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富士通に量子棟を建設。2026年度、1,000量子ビットコンピュータを設置・公開します!

こんにちは!富士通広報note編集部です。
富士通の本店であるFujitsu Technology Parkに2025年秋、新しい施設が竣工するのをご存知ですか?
それは「量子棟」です。先日、執行役員EVP 富士通研究所長の岡本からも「Fujitsu Technology Parkの地に量子棟をつくり、1,000量子ビットの超伝導量子コンピュータを設置・公開していきます」と正式にアナウンスされました。

富士通株式会社 執行役員EVP 富士通研究所長 岡本 青史

量子コンピュータと富士通の取り組み

量子コンピュータは量子力学の原理を利用して計算を行うコンピュータで、現在のコンピュータが0か1のどちらかの状態で情報を扱うのに対し、量子コンピュータは0と1の両方の状態を同時に持つことができる量子ビットを用います。この状態を利用することで、素因数分解や量子化学計算などの問題を高速に解けると期待されています。
現在のコンピュータでは不可能な計算を可能にする技術になる可能性がありますが、その実現には多くの技術的な課題を克服していく必要があり、まだ実用的な量子コンピュータは存在していません。

富士通では、2020年頃から量子コンピュータの開発を開始しました。
富士通は、量子デバイスからプラットフォーム、アルゴリズム、アプリケーションに渡るすべての技術領域において世界有数の研究機関と共に取り組んでいます。理化学研究所様と共同開発している大規模超伝導量子コンピュータの技術に加え、量子コンピュータとHPCの連携技術、量子コンピュータのシミュレーション技術、誤り耐性量子計算(FTQC)、Early-FTQCのための独自アーキテクチャ(STARアーキテクチャ)など、幅広い研究開発を進めています。
また、2024年5月には産業技術総合研究所様が超伝導量子コンピュータシステムの導入を決定し、日本企業で初めて商用量子コンピュータを受注しました。現在も国内外から様々な問合せをいただいています。

富士通が建設する量子棟とは?

そんな量子コンピュータの研究開発を加速するキーとなるのが量子棟
現在、量子コンピュータに関係する研究開発拠点はFujitsu Technology Park、厚木研究所(神奈川県厚木市)、Fujitsu Research of America, Inc.(米国)、Fujitsu Research of Europe Ltd.(欧州) 、Fujitsu Research of India Private Limited(インド)のほか、社外にも理化学研究所、大阪大学、デルフト工科大学(オランダ)に共同研究部門を設置しており、量子棟の完成を機に、Fujitsu Technology Parkを中心にさらなる研究を加速させていきます。

量子棟は、2025年1月に着工しており、2階建て、約1,000平方メートルの延床面積の施設となる予定です。2025年秋の竣工を予定しており、その後、2026年度中には1,000量子ビットコンピュータの設置と公開を目指して準備しています。お客様や研究関係者だけでなく、地域の方々にもご覧いただく機会を設けるなど、量子を身近に体感いただけるような場所にしていきたいと考えています。

「量子棟」の外観イメージ図

富士通の社長 時田も量子棟を建設する意義を、社員に向けて次のように語っています。
「Fujitsu Technology Parkの名称の通り、当社のテクノロジーの中心となる場所を創業の地である川崎につくりたいと考えていました。AIやスーパーコンピュータも富士通のブランドを形成する重要なテクノロジー要素ですが、量子の時代が始まり、将来の富士通の事業の中核の1つとなることを考えると、本社機能のあるこの地に量子コンピュータの実機があるのが良いと思っています。来館された方々に当社の技術を見て、感じてもらい、さらに新しいアイデアをいただけるかもしれません。大きな可能性を感じています。

富士通株式会社 代表取締役社長 CEO 時田 隆仁

富士通研究所 量子研究所長 佐藤に量子棟を設置して目指すことについて聞きました

「量子棟には世界最大級となる1,000量子ビットを持つ量子コンピュータを設置予定です。世界初の様々な技術を適用しつつ、計画通り2026年度中に公開できるよう現在全力で開発に取り組んでいます。この実機を活用して量子エラー訂正を含む様々な実験、量子計算を行う予定ですが、この1,000量子ビット機はまだ通過点であり、実用的な量子計算にはさらなる大規模化が必要です。この量子棟を拠点に、世界に先駆けて実用的量子計算を実現し、現在困難な様々な社会、お客様の課題解決に貢献できるよう、今後も所員一丸となって研究開発に取り組んでまいります。」

富士通株式会社 富士通研究所 量子研究所長 フェロー 佐藤 信太郎


まだまだ発展途上でありながら、計り知れない可能性を秘めている量子コンピュータ。
実用化はいつやってくるのか、注目です。その実機を富士通の本店に設置することで、研究開発が加速することは間違いなさそうです。完成が待ち遠しいですね!

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