezの社内システム開発チームのアジャイル実践
Ridgelinezのある社内システム開発チームでは、アジャイル導入後もチーム内で従来通りのトップダウン型の意思決定が続き、チームの自律性が向上せず、生産性向上に繋がらないという課題を抱えていました。そこで、チームでは課題を解決するためにまずスモールスタートを実践しました。
具体的には、2か月弱という短い期間、かつメンバーは5名程度の小さなプロジェクトからアジャイルを実践し、成功体験を積み重ねることで、チームの自信とモチベーションを高めることを目指しました。そして、チーム自身で目標設定を行い、スプリント(開発サイクルを短期間に区切った期間)ごとにストーリーポイント(当初の見積もり)との進捗をモニタリングし、次のスプリントにはより高い目標を設定していきました。成果が目に見えることにより、メンバーの継続的な成長やモチベーションの向上にもつながり、その結果、スプリントごとにベロシティ(チームが反復ごとに完了できる作業量)が向上したという定量的な成果を得られました。また、社内のユーザー部門からポジティブなフィードバックを通じて、メンバーは「自分の仕事が会社の成長に貢献している」という実感を得られ、モチベーションが向上するなど、定性面での成果も挙げられました。
さらに、Ridgelinez全体としてトップダウン型の意思決定から脱却することを目指し、アジャイルの考え方やメリットを浸透させために、社内システムのユーザー部門向けに研修を実施しました。研修では、アジャイルが単なる開発手法ではなく、顧客価値最大化のための組織全体の変革であることを強調しました。また、従来のプロジェクト管理手法との違いを明確にし、アジャイルにおけるユーザー部門の役割を説明しました。その結果、権限委譲への理解と協力を得ることができました。
研修の参加者からは「システムの最適化にはアジャイルが必要なこと、そしてその成功には自分たちの関与が不可欠だということが理解できた」や「価値最大化のための優先順位は、自分たちが決めないといけないことに気が付いた」などのコメントがあり、研修前後でアジャイルに対する理解が一変したことがわかりました。
従来、ユーザー部門など各所との調整に多大な時間を要し、結果として意思決定の遅延が発生するという課題は、アジャイル思考の浸透により、意思決定プロセスが大きく改善されました。
これは、Ridgelinezにおけるアジャイル実践の一部ですが、他にもRidgelinez社内ではアジリティ向上に向けた取り組みが数多く存在します。これらの取り組みにより、Ridgelinez全体として、お客さまへの対応スピードが向上し、それによりお客さまからそのスピード感が評価され、コンサルティングの依頼や、信頼関係構築につながっています。
まとめ
アジャイル組織への変革は、マインドセットの変革から始まる長い旅です。Ridgelinezのアジャイルフレームワークと、本事例のような実践的なアプローチを活用することで、組織の課題を克服し、真のアジャイル組織へと進化させることが可能です。まずは、組織のアジャイルの現在地のチェックにぜひRidgelinezが提供する無料のアジャイル成熟度Web診断をご活用ください。
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今回お話を聞いた、Ridgelinezの尾形と竹内は、プロジェクトマネジメントやアジャイルの外部講師も行っています。ご興味のある方は下記をご覧ください。
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※PMBOK®ガイド 基礎講座、PMBOK®ガイド & プロセス群 : 実務ガイド解説講座、PMBOK®ガイド 第7版講座の3講座の中で、尾形が講師を務めます。
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